闇と光の慈愛のコントラスト(88)新たな時
==第二章、闇と光==
--新たな時(001)闇の担い手①--
「お世話になりました」
アクティスは、イリスに挨拶した。
「じゃあ。行きますか」
サンディアは、合図する。
アクティスは、相槌(あいづち)し頷(うなず)く。
手を取りサンディアのサークルに入る。
周りの景色が深い緑に変わってゆく。
次元移動した。
アクティスは、サンディアの手を引っ張りサークルから出した。
2人は、森の中に出る。
「村にもっと近づくんだ」
草原の境目(さかいめ)まで進む。
遠くに田園が見える。
田園が近づいてくる。
(もう、闇の民は、何処にもいない)
アクティスは、嘆(なげ)いた。涙が出る。止まらない。
「村まで行きましょ。
村がどうなったか知りたいの」
アクティスは、懇願(こんがん)した。
「分かった。
行こう。
でも、用心してなきゃだめだよ」
サンディアは、注意しながら草原と森の脇を進む。
民家が遠くに見える。
丸太の柱が四方を支えてる。
壁は、粘土を塗って固めていた。
屋根は、丸太を半分に切り、藁(わら)を積んでいる。
新しい家。焼けた家はない。頑丈で丈夫なお家(うち)。
(もう、帰ろうか)
サンディアは、アクティスにここから離れることを促(うなが)す。
森の奥に光の若者らしき人影がある。
「あの若者は、何をしているの?
どこに行くの?」
「怪しい。
後をつけよう」
アクティスとサンディアは、その姿を追った。
森を東に進む。
山の中腹に来た。
ぽっかり空いた洞窟がある。
その若者は、中に入り奥に降りて行く。
2人も続いて降りて行く。
深く深く進んだ。
奥に灯りが見える。
(誰か横たわっている)
藁(わら)の上に女性が寝ていた。
顔が見えて来る。
「アイリス。お前。生きていたのね」
アクティスは、驚いた。
エンビは、振り返った。
洞窟を降りて行ったその若者は、エンビである。
つづく。 次回(アイリスの救出)
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