草むしりしながら

読書・料理・野菜つくりなど日々の想いをしたためます

一番好きな食べ方

2023-10-19 08:40:10 | 草むしりの得意料理

一番好きな食べ方

 田舎の家はどこもそうなのだが、生家の屋敷の回りは広くて、子どもの頃には柿や枇杷などの果物もたくさん植わっていた。庭の横には深い谷川が流れていて、栗の木が一本その谷川の淵に植わっていた。毎年いっぱい実をつけるのだが、ほとんどが川に落ちてしまって、手に入るのはほんの少しだった。

 それでも運動会には必ず茹でた栗とまだ青い早生みかんが登場した。たぶん親がその日のために拾っていたのだろう。青いみかんが酸っぱかったことと、栗の皮をむくのが面倒だったことは覚えている。

 当時は運動会におやつと言ば、栗とみかんだった。栗は鬼皮を歯で食い破り、渋皮を親指の爪で剥がして食べた思い出がある。以来栗はそうやって食べるものだと思い込んでいた。

 だから茹でた栗を半分に切って、中の実をスプーンですくって食べる方法を知った時には驚いたものだ。こんな食べ方があったのかと、まさに目からうろこだった。

 私がこの食べ方を知ったのは、三人の子どもの子育てに追われている頃だった。上の子が幼稚園で真ん中の男がやたらと手がかかり、赤ん坊の下の子はいつもおんぶしていた。

 その頃から母の送ってくれる荷物の中に、栗が入ってくるようになっていた。山の畑だったところに植えた栗の木が、実をたくさんつけるようになったのだとか。たぶん食べ方も母に教わったのだろう。

 母の荷物はお米と一緒に野菜や果物、時にはお菓子も入っていた。とてもありがたいにだが、頻繁に送って来るので持て余してもいた。カボチャや玉ねぎなどできた時にひと箱送ってきて、保管する場所もなかった。

 ありがたいのだが、はっきり言って迷惑な時もあった。そんな時だった、栗が大量に送られてきたのは。栗ご飯にするにしても量が多すぎるのだ。文句かたがた届いた連絡をすると、食べ方を教えてくれたのだった。

 教わった通りにすると、なるほど食べやすかった。その時栗がこんなに美味しいのかと初めて思った。大量にあった栗もほとんど私が食べてしまった気がする。

 当時は疲れもイライラも怒りも、すべて食べることで発散させていた。ところがある時下の子を膝に座らせて遊ばせていたのだが、気がつくと下の子が膝から滑り落ちてしまったことがあった。

 お腹が邪魔をして膝にうまく座れないのだ。そんなにお腹が出ているかとショックを受けていると、子どもの方はいつものことだという顔をしてまた膝の上に座りなおした。いつのこうなのかと、改めてショックを受けた。

 これは毎日の食生活が原因であって、その時送られてきた栗をたくさん食べたからではない。おいしいものも不味いものも、すべて食べ過ぎていたのだ。やはり美味しものこそゆっくりと味わって食べるべきだと、今になって思う。

 栗なんかも昔運動会で食べた時のように、手で丁寧にむいてゆっくり味わって食べるのが、一番だと思う。

 ただ残念なことに今年その栗の木を伐ってしまった。その後にまた栗の木を植えたのだが、実るにはしばらくかかりそうだ。それまで元気でいなくては。そして出来れば子どもたちにも送ってやりたいものだ。もちろん大量ではなく少しだけ。ゆっくりと味わって食べてほしいものだ。


栗よりうまい十三里

2023-10-17 10:31:46 | 草むしりの得意料理

九里(栗)より(四里)うまい十三里

 昨日はNHKの食の情報バラエティー番組「うまい!」では熊本県山鹿市の栗の特集をしておりました。

 山鹿市は最も栗の栽培が盛んだとか。地域のご婦人方の炊いた栗ご飯をMCの天野ひろゆき氏がおいしそうに食べていました。その他にも栗を使った料理やお菓子が登場し、現地では九月から十一月まで栗を使ったスイーツフェアを開催しているのとか。

 しかし九月から十一月までとは、ずいぶん長いですね。栗は収穫してすぐよりも、少し置いた方がおいしくなるからでしょうか。以前同局の「ためしてガッテン」でも、冷凍庫のチルド室の中で数日保存するとおいしくなると言っておりました。

 なんでも0℃で保存すると、栗の糖分は三日で二倍に三十日で四倍に増えるのだとか。この辺はさつま芋もそうですね。ただしさつま芋の場合は低温だと腐ってしまいます。常温で日の当たらない室内で保存しましょう。

 生家には「芋窯(いもがま)」と呼ばれるさつま芋を貯蔵する穴が客間の床下にあります。畳一畳くらいの広さで、深さは大人の背丈くらいです。

 まず藁を敷き詰め、その上にもみ殻を敷き詰めます。もみ殻が十センチくらいの厚さになったら、前もって掘っておいたさつま芋を並べて入れて、その上にもみ殻を大量にかけて保存します。

 以前は今の時期になると畳をあげ床板をはがし、芋窯の掃除からはじめていました。古いもみ殻や藁は湿っていて気持ちが悪いのですが、新しいもみ殻はサラサラとしてとても気持ちが良かったです。

 芋を入れ終わると、外した床板を元にもどし、その上に畳を敷きます。芋窯は客間の床下にあるので、畳も一番上等な物を使っております。それがまた重くて、測ってみると三十キロもありました。その後は必要に応じて芋を出してくるのですが、そのたびに畳を持ち上げるもの大変でした。

 今思えば、なぜそんな大変な作業をしていたのだと思います。それでも止めなかったのは、芋窯に入れておくと冬になっても腐らないし、焼き芋にするととてもおいかったからです。七輪に消し炭をおこし、専用の焼き芋器で焼きました。

 おやおや、話がずいぶん脇にそれてしまいましたね。本当は栗の思い出を書くつもりでしたが、焼き芋の魅力に負けてしまいましたね。九里(栗)より(四里)旨い十三里ですね。

さて栗の話はまた次回と言うことで、今日はこれまで。


草むしりの得意料理 その3

2023-10-16 10:36:47 | 草むしりの得意料理

草むしりの得意料理 その3

 天高く馬肥える秋と言いますが、やっと過ごしやすい季節になりましたね。いつも行くスパーの青果コナーにも、柿や林檎、蜜柑に梨などの秋の果物が並べられております。 

 どれもおいしいそうですね。今年は特に暑かったせいでしょうか「あんた達あの猛暑の中よく頑張ったね」と思わず声をかけてしまいました。果物や野菜もそうですが、ハウスで育った季節外れのものより、露地栽培の方が私は好きです。

 ただ同じ秋の味覚の代名詞になる秋刀魚の方は、小ぶりなものがばかりで値段も高くて残念ですね。それでも昨年より漁獲量も増えたとか……。昨年よりも幾分大きく見えるのは私だけでしょうか?

 秋刀魚の方は残念なのですが、隣に並べられている鯵や鰯が大きくて庶民価格ですね。昨日鰯を焼いてみたら、油がジュウジュウ出てきました。秋刀魚も顔負けするくらいに。秋刀魚がダメなら鰯があるさ!ってか?でもおいしかったです。

 東京は千葉を控えているからでしょうか。良質の鰯が意外と安く買えますね。なるたけ午前中の早い時間帯に行くと、新鮮なものが手に入りますね。背中の青い模様が海のような色で、さっきまで泳いでいたみたいですね。

 ただ秋刀魚にしても鰯にしても、焼くと煙がたくさん出ますね。そこがまたおいしいのですが、グリルの掃除も大変です。私は魚焼き用のアルミホイルを利用しています。

 鰯は買ってきたら冷蔵庫には入れずにすぐに水で軽く洗い流し、キッチンペーパーで水気を軽くふきとります。それからやや強めに塩をして、今度は不織布のキッチンペーパーで包んで冷蔵庫に入れます。

 やはり焼きたてがおいしいので、食べる直前に焼きましょう。古いフライパンに魚焼き用のアルミホイルを敷きます。(アルミホイルをフライパンに敷いて焼くと、テフロンをはがしてしまうので、魚焼き専用に古いフライパンを用意するといいですね) 敷いたアルミホイルの上に盛りつける方の向き(頭が左で尻尾が右)を下にして、強火で蓋をして焼きます。

 魚の表面の色が変わって目が白くなったら、裏返して今度は蓋を外して焼きます。やや強火で、鰯から出てきた水気が飛んでしまうまで焼きます。焼けたら身を崩さないように注意して、フライ返しとトングで持ち上げて皿に盛りつけます。

 熱々の鰯にカボスを絞り焼酎のお湯割りを添えるのが、草むしりの得意料理です。


ズッキーニ

2023-09-25 06:23:49 | 草むしりの得意料理

ズッキーニ

 秋に収穫しようと六月の末に種をまいたズッキーニが、大きく育ちました。葉も大きく成長し、蕾も沢山ついて花を毎日咲かせています。

 ただ残念な事に雄花が咲く日は雄花だけ、雌花が咲く日は雌花だけ。と言うように雌雄の花の咲くタイミングがずれるので、ななかな受粉ができずたまにしか実が生りません。

 そんな貴重なズッキーニを使って、昨日のお昼は姉の手作りピザでした。チーズと小麦粉以外はすべて自家製。夏にたくさん採れたトマトで作ったトマトソースに、畑から採ってきたばかりのズッキーニとピーマンのトッピングでした。

 帰省中の末娘一家も大喜びです。昨年生まれた孫娘も大きくなりミルクは卒業し、今は離乳食を手づかみで食べています。小さな手で食べ物をつかみ、口に持っていくようすの可愛いこと、可愛いこと!

 焼きたてのピザに唐辛子をつけこんだオリーブオイルをたらし一口頬張って「ああ、おいしい」ご飯を食べる孫娘を見て「○○ちゃん。カワイイ!」 

 昼食の間中私は「おいしい」と「カワイイ」を連発しておりました。

 それにつけてもズッキーニっておいしいですね。ズッキーニ自体にはあまり味はないのですが、チーズとの相性抜群です。炒め物やオムレツに入れてもおいしです。また我が家では以前「面倒くさいの文化」紹介した「おらんだ」とうい郷土料理をズッキーニでつくります。

 おや、今夜が明けたようです。これから長靴を履いて畑に行ってきます。今日はズッキーニの雄花と雌花が一緒に咲いていますように……。


面倒くさいの文化

2023-04-05 10:38:17 | 草むしりの得意料理

面倒くさいの文化

 昨日のNHK NEWS おはよう日本で、長野県の「おやき」の特集をしていました。なんでも小麦粉を麺にするのは面倒くさいから、練った小麦粉でおかずを包んで、囲炉裏で焼いて食べたそうです。それがお焼きの始まりだとか。この面倒くさいが、お焼きという郷土料理を後世に残すことになったのですね。 

 当地ではあきれた調理方法の郷土料理があります。この料理も面倒くさいからという理由で、こんな調理方法になったのかしらと、ふと思ってしまいました。   

 ニガウリとナスを油で炒めて作るこの料理は、昔からこの地で暮らす人たちには「おらんだ」と呼ばれて愛され続けています。

 作り方はいたって簡単で、ナスとニガウリを切って油で炒めます。その時の野菜を炒める音をご当主さんが雨の降る音と勘違いしてしまい「おい、雨だぞ!」とおらんだ(叫んだ)ことから「おらんだ」になったといわれています。本当でしょうか?

 さてナスとニガウリを炒めた後、だし汁と味噌を加えてグツグツ煮立て、その上に水で溶いた小麦粉を流しこみ、かき混ぜながらトロミをつけて完成です。

 まあナスとニガウリのみそ仕立てシチュー風と申しましょうか。すいとんにでもするつもりが、粉をこねて団子にするのが面倒くさくて、粉を水で溶いてたらたら流し込んだ。そんな感じがしないでもありませんが、そのルーツは定かではありません。

 とにかく究極の面倒くさがりやの料理ですね。そのうえ小麦粉の溶き方が独特です。どんぶり鉢に小麦粉と水を入れて、箸でぐるぐるとかき混ぜるのです。出来上がったものは当然ダマになりますよね。ホワイトソースが失敗した時みたいに。

 ところが昔の人はその固まった所がおいしいっていうのですよ。なんという恥ずかしい作り方でしょうか。おまけにニガウリが入っているから当然苦いのです。子供の頃はおいしそうに食べている母を見るも嫌でした。

 だから改めて食べたのも四十代になってからでした。本当に美味しいのか?と半信半疑で食べてみると、意外に美味しかったです。「ああ、わたしもここの女子氏(おなごし)になったなぁ」と感じました。

 作り方を説明する時には、まだちょっと恥ずかしいのですが、おらんだは当地が誇る郷土料理だと胸を張って言えます。

 長い文章になってしまいました。ただ究極の面倒くさがり屋の料理と紹介していたしましたが、、その背景には夏の過酷な農作業があります。是非そのことも知っていただきたいのですが、今日はこの辺で……。