

木の葉はおしなべて散ってしまった‥‥という若い時に読んだ詩を思い出したが、続きが出てこない。作者も知らないが 出だし を検索すれば直ぐ出てきた。
伊藤整さんという人の詩でした。明治~昭和にかけて活躍した文学者。


秋の恋びと(伊藤整)
木の葉はおしなべて散ってしまった。
秋はいたる所に
つめたい異人の瞳を覗かしている。
瓜ざね顔の まつ毛の黒い
もの言わぬ恋びとよ。
お前はかずかずの思いを燃やして
毎日 だまって
私と人知れぬ目を交す約束を忘れはしないが
ああお前はその白い手を
何時になったら私へさしのばすの。
秋はすっかり木の葉を落として
明日にも冬が海を鳴らしてやってくるだろうに
お前はその思いを
何時になったら私に語るだろう。
文学少女でもなかったが、若い時に心打たれた詩は何となく覚えているもんだ!