月のひびき (徳正寺だより)

“いま”出遇えた一瞬をパチリ
それは仏さまとの日暮らし…

お隣さんのはなし

2010年03月25日 22時00分53秒 | ふうわりふわり(坊守日記)
Sおばちゃんとたっちゃんはお隣さんでした。
20日違いでおふたりとも仏さまになられました。

ほんとうにさみしくなりました。
うそみたいな気もします。

「おーばちゃん」
「たーっちゃん」
って、玄関で呼ぶと
「はーあい」
って、声が聞こえそうです。

やさしかったなあ、Sおばちゃん。
ゆかいだったなあ、たっちゃん。

おふたりとも、お浄土の蓮池の色とりどりの蓮のお花の台に
お隣さんでいらっしゃるでしょうね。

  南無阿弥陀仏を称えれば
  十方無量の諸仏は
  百重千重囲繞して
  よろこびまもりたまふなり

そうして、
ここで、さみしがったり、悲しんだり、笑ったり、悩んだりしているわたしたちのことを
ほかの仏さま方々とご一緒に、幾重にも取り囲んでくださって、
ともに歩んでくださるのですね。

心丈夫ですよ。

火葬許可

2010年03月25日 20時26分54秒 | 仏々相念(住職日記)
これか・・・

火葬場のカマの前に立ち初めてボタンを押した。
この悲しみのボタンを何人の方が押されたのだろう・・・
辛かったでしょう・・・
悲しかったでしょう・・・
痛かったでしょう・・・
切なかったでしょう・・・

どれだけの方が愛する人の名を叫ばれたのだろう・・・
「なあに・・・」って振り返るあなたの顔を思い浮かべて・・・
今、そこにあるあなたの姿を前にやっと出るあなたの名前・・・
もっと伝えたいこといっぱいあるのに、やっと出るあなたの名前・・・
絞り出すように叫んだ・・・

軽いボタンでした。
これを押さなかったら、
この扉を開ければあなたに触れることができる・・・

本当は、重い重いボタンなのです。



カッコいいよ!のはなし

2010年03月24日 20時58分19秒 | ふうわりふわり(坊守日記)
「Mちゃんに会いたいけど、こんな姿見せたくない・・・カッコ悪ーい・・・」

娘は、赤ちゃんの時からずっとたっちゃんに可愛がっていただきました。
一緒におままごとをしたり、自転車で公園に行って遊んだり、アイスクリームを買ってもらったり、中学生になるまではホントによく遊んでいただきました。
最近は娘も忙しく、なかなか会えませんでした。
そんな娘に、たっちゃんは自分の病の姿、老いの姿を見せたくないと言っていました。
いつまでも、元気で明るい、カッコつけのたっちゃんでいたかったのでしょうね。

たっちゃんの最後のがんばりの姿に、娘も息子も泣いていました。
いっぱい泣いていました。

今日、たっちゃんのおすがたにお別れをしました。

「たっちゃん、ありがとう。たっちゃん、カッコいいよ!」

これからは、仏さま・・・
とびきりカッコいい仏さまになってくださいました。

ねえ、たっちゃん!

葬送之儀

2010年03月24日 19時42分25秒 | 仏々相念(住職日記)
ありがとう・・・

良くがんばりました。
しんどいこといっぱいの人生でしたね。

「どうだった・・・?」

縁整い、寺族の者勢ぞろいでお勤めさせて頂きました。
遺影を見ながら、いろんなことを考えたり思いだしたり・・・
思い出す一つ一つの姿に涙が流れそうになったり、笑いそうになったり・・・
一時間、いいひと時を頂きました。

ここにいるみんな、貴方に力を頂いたよ・・・
本当にありがとう!

息子や娘もお勤めさせて頂いたよ!
学校も丁度昼までだったり、休みだったり・・・
本当にお世話になりました。

息子は良く遊びに行っていたので、ひと際、息子に対する思い入れは強かったね!
苦しい息の時に、坊守が
「息子を連れて来るけんね!」って息子の名前を聞いた瞬間の貴方の顔、忘れられないよ!
クシャクシャになったね・・・

「K君、葬式どうする・・・?」
「お勤めさせてもらうよ!」って即答だったよ!
良かったね、嬉しかったやろ!
息子も多分、いろいろ考えたと思うよ!

本当に最高のひと時だったよ!

私もこれからもがんばるよ!
みんなで力を合わせながらね・・・

偶にみんなで思い出話しながら笑わせてもらうよ!
本当にありがとね! 

たっちゃん!                            

納骨之涙

2010年03月23日 21時50分55秒 | 仏々相念(住職日記)
又明日も来るけんな・・・

「ご院さん、温かくなったし今日納骨しようと思います。」
「決心されましたか?」
一生懸命の微笑み・・・

冬に向かう頃に亡くなられた父。
せめて温かくなってから納骨させてもらおうと思います、っておっしゃっていました。

「踏ん切りは付かんので、すまんな・・・すまんな・・・」
涙一杯流しながら遺骨を納められた。

今日も行かれたのかな・・・
お線香薫る中、位牌を擦りながら涙されるのでしょう・・・
今はそれでいいんだと思うのです。

浄土真宗では、
亡き人は墓の中にはおられませんよ!位牌に執着してはいけませんよ!・・・
でも正しいといっても、頭では理解できても、やっぱり涙が・・・

お墓の前で涙しながら、そういう日々でありながら
きっと、きっと気付くはず・・・
一緒にいて下さることを・・・

安心して泣いて下さいね。