夜汽車

夜更けの妄想が車窓を過ぎる

地縛霊

2017年06月14日 07時04分31秒 | 日記

 ポルターガイストの経験を通じて、我々の住むこの世界に見えない姿で同居するモノが在って人形や何らかの形象物に憑依して悪さをすることを知った。

 『ここ十日ばかりあそこの娘さんの姿が見えないね』『ああ、近所の奥さんが言ってたけど腰が痛い腰が痛いって整形外科に行ったのよ。そしたら内科に行けって言われたらしい。で、内科に言ったら大きい総合病院を紹介してそこへ行けって言われたって。そして診察の結果、子宮に何かできているって、手術をして今入院中』

 聞けばかなり以前から腰が痛いと言って夜中にも痛み止めを飲んでいたらしいとのこと。下腹部がはれ上がってただならぬ姿だったらしい。『何でそうなるまで放っておいたのかな?傍に母親が居て何で気が付かなかったのかね?』『腰痛とばかり思っていたらしいよ。』

 で、妻の内心の確信では子宮に出来たガン。私の内心の確信では痛みが出ていたと言う事はがん細胞が足を伸ばしていた。・・・と言う事はヤバイ!まだ若いのに、いや若いから勝負が速い。我我みたいな年寄りはがん細胞もちんたらちんたら遅い。

 さて、その娘さんの家の門の前は昔の山道、そしてその門の対面に江戸時代、この地で行倒れのようにして亡くなった盲目の尼さんを祀った祠がある。何でも備後の国からやって来たとか言われていて備後様と言う。誰かが時々、水や花を上げているような気配もある。そしてその周はりヤブ、ヤブからくぼ地の湿地で草ぼうぼう、雑木も繁っていた。

 その娘さんは少し変わったところがあって結婚する気もなく独り身で、職にも就かず、かと言ってヒキコモリでもなく草刈り機で草を刈ったりその雑木をノコで切って辺りを綺麗にしていた。祠の周りも何時しか清掃され、うっとおしい雑木も伐られて何やら意味ありげな大きな石がそこいらに転がっているのが見えて来た。

 『地縛霊』と言うコトバが頭に昇って来た。『これは地縛霊の仕業だな!その娘さんがいつも周りを徘徊するので呼んだのだ!』

  先ほどゴミ出しに行った戻りがけにその空き地の対岸から例の祠の方を見てみた。かなり以前から気が付いていたのだがその周辺の大木に何故か新芽が出ない、冬枯れのような大木が二本、それにどうしたわけかまだらにしか葉が茂っていないこれも大木が二本あって、じっと見て居たら急にゾッと寒気がした。妖気が漂って只ならぬ雰囲気なのだ。

  何かが居る!!

コメント
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