渋谷のシアターイメージフォーラムで上映中の『五香宮の猫』を見た。
想田和弘監督が「観察映画」と名付けているドキュメンタリーの10作目となる
(すみません、見たのは初めてです)。
猫と暮らした経験からも、愛玩動物飼養管理士の立場からも、猫は完全室内飼いするべきだと思う。
外にいる猫は感染症にもなるしケンカでケガもするし、車に轢かれて命を落とすこともある。
家にいる猫は、厳しい天候変化にさらされることもなく、ごはんも毎日食べられて、人と一緒に幸せに一生を過ごすのだから、平均寿命も外猫よりずっと長い。
地域猫活動が盛んになって、TNRが定着すれば、理論上は野良猫は全くいなくなる筈である(そうはならないだろうが)。
でも、正直な気持ち…
外を歩いていて、猫に全く会えない暮らしって、ちょっと寂しいなと思う。
不自然であるとも思う。
矛盾した気持ちが、たしかに自分の中にある。
外猫問題は、白黒はっきり答えを出せるような問題ではない。
いくらTNRをすると言っても、餌やり自体が嫌な人もいるだろうし、手術の補助に税金が使われるのが不満な人もいるだろうから。
私が子供の頃は、飼い主がいるのかいないのかわからない猫は、近所にたくさんいたなあ。
子猫も生まれていたし。
誰も猫が自由にしてることに、文句など言っていなかった。
それが当たり前の時代だったから。
のどかな時代だった。
猫にとってはどちらが幸せなのか、私にはわからない。
ただ確実に言えるのは、私は自分の猫を外に出す勇気はないということだ。
猫の幸せというより、自分の幸せのために、私は猫を完全室内飼いにする。
野良猫出身のばまちゃんですが、家の中の暮らしにすっかり馴染んで、外に出たがることは全くありませんでした。
この映画の監督は「野良猫が暮らしていける街はいい街」というのが持論だそうです。
私も同感です。
日本は今、急速に不寛容な国になっている気がします。
犬や猫に不寛容ということは、結局は人間(他者)に対して不寛容になるということだと思います。