このニュースは今見た。造船屋としては興味がある。
思い出した事がある。昔一緒に仕事をしていた仲間に元、国際航路の貨物船機関士が居た。彼が言うには太平洋を航行中、後ろから来ていた筈の韓国船が消えた、と言うのだ。
別の記憶・・・ある離島フェリーの設計と工事監理をやったことがある。船長、機関長、口を揃えて言うに・・『韓国製鋼板は使わないでくれ』だった。今は知らないがあの当時は鋼板に硫黄の巣があったのだ。そこからクラックが入る。
私は多分計算尺を使って船体の排水量、重心、浮心、浮面心、などを計算して排水量曲線などを描いた最後の世代だろう。また、タタミ一畳ほどの製図板に大きなトレーシングペーパーを広げて立って製図板の周りを回りながら0.3mmのシャープペンシルで製図した最後の世代でもあろう。烏口も少し使った。今は全て電子化された。
電子化とはコンピュータで計算も作表も図面もやってしまうわけで速い、精密、便利だ。しかし疑念を持っている。【船が積み荷によってここまで沈んだ時の重心は? 浮心は?メタセンター高さは?・・等々を大汗流して計算してラインを引いて眺めて考えてそこから想定する波浪中航海の船の動き】をデジタル計算値と機械で描いた線を見るのとでは大事な処で違うような気がする。
【手を使わなかった仕事】を私は信用しない。韓国の造船はその辺りが抜けているのではないか?日本からの技術移転が根にあるのだろうが【技術者のカン】までは移転していない、出来ない。自分でやってみないと分からない世界がある。
そういう意味では私は車も現代の電子制御が嫌いだ。昔ながらのcarbulatorのあるエンジンの方が安心できる。仮に何か故障が起きた場合でも頭の中でイメージによってトラブルシューティングが出来る。