月のひびき (徳正寺だより)

“いま”出遇えた一瞬をパチリ
それは仏さまとの日暮らし…

≪世界にひとつだけの花≫のはなし

2010年03月01日 23時56分32秒 | ふうわりふわり(坊守日記)
今朝何気なくテレビをつけたら
≪世界にひとつだけの花≫という文字に目が止まりました。
「えっ、SMAP?」と思いきや
画面にとってもきれいなお菓子が映っていました。
色も姿も美しい押し花を載せたチョコレートサンドとタルトです。
≪世界にひとつだけの花≫とは、そのお菓子の商品名だったのです。
しかも、そのお菓子を作っている会社が、
私の故郷・島根県の奥出雲であるとの紹介で俄然興味が沸いて、
座りこんでその番組(スーパーモーニングだったかな?)を見てしまいました。

この不況のさなかにがんばっている地方企業の特集のようでした。
奥出雲にある≪エヌ・イー・ワークス≫という会社は、
もとは電子部品を製造する会社でしたが、どうやらその分野だけでは会社が成り立たなくなったらしく、
社長さんが雇用確保のためにまったくの異業種である製菓販売をはじめられたそうです。

このお菓子がいいんです。
≪世界にひとつだけの花≫の名前の通り、
使われている押し花は会社のハウスで栽培されたビオラや矢車草などの色とりどりのお花たちです。
そのお花をひとつひとつやさしく摘んで、
色や花びらが損なわれないように丁寧に押し花にして、
その押し花をお菓子の生地の上にピンセットで彩りよく飾って、
ようやくお菓子になります。
ひとつひとつお手間がかかった手作りです。
だから、ひとつとして同じものがないのです。

それに、生地に使う野菜や果物もすべて地元産だそうです。
まさに島根・奥出雲の薫りをゆたかに感じられるお菓子ですね。

島根の松江には伝統ある美味しい和菓子の老舗が多くありますが、
このお菓子も新しい名産となればいいですね。
今はご当地スイーツも流行っているし・・・

今度、島根に帰った時に求めてみましょう。

位牌破棄

2010年03月01日 20時26分27秒 | 仏々相念(住職日記)
ご院さん、あのな~・・・

17日のご法縁を頂いたところでいろいろな話をして下さった。

もう縁者の方々も帰られ喪主さまご夫妻とのご縁となりました。
喪主さまも大阪の人になられていますのでこの家も空いてしまいます。
我が方も急速に過疎化が進行し大きな問題となっています。

大阪で御取り次ぎ頂いているお寺があり不満の数々をおっしゃるのです。
そのお寺だけではないのでしょうがとにかくお経が早いのです・・・と
49日のご縁を頂いた時には15分でした・・・と
今日は忙しいので・・・と来たかと思えば待たせているタクシーに乗り込み立ち去る。
えらい違いですな~・・・

そんな話ばっかり・・・
正直、そんなので勤まるのなら楽でいいよな~って思いました。
私方は、法事といえば浄土三部経を頂いています。
新三といえども2時間は時間を頂いています。

僧侶とならして頂いた頃、都会の有様を聞き羨ましくさえ思っていました。
結婚した頃だったでしょうか、そんなことブツブツ言う私に坊守が
「あなたが聴かせて頂きなさい。あなたが喜ばせて頂きなさい。
 お三部経って有難いよね!観経なんか涙が出て仕様がないよ・・・」

それまでは業務的になっていたのでしょうね・・・
恥ずかしながら私が聞いて喜ぶ姿勢ではありませんでした。
しんどいのは変わりませんが、聞かん私なのでご縁を頂いてお育て頂いています。

私方の葬式では白木位牌を用いています。
又、過去帳より位牌をお飾りなされているご家庭がかなり多い状態です。
参られたご住職は帰り際に白木位牌を真っ二つに折り袂に入れて帰られたとか・・・
確かに浄土真宗では、位牌を用いず過去帳をお飾りさせて頂きます。
位牌は必要ないものなので位牌に対する執着心みたいなものを断つために
その方はそのような行動をされたのかもしれません。
が、しかしご門徒のいる前で折ることもないのでは・・・
寺に帰ってすればいいことではないのか・・・
そういう私は真宗の僧侶としてあまいのでしょうか・・・?

愛する人を思い、無常を突き付けられ切ない中で握りしめていた位牌・・・
仏さまになられているのだから必要ないと言い、
直ぐに理解できるのならいいでしょう・・・
分からない方はそれを握りしめながらご縁に会っていくのです。
それを見つめながら語りかけていくのです。

そして徐々に、徐々に、仏さまに心が向いて行くのではないのでしょうか・・・?

あの時はつろおました~・・・

決して短いお経が悪くて、長いのが良いというのではありません。
位牌を折ったから悪くて、大事にしていたら良いというのでもありません。

今に始まった話ではないのでしょうが、僧侶の姿勢も問われています。

ひたむきに、大切に歩ませて頂きたいですね。