先日岐阜県歌人クラブ副会長の後藤すみ子さんから歌集「鮫の体温」が贈られてきました。彼女は30代で歌を詠みはじめ、凡そ四十年。歌集はもう出されないのかしらと思ってたら、少し前に予告があり、届けられました。毎月の岐阜県歌人クラブ紙の作品を纏められたもの。この歌人クラブ紙は、私は岐阜に帰郷してから投稿していますので、30年のつきあいです。彼女はそれ以前から投稿されていて拝見していない歌もあります。纏められると壮観で、作歌はお父上の影響と見受けしました。亡きお父上は一葉全集を読まれていたようです。樋口一葉は歌を4000首も詠んでいます。歌舞伎もお好きだったようです。長期間の作品を纏められ、秀作が凝縮されています。好きな作品を挙げてみます。
水槽にひたと掌を当て回遊の鮫の体温思ひていたり
どこまでが蚯蚓の貌か分からねど急ぎゐるらし前へと伸びる
自画像と思へるほどに人間のサイズに近しルオーの聖顔
隈取りのやうにこころが見えるならいまの形相恐ろしからむ
読む余生愉しみ溜めし父の書の活字細かし一葉全集

素人にはとても詠めません内容に新たに学ばせてただきました。
最後のお歌はお父さまへの思慕を大切に詠まれていらっしゃいますね。
歌歴が長いのでいろいろな表現で歌われています。
私も御父上の愛読書がすごいと思い、書き添えました。
歌人は、普通の人が思いもつかないことに気が付くのですね。
着眼点がまるで違うのでしょうね。
凡人の着眼点ではダメなのです。
昔はそれで通用したのですが、現実を越えられないために
歌人は苦労しています。
でも普通を越えられる人はあまりいません。
私も凡人の着眼点です。