銀河のサンマ

何でもあり

檸檬大根

2021-02-02 | 銀河食堂

 

 

 

 

僕はネクタイをしている。

節分も勿論、仕事だからだ。

仕事にネクタイや蝶ネクタイは好きだ。

COOL BIZも締めていたい方だ。

身がキュキュッとひきしまる。

だが今日の僕はネクタイを緩めたい。

何故なら僕は風邪気味だから。

昔、鼻の粘膜を弱らせてしまい、年中無休なくらい風邪ひくのだ。

と言うことは、年中、ネクタイを緩めていたい、と言うことでもある。

ぶつぶつと独り言をいい、ネチネチ考えていたら

ーハックションっー

「おう、寒いから閉めない」

「ん?あれ?」

僕は古い食堂に中にいる。

ーはっ!?銀河食堂現る!ー

中にすでに入っているので木札を見ていない。

「早よ、座んない。小鉢だが檸檬大根だ」

「柚子でなく檸檬?」

店主はキョトンとした僕の顔をみてニヤっとし、大きく頷いた。

箸をとり、ペコリと御辞儀し、檸檬大根を一口。

「爽やかっ!目が醒めるーっ!」

後をひかないので、柚子より口がサッパリしてくる。

「おぅ、目が醒めたかい、ウハハハハハハハハハッ」店主は笑い言う

「檸檬はビタミンCがたっぷりだ。発汗作用もあるから風邪に効くと思うがな」

「僕の風邪も直ぐ治るかな?」と呟いた途端

店主が僕の胸ぐらを掴み立たせる。

ドキリとした心臓と同じタイミングで箸を落とした。

店主は無言で僕のネクタイをキュキュッと締めなおし一言。

「ワシがつくったから、もう治ってるさ。さ、仕事へ戻りな」

そうして僕は店の外に出されピシャンと扉が閉まった音がした。

そぉっと店の方を振り返ると「寒波で早仕舞い」と木札に書かれている。

前を向くと僕は、どうやら信号待ちをしてるらしい。

寒い曇り空。鼻はもう痛くない。

信号は青に変わり僕は歩く。

締めなおしてもらったネクタイに檸檬の香りが揺れる。

 

 

 

 

 

2021.1.23朝食風景

 

 

 

 

 

 

 


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