古事記あらすじ11
第五章大国主命
㈢毛皮をはがれた白うさぎ
おこりん坊のわにざめが仲間を集めてやって来ました。「おれの仲間の多さに驚いたか」とわにざめが言うと、「どちらが多いか数をかぞえるから一列になんで」と白うさぎは言いました。わにざめは一列に並びました。
向こう岸までとどいています。うさぎは喜んでわにざめの頭の上を飛びながら数えて行きました。白うさぎはもうひと飛びで稲羽の国の海岸に飛び上がれそうです。
うさぎは嬉しくてたまりません。「ぼくはこの国に渡りたかっただけさ、本当はぼくの仲間なんて一人もいない」と言って、岸に飛び移ろうとした時です。それを聞いていた一番最後のわにざめに、つかまってしまいました。
哀れな声で謝ったのですが、許してもらえません。うさぎは白い毛をむしり取られ、丸裸にされて岸に放り上げられました。
㈣親切な神様
毛をむしられた白うさぎは恥ずかしいのやら痛いのやら、ひいひい泣いておりました。するとうさぎに声をかけたものがおりました。
うさぎは今までのことを正直にお話しました。それを聞いた人たちは大笑いして、海の塩水をよく浴び、丘に行って風に吹かれ、日で乾かして、一日中寝ていれば治ると教えました。そして笑いながら行ってしまいました。
うさぎは喜んで教えられた通りにしましたが、前よりも傷が重くなり、うんうん唸っておりました。そこへ「これこれうさぎ、いったいどうしたのだ」と優しい声がしました。
うさぎは涙の目をあげて、声のした方を見ますと、大きなふくろを担いだ一人の神様が立っていました。うさぎは泣きながら残らず話をしました。神様はうさぎを騙したのは自分の兄さんたちだと言い、川に行って塩をよく洗い、がまの穂をほぐして、その上に寝転んでいればいいと教えてくれました。
教えられた通りにすると、また元の白い毛が生えてきました。うさぎはあなた様はやがてこの出雲の国を治める、偉い神様におなりになるに違いありませんと申しました。