内田英雄文 古事記あらすじ24
第八章海幸山幸
㈤帰国
ある日のこと侍女たちの舞を見ておいでになった火遠理命は深いため息をつきました。横にいたおきさきの豊玉毘女はここの暮らしに飽きたのではないかと心配しました。
火遠理命はここでの暮らしに満足はしているが、ふと兄上のことを思い出したと仰せになり、今までのことを残らず話しました。
こんな広い海の中で魚に取られた釣り針を捜せだなど、なんて無理に事をおっしゃるのでしょう。しかし私の父は海の神です。何か良い考ええがあるかもしれません。豊玉毘売はさっそく相談に行きました。
綿辜津見神は海の魚たちを集めて、だれか命さまの釣り針を取ったものがいないかと聞きました。釣り針はあかだいの喉に刺さっていました。
綿津見神は「この針を兄上にお返しなるとときには、おぼち・すすぢ・まぢち・うるじ。と言って後ろ向きになってお返しなさいませ。兄さまはあなた様に意地悪をした懲らしめをお受けになります」と命に教えられました。
それから「塩盈珠(しおみつたま)」と「塩乾珠(しおひるたま)」を差し上げて、兄上さまが高いとろに田をお作りになったら、あなたはさまは低いところに。お兄上さまが高い所にならは、低い所に田をお作り遊ばせ。そしてお兄上さまがあなた様を恨んでせめて来たら、潮盈珠でおぼれさせ、降参したら塩乾珠で助けてあげなさい。と教えました。
火遠理命は「ひとひらわにざめ」の背中に乗って、笠沙の宮近くの海岸まで帰り着きました。命は無事についた証に、腰につけていた小刀をひとひらわにの首にかけてお返しになりました。
それからはこのひとひらわにを尊んで、佐比持神(さひもちのかみ)というようになりました。
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