古事記あらすじ4
第二章 黄泉国
㈣天照大神(あまてらすおおみかみ)の誕生
『桃の木は悪魔を払う』と信じられるようになったのはこんなわけです。
男神様が女神さまのことを考えていると、塞いだ岩の向こうから女神様の声が聞こえてきました。男神様が約束を守らなかったので、女神様はそちらに帰るとこが出来なくなり、人も毎日千人ずつ死ぬようになりました。
すると男神様は毎日人を千五百人生まれるようしようと約束なさいました。それからこの世界を治める偉い神を、自分一人で生むにはどうしたらいいかと訊ねられました。女神様は川でみそぎをなさいませ、と答えました。
男神様は日向の国の阿波岐原(あわぎはら)の川で身体をお清めになりました。その時黄泉国でついた汚いものからは悪い神が生まれました。しかし男神様は悪いことをなおすためにすぐに直毘神(なおびのかみ)をお生みになりました。
それからすっかりきれいになって、左の目から天照大御神を、右の目から月読命(つくよみのみこと)、鼻からは須佐乃男命(すさのおのみこと)がお生みになりました。
第三章 天の岩戸
㈠揺れる大地
人間たちは神々を師と仰いで仕事に励んでおります。天照大御神はこの有様をにこにこしながら高天原から見下ろしておいででした。
すると突然下の方から大きな音が聞こえてきて、高天原までもが揺れ始めました。なんと一番末の弟の須佐乃男の命が、長い髪や髭をなびかせて高天原に登っておいでです。
おかげで下界は大嵐と大地震が一度に来たようなありさまです。それを見た大御神さまは、弟はきっと悪い考えがあるに違いないと、すぐさま男に変装して、戦の支度をしました。
そして高天原に近づいてきた弟を、言葉厳しくお叱りになりました。すると須佐乃男は「姉上様にお別れにまいったのです」とけろりとして仰せられました。弟の言葉に大御神はびっくりなさいました。
あれほど激しい勢いで高天原までやって来た弟があまりにもやさしいので、大御神は気負い立った自分が恥ずかしくなり、どこに行こうというのかと優しく尋ねました。