このブログで絵画について書き始めた頃(4/19)、フェルメール(1632-75)の「ミルクを注ぐ女」を採り上げました。あの絵については誰しも理解に困難を感じることはないでしょう。描かれているものは明白ですし、「解釈」を要するような事物はそこにはないからです。それに対して、この「画家のアトリエ」は何らかの「解釈」がないと絵に入っていけないと感じさせるものがあります。二つの絵の距離は遠いように思わ . . . 本文を読む
6 二人の美女へのお賽銭~OFFERTORIUM
正月の親戚の連中による試奏が成功したのに宇八は気を良くして、その後も順調にスコアにする作業が進み、ひとまず「入祭唱」、「キリエ」、「怒りの日」の前半、「サンクトゥス」については完成したので、その月の終わりのミサに出て、ルーカス神父に見せることにした。栄子について行ったので、宇八も最初から参列して舟を漕いでいたが、途中から右の後ろの方でな . . . 本文を読む
この曲は数あるバッハのカンタータの中でも指折りの名作、147番「心と口と行いと生活をもって」の看板曲で、単独でもよく知られていて、様々なアレンジでも親しまれています。でも、私がクラシックを聴き始めたときには聴いた覚えがなく、それだけに新鮮に感じ、すっかり虜になりました。
大学時代に高校のときの同級生が集まり、「イレギュラー・コンサート」と称して音楽会?をやることになって、合唱と音大に行った . . . 本文を読む
Bernardo Bellotto(1721-1780)と言っても知っている方は少ないと思いますし、私自身、この絵と並んで展示されているシェーンブルン宮殿の絵とウィーン市内を描いた絵しか知りません。ヴェネチィアに生まれ、風景画家としてドレスデン、ミュンヘン、ワルシャワ、そしてウィーンで活躍したようです。これらの絵が描かれた1760年前後にマリア・テレジア(1717-80)のために13枚のウィー . . . 本文を読む
こうして年内にかなりまとまったものができたので、早速音を出してみたくなった。正月に親戚が集まることになっていたので、甥の何人かに電話して楽器を持って来させることにした。正月2日の正午、少し時代遅れになりかけた結婚式場などをやっている会館の3階に総勢18人が集まった。立食パーティーふうの食べ物とビール、ジュースなどが3つの円卓に並べられた。羽部家、片山家、鳥海家の全員、上川本家からは息子の晃と稔 . . . 本文を読む
1976年は、ロッキード事件の年でした。2月のアメリカ上院の外交委員会多国籍企業小委員会公聴会で、ロッキード社の副会長のコーチャンが日本の政府高官に8億5千万円の賄賂を贈ったと証言したのに端を発して、小佐野賢治や全日空や丸紅の幹部が国会で証人として喚問されたり、7月には前首相の田中角栄が逮捕されたりとか、日本中のマスコミがその事件一色でした。国会での証言のときに小佐野が連発したのが「記憶にござ . . . 本文を読む
今回で、ようやく “Dies irae”の詩句の紹介が終わります。では、まず例によって原文と和訳を見ていただきましょう。ラテン語の原文なんか関係ないよって思われる方も多いでしょうが、例えば最終節を除いて各節がすべて脚韻が踏まれていることはすぐにわかるでしょう。16節はtisで、17節はnisで終わっているといったことですが、 “Dies irae ”すべてがそうなっていて、この辺が書き下ろされ . . . 本文を読む
我々は再び77年に目を向けよう。ルーカス神父との短い会話以来、宇八はミサにはもう行かずに何ごとかやっている。図書館から何冊も本を借りてきて読みふけったり、大きなレコード店でレコードを買い込んで聴いていたり、輪子の使っていた鍵盤ハーモニカやリコーダーを時折鳴らしながら、ノートに表や図をこちょこちょ書いていたりする。楽譜? いやそうではない、今のところは。少なくとも……
宇八が行っていることが . . . 本文を読む
ハチャトゥリアン(1903-78)と言えば「剣の舞」ですが、それがバレエ「ガイーヌ」の中の1曲だとはあまり知られていないかもしれません。私は、小学校の音楽の授業で「剣の舞」を聴いて、その激しいリズムとスピード感にとても興奮して、親にねだってレコードを買ってもらいました。前にも書きましたが、大学に入るまでクラシックには全然興味がなかったので、それまでは、私が持っている唯一のクラシックのレコードだ . . . 本文を読む
ちょっと今回は分量が多いんですが、いろいろ都合があるのでご容赦下さいw。ともかくテクストを見ていきましょう。
8)Rex tremendae majestatis,
Qui salvandos salvas gratis,
Salva me,fons pietatis.
9)Recordare Jesu pie,
Quod sum causa tuae viae:
Ne . . . 本文を読む
それからほど経ない日曜日、久々に宇八は家族共々ミサに参列した。終了後、宇八は自らルーカス神父に近づき、言葉を交わしていたが、いつになく低い声であったので、我々が聴き取ることができなかったのは遺憾である。ただ、神父が福音書(4つのうちのどれかはよくわからないのだが)の一節を早口で引用したところだけ、はっきりと聞こえた。
「主は、マグダラのマリアをお赦しになり、盗人の願いをもお聴き届けになられた . . . 本文を読む
今日、ご紹介する部分は最も音楽との結びつきが強い個所です。と言うだけで、わかる人はわかると思いますが、まず詩句を掲げましょう。
3)Tuba mirum spargens sonum
Per sepulcra regionum,
Coget omnes ante thronum.
4)Mors stupebit et natura,
Cum resurget creatura . . . 本文を読む
今日は8月の最初の日なので、ニューイヤー・コンサートの話を、ってめちゃめちゃ強引ですけど(どっかで見た文章って思った人、手を挙げてw)……思いっきり季節はずして紹介するのもちょっとは涼しく感じていいかなとw。日本でもムジークフェライン・ザールでやるニューイヤー・コンサートは、同時中継なんかをやっていますが、大晦日の「こうもり」と同じく一般庶民は行かないですし、関心もないみたいです。なんせ高いで . . . 本文を読む