時事通信社は皇位継承を巡る有識者会議に専門外の人々を集めたのは、結論を求めず論点の整理をさせるためだと報じ、「菅首相は動かす気がない。」「結論は出さない。」という政府関係者の言葉を報じた。
しかし、待てよ。生前退位有識者会議も専門外集団だったような?
今回と似たような経歴の顔ぶれ。
違うのは、生前退位の時は、男性4人女性2人だったのが、今回は男性3人女性3人になったことくらいです。
この3人3人という「いかにも」な人数合わせ自体、作意的ではありますが。
当時の時事通信社の記事です。
2016年10月15日時事通信社
専門家外し迅速結着狙う=「神学論争」を回避-有識者会議
天皇陛下が示唆された生前退位について検討する有識者会議のメンバーは、財界重鎮の今井敬経団連名誉会長や中東・イスラム研究の山内昌之東大名誉教授ら6人。政府は皇室制度や憲法の専門家をあえて起用せず、国民目線で迅速に結論を得ることを目指す。
有識者会議は、専門家から意見を聴く機会を設ける予定だが、メンバーには含まれていない。政府高官は「専門分野となるとお互い譲らず、議論がまとまらない」と指摘し、「神学論争」に陥って暗礁に乗り上げることを避けたいとの意向を示している。
政府は特別立法で一代限りの生前退位を認める案を軸に検討を進め、来年春ごろまでに有識者会議の提言を受け取るシナリオを描く。このため、御厨貴東大名誉教授や清家篤慶応義塾長ら、政府の審議会委員を務めた経験があり、短期間での意見集約に慣れている人を多用した。
前回と今回、有識者会議に専門外の者(素人)を選ぶのは、本質的な論議を避けたいという意向が政府にあることが解ります。
先回は天皇自身の強い希望があり、国民の大多数が退位に賛成しているという状況もあり結論を早期に出す必要があった。
今回は早期の結論は諸般に差し障りがありそうなので先送りにして様子を見ることにした。
政府が結論を迅速に出したいとき、先送りしたいとき、国民へのエクスキューズとして使われるのが「有識者会議」のようですね。
メンバーの方々も政府の意向に添って結論をまとめるのでしょう。
今回、菅首相は挨拶の中で
「議論していただくのは、国家の基本に関わる極めて重要な事柄だ。様々な考え方をわかりやすい形で整理していただきたい」
と述べたが、確かに政府関係者の言う「結論は出さない。」「菅首相は動かない。」とつろくしていますわね。
しかし、それにしても「本質的な論議を避けるために専門外の人々を選んだ。」って、それは民主主義とは言えないでしょう。