話題の『侍タイムスリッパー』を見てきた。
最近の時代劇は見る気になれない私だが、これはよかった!
時代劇全盛期の東映チャンバラ映画への、深い思い入れが感じられた映画だった。
時代劇にあまり興味がない人が見ても、この映画はタイムスリップものとして面白く見られると思う。
さらに東映時代劇ファンにはたまらないマニアックな点がいくつもあり、知ってる人にはたまらない喜びなのだ。
この映画の殺陣師役には、東映の斬られ役として数々の映画やTVに出演していた福本清三さんの出演を考えていたという。
しかし脚本が完成する前に福本さんは亡くなってしまった。
それで福本さんの弟子の峰蘭太郎さんが演じたわけだが、峰さんも古くからたくさんの時代劇や任侠映画に出ていて、セリフがなくとも名前は何度も字幕で見ておなじみだ。
その峰蘭太郎さんが、セリフもたくさんある大事な役で出ていて、何だか嬉しい。
峰さんの役名が関本なのも、福本さんを連想させる名前にしたんだなとわかる。
そして最高なのは、
「一生懸命頑張れば、どこかで誰かが見ていてくれるんやなー」というセリフ。
これは福本さんの著書『どこかで誰かが見ていてくれる』へのオマージュである。
このセリフを聞いた時には、グッときてしまった。
エンドロールでも、福本清三さんへの英語での献辞があった。
とにかく福本さんと時代劇への愛がいっぱいな映画なのだった。
主役の山口馬木也さんは、TV『剣客商売』で藤田まこと演じる秋山小兵衛の息、大二郎を演じていた人で、初代渡部篤郎よりもこの人の方が合っていると思っていた。
この映画の朴訥、生真面目な感じもとてもいい。
大手制作会社が金かけて作る時代劇はポンコツなのに、弱小会社が低予算で作るとこんなにいいものができるのね、という見本のような映画だった。
もちろんそれには、脚本に惚れ込んだ東映京都撮影所の全面協力が不可欠だったとは思うけれど。
これを機会に、福本清三さん主演の『太秦ライムライト』どこかで上映してくれないかなー。
映画の写真はないので、今日の昼に食べた豪徳寺【いなだ】のお刺身とクリームコロッケ定食を貼っとく。
『孤独のグルメ』に出て以来、さらに人気上昇中。