夜の翼

オーディオ、音楽、車、ケータイなど好きなことを気ままに綴るブログです。

「MetalResistance」雑感

2016-09-17 16:10:11 | 音楽

リースから早半年近く。
これほど聴けるのを心待ちにして、聴き込んだアルバムはいつ以来だろう。
高校生の時に聴いたR.E.M.の「Lifes Rich Pageant」かな。
とくにかく、とんと記憶がない。

初回限定盤は、横アリ2日目終演後、速攻で予約。
The One限定盤は、赤ミサ黒ミサ映像が特典で付いてくると分かり、即決で予約。
海外盤は、かなり悩んだものの価格が安かったので結局購入。
結果的に3枚買ってしまいました。

1stのとき一番の不満だった録音は大幅によくなりました。
というか普通になっただけですが。
1stは音圧を稼ぐためにコンプをかけ過ぎて、音が混濁してまっています。
「MetalResistance」はその辺が適正になったと思ってます。
この辺が2ndは音圧が足りないという意見を生む原因になっているのでしょう。
楽器ごとの音の分離がよくなり、音の混濁があまり感じられません。
NRNRでストリングスを使っているので、コンプ強めというわけにはいかないですね。
一部で言われている海外盤のほうが音がいいという話ですが、
個人的にはそれほど差はないと思います。
若干海外盤の方が音圧強めかな、という程度の印象です。

このアルバムで特に気に入っているのは、1曲目から5曲目までの流れです。
リリース前に1曲目がRoRというのが分かった時には、今さらという感じはあったものの、
実際アルバムを通しで聴いてみると、この曲が1曲目というのは納得。
2曲目の「KARATE」とのテンポの差が際立ってとてもいい流れになります。
「KARATE」のリフとサビはやっぱりいいですね。このリフを聴くと思わずヘドバンモードに入ってしまいます。

3曲目の「あわだまフィーバー」は、ようやく公式音源となったわけですが、
正直「ギミチョコ」よりも好き。
メロディーラインとドラムンベースの対比がたまりません。
アレンジも初期のものから変わっているようですが、現在の方がいいですね。
ポップとラウドとのコントラストが高ければ高いほどBABYMETALの曲は輝きを増すように思います。

「Yava!」は、スカとメタルってどうなんだろうと思っていましたが、想像以上の仕上がり。リズム隊の音が分厚くなっています。
最初は、ブレイクダウンが突然入るのでちょっと違和感がありましたが、聴きなれてくるとこれがいい感じになってきます。

そして、「Amore」。サブタイトルが「蒼星」というだけあって、「紅月」と同様メロスピ系と予想していましたが、果たしてそのとおり。
第一印象は、「ライブで演ったら映える曲だろうな」ということでした。
「紅月」との最大の違いは、サビのメロディーがメジャーコードだということ。
これによって文字通り「宇宙まで」飛んでいきそうな飛翔感のある曲となっています。
間奏のベースソロは、ライブでは音源以上にBOHさんが音数増やして演奏してるし。
「紅月」といい意味で対照的ですね。どちらも好きです。

ここまで一気に突っ走ってきて、「META!メタ太郎」でちょっと一服といった構成になってます。
知りませんでした。勇ましいはずのヴァイキングメタルにKAWAIIを持ち込むとこんな感じになってしまうとは。

7曲目が国内盤と海外版で曲が違います。
国内盤の「シンコペーション」を聴いたときに、SU-METALがショートマイクスタンドを持って歌う映像が浮かびました。
この曲も音源よりライブで映える曲だと。
V系のこの曲は、聴いてると恥ずかしいと感じる方もいるようですが、ほとんどV系を聴いていなかった自分としてはそこまでの印象はありません。
KOBAMETALによると、最初はもっとV系っぽい曲だったとのことですが、エモぽっさを加えて現在の形になったようです。
あんまりV系が得意でないので、このぐらいのバランスになってよかったのかなという印象は持っています。

海外盤の「From Dusk Till Dawn」は、最もBABYMETALらしくない曲。
おそらくライブを想定していない実験的な曲ですが、これはかっこいいですね。
ヴォーカルには相当エフェクトがかかっていますが、SU-METALのファルセットが聴けるとは思ってもみなかったです。

8曲目と9曲目はBBMの曲が続きます。
「GJ!」は個人的にはこのアルバムの中では一番ポップに感じた曲。
その後ろに「Sis.anger」が控えているからだけかもしれませんが。
「Sis.anger」は、デスメタルの曲に乗せてゆいもあからお叱りを受けるんですよ。
聴くたびになんともいえない不思議な感じに襲われる曲です。

そして10曲目。お蔵入りと思っていた「No Rain, No Rainbow」がまさかの音源化。
この曲の位置が絶妙です。デスメタルの嵐とプログレメタルのスパイラルの間に咲いた花のよう。この位置だからこそ曲が引き立ちます。
曲自体は、武道館の時とは印象が全然違います。
アレンジ自体は以前と変わらないのですが、やはり違うのはSU-MEALのヴォーカルの表現力。
SU-MEALのヴォーカルの進化と深化のベンチマーク、そんな意図を感じます。
現在のSU-MEALがライブでこの曲を歌ったら…
そんな想像をかき立てられます。

その後は、プログレ祭り。
メタルよりプログレの方が断然馴染みがあるので大歓迎です。
正直「Tales of The Destinies」はやりすぎ感を感じるのですが、
そこがまたBABYMETALらしくていいです。
個人的にはもうちょっとハード目の音でもよかったかなと思います。

最後の「The One」は3枚買ったアルバムそれぞれ違うバージョンが入っていますが、
素直に日本語のノーマルバージョンが一番いいです。
ただ、The One限定盤に収録されている「Unfinished Version」も捨てがたい。
車載用にはノーマルバージョンの次に「Unfinished Version」を入れて聴いてます。

このアルバムコンセプトとして、プロデューサーKOBAMETALは「メタルのサブジャンルめぐり」というのを挙げていましたが、
まさにその意図どおりの仕上がりですね。
メタル縛りという制約の中でどのぐらい変化をつけられるかがポイントですが、
メロスピからデスメタルにバイキングメタル、プログレメタルまで1枚のアルバムに入れて許されるのはBABYMETALだからでしょう。
ジャンルの細分化という蛸壺に陥りがちな現在、この点がBABYMETALの強みだと思ってます。

1stと比較すると1stはシングルコレクション的な成り立ちなので、アルバムとしてはこれが実質的な初アルバムということになるんでしょうけど、
1stほどの「なんじゃこりゃ感」、インパクトはないかもしれませんが、1曲1曲がよく作りこまれているし、
1曲目から最後まで流れのあるアルバムらしいアルバムという印象を受けました。
ただ、BABYMETALの真価が問われるのはこの次の3rdアルバムではないかなと思います。
メタル縛りという制約がある中で、意外性とさらなる進化の両立ができるのか、今からそれが心配になるほどの仕上がりですよ、このアルバムは。

このアルバムを聴いてて最近思うんです。
音楽って素晴らしいな、楽しいなって。
この歳になって、素直にそう思える自分は今とても幸せです。



さあ、時は来た!
TOKYO DOME 2DAYS!
2枚のアルバムの曲全部聴きたいDeath!

BDレビュー「LIVE LEGEND1999 1997 APOCALYPSE」

2016-03-19 20:02:17 | 音楽
初の映像作品レビューです。
ちなみにBABYMETALについては、武道館とロンドンも持っています。
ロスがきついときのためのストックに、フル神バンドでない2作品の購入は控えてました。

さて、この作品は2013年に行われた2つの生誕祭の模様が収録されています。
フル神バンドではないということで、過剰な期待は持たず見始めましたが、
なかなか興味深く、面白い内容になっています。
共通しているのは、ストーリー性が強くギミックもたっぷりということです。
前半は骨バンドで後半が神バンドというのも共通です。
1999は、オールシートのためか観客のノリがイマイチに感じられます。
また、照明が暗く、赤黒いため、映像としてはお世辞にもほめられたものではありません。
1997の方は、1999に比べれば照明が比較的明るく見やすくなっています。
また、ピットがあるため観客の熱量がオープニングから半端ではありません。
早い段階でサーフが始まっています。
映像でも観客のノリが良いものの方が見ていて楽しいですね。
1997の最後に武道館2daysとファーストアルバムの発売を知らせる紙芝居が収録されています。このときの観客の歓声!その時の熱狂と興奮が伝わってきます。
横浜アリーナ2daysの最後の告知のときもこうだったのでしょうね。
その場に居られたメイトがうらやましい限りです。

1997の曲の中で特筆すべきは、「紅月-アカツキ-(Unfinished ver.)」です。
「Unfinished」というのはXの曲名で、この曲がピアノストリングスアレンジなので、
「Unfinished ver.」とは、紅月のピアノストリングスアレンジ版ということになります。
聴いた感想は、「甘美」。この一言に尽きます。
とにかくSU-METALの声が甘く美しい。
この曲でSU-METALはほとんど座って歌っているのです。

いつものように真直ぐ声を出すのでなく、語りかけるように歌っています。
このために少し鼻に声が抜ける割合が多くなっているように感じられます。
普通は、いわゆる鼻にかかった声、甘えた声、甘ったるい声になりますが、SU-METALは違いました。声が「甘美」になるのです。
ある人がSU-METALのロングトーンは甘くて美しいと言っていましたが、そのときはあまり理解できませんでした。SU-METALの声は、澄んだ強い声という印象であり、あまり「甘い」という認識はなかったのです。
しかし、これを聴いて思い知らされました。しかも、ただ甘いだけでなく澄み切っているのです。
蜂蜜のように甘いという表現がありますが、このときのSU-METALの声を例えるには適切ではありません。うまく表現できませんが、澄んだ甘さ、少しのくどさもない甘さ、本当にずっと味わっていたくなる魅惑の甘さなのです。
甘さと清澄さを兼ね備えたSU-METALの声の良さ、「楽器」の良さを改めて思い知らされました。
このBDを買って以来、この「紅月-アカツキ-(Unfinished ver.)」ばかり聴いています。

1997には「NO RAIN, NO RAINBOW」が収められています。
この1997で歌われたのが初めて、その後武道館Black Nightで披露されていますが、その後ライブのセットリストに組み込まれることはありませんでした。
その理由は、バラード曲であり、ストーリー性の強い1997やBlack Nightならともかく、通常のライブではライブの流れを考えるとなかなかセットリストに組み込むのが難しいと理由からなのかな、と推測しています。

しかし、「NO RAIN, NO RAINBOW」がこのセカンドアルバム「Metal Resistance」のに収録されると知り、非常に驚きました。2年以上ライブで披露されることのなかったこの曲は、このままお蔵入りになるのではと思っていたからです。
ライブではなくアルバム収録となるとアレンジもそのままということはないでしょう。「NO RAIN, NO RAINBOW」のアレンジが変わるのであれば、ピアノとストリングスのUnfinished versionで聴いてみたいなと思うのです。歌うのは1997の頃のSU-METALではありません。それから2年以上たって、非常に濃密な経験を積み、格段に進化した18歳のSU-METALです。
ああ、それを想像するだけで陶然としてしまいます。

セカンドアルバムについては、他の曲もどんな曲になるか楽しみで仕方ありませんが、1997の「紅月-アカツキ-(Unfinished ver.)」を聴いてからというもの、アルバムに収録される「NO RAIN, NO RAINBOW」が一番気になっています。
ニューアルバムのリリースをこれほどワクワク期待して待ったのは、記憶にありません。
とにかく4月1日が待ちきれません!

CDレビュー「LIVE AT BUDOKAN~RED NIGHT~」

2015-12-29 16:02:11 | 音楽


完全にハマりました。しばらくは毎日聴いてました。
やはりBABYMETALは神バンドなしでは考えられない。ライブこそが生命線。
LIVEの音源ですが、あえていじっていない素の音。
スタジオアルバムの音とは対極あるような音。
マスタリングを担当したのが、イーグルスの「Hotel Calfornia」やノラ・ジョーンズの「Come Away With Me」を手掛けたテッド・ジェンセン。
どちらも何度聴いた分からないぐらい大好きなアルバムなのでとても期待していました。
過剰に低音がブーストされていなくてクリア、ライブ感が出ていて非常に好みの音です。
低音が足りないという方がいますが、そういう方はイコライザーでも使ってください。

録音が良くないと魅力半減ですね。低音さえブーストされていればいいというものでもなく、爆音でありながらそれぞれの楽器がしっかりと分離して粒立ちがいいというのが理想ですが、これが非常に難しい。
個人的にはNirvanaの「NeverMind」の録音が理想的。とくかく、しっかりと低音も出ているのに楽器の分離がよく、音が混じりあわない。なかなかこういう風にはできないのですけどね、BABYMETALのセカンドスタジオアルバムにはこの辺も期待したいところです。

そして、SU-METALの声が非常にクリアに聞こえる、個人的にはこれに尽きます。
イメージとしてはクリスタル。
その声質は、クリア。ハスキーさは微塵も感じない。
ハードかソフトかと問われればややハード、硬質なイメージ。
そして輝きを感じる。そしてとにかく声が通る。
実はメタルとの相性はよかったんですね。
そして気付かされたのは、自分がやはり歌もの好きだったということ。
メタルに興味がなかったのは、ハイトーンの金切り声とデス声が嫌いだったからということ。

武道館の時点でも技術的にはある程度のレベルにあると思うものの、まだまだ伸びしろはあると思います。実際武道館から今までの成長ぶりは驚くものがありますが、まだまだ伸びる。
例えて言うなら、才能を感じる将来有望なピッチャー。
とにかく球が早く、直球一本勝負。全ての投球が全力。ちょっと球が荒れることあり。
最近は、球種はストレートだけながら、いい意味で肩の力が抜けて、緩急を使い分け、コーナーを投げ分けられるようになったが、ここ一番の球威はすごい。
まだ変化球は投げていない(投げられないわけではないと思う。)。
そんな印象です。

技術的なものは練習すればある程度はついてくるものでしょうが、
あの声は努力して得られるものではないと思うのです。
素晴らしい「楽器」を持っている。
声に惚れた歌手は何人かいますが、いままでは比較的ソフトな声の歌手に魅力を感じていました。
自分的には何といってもカレン・カーペンターなんですが、日本人では矢井田瞳と鬼束ちひろですかね。


SU-METALの声はかなり特殊で、透明なのに通る強い声。
聴いていて非常に気持ちがよく、倍音成分がかなり多いと思われます。
この感じに一番近いと思うのは、ブルガリアンボイス。
全くジャンルは異なりますが、透明感、硬質感、清浄感、
倍音がバリバリに出ていて、包み込む感じとは正反対の強く迫ってくる。
フルパワーがかかった時の衝撃度。
楽器に例えるならバイオリン。しかもラウドに鳴る古楽器の名器という感じですかね。



そして、日本語の発音が綺麗。発音が綺麗といえば、カレンの英語の発音。
うっとりするほど素晴らしいですが、それに引けを取りません。
「楽器」のポテンシャルが高いので、自分自身の声であってもこの「楽器」=声を完璧に使いこなすのはSU-METAL自身が大変だと思います。
子供のころ歌っている映像も残っていますが、特にこのころは暴れ気味の声をうまく制御できていない感じがします。
いまのところ「楽器」の良さを生かしつつ、非常に順調に育っているので、今後が本当に楽しみです。

BABYMETALは、とにかく中毒性が高く、こんなにハマってBABYMETALばかり考えているとは、大人としては非常にまずいと思うのですが、やめられないのです。
POP、LOUD、アイドル(かわいい女の子が歌って踊るという意味での)、この3つの要素の魅力を併せ持ち、それぞれがハイレベルなんですから、たまったものではありません。
まだライブには参加したことはありませんが、参加した人から聞こえる参加した後の多幸感という言葉。そしてその後に襲ってくるらしい猛烈なロス。
これ、麻薬そのものですね。
やはり、この年になって禁忌に触れてしまったのでしょう。

でも一番の喜びは、もう味わうことはないのかなとすっかり諦めかけていたあのワクワクした感じをこの年になって味わうことができているということです。
高校生ぐらいまではいろいろな音楽を聴くのが新鮮で楽しかった。
いつのころからか、何を聴いても想定の範囲内、新鮮味がなくなった。
「ちょっと変ってて面白いね」「この曲結構いい曲だな」程度はあっても、
聴いて衝撃を受けるなど皆無。
そのうち何を聴いても変わり映えしない、目新しさはあっても自分の趣味じゃないので、新規開拓が面倒になり、常連さんばかりを聴くようになり、さらに音楽自体にさほど興味がなくなる。
ほんとつまらないと思っていたところに、このインパクト、このワクワク感。
純粋に聴いていて見ていて新鮮で楽しい。
この点については本当に感謝するほかない。とても幸せです。

しかし、メイトの皆さんが感じているように、BABYMETALにはなぜか儚いイメージがつきまとう。
祭りに参加して熱狂しているような感覚。いつかは終わってしまうだろう、明日にでも突然この祭りが終わってしまいそうな変な寂寥感。
このユニットの成り立ち、彼女たちが成長の只中いて常に成長していること、その若さがそう思わせるのかもしれませんが、その思いがメイトの情熱をさらに掻き立てて、激情といえるものになっているのかもしれません。
とにかく最後まで見届けたい、そんなことを思ってしまうのは、後にも先にもこのユニットだけでしょう。
来年リリースされるセカンドアルバムが今から楽しみDeath!

YMY

CDレビュー「BABYMETAL」

2015-12-27 10:05:03 | 音楽

ブログを始めるにあたりメインコンテンツにしようと思っていたCDレビューですが、
ようやく第2弾です(なんと約5年ぶり!)。
しかも、ニール・セダカの次はBABYMETAL(自分って一体…)。

BABYMETALというグループを知ったのは、ネットの記事でした。
なんでも「アイドルとメタルの融合」を標榜する「メタルダンスユニット」でキレッキレのダンスをするとかなんとか。
結構長い記事だったような気がしますが、記事に写真もなかったので
「あー、差別化とはいえアイドルさんがメタルやらなきゃならないなんて大変だねー」ぐらいの感想でした。
アイドルもメタルも興味なかったものですから。

それからかなり経ってから、YouTubeを何となく見ていると、
「あなたへのおすすめ」にBABYMETALの「ギミチョコ」のPVが上がっていたんです。
なぜ「あなたへのおすすめ」にこれが出てきたのかはよく分かりません。
それまでYouTubeで見ていたのはMMA関連の動画が多く、音楽は上原ひろみぐらいなので、上原ひろみからの関連でお勧めされたと考えるしかないです。

上原ひろみが現在行っているプロジェクト「上原ひろみ Featuring Anthony Jackson and Simon Phillips」は、一応ジャズに分類されていますが、個人的にはプログレメタルジャズ風味といった方がいいかもと思っています。(あ、決して批判とかではないです。上原ひろみは以前から知っていましたが、このプロジェクトはYouTubeでブルーノート東京で行われた「MOVE」のライブ映像を見てからお気に入りで、このプロジェクトのCD全部買ってしまいましたから。自分としては音楽のジャンル分けはほとんど意味を持たず、聴いてよければそれでよしの雑食系です。)

上原ひろみは高校時代メタルにはまっていたようで、実際曲中にメタルのギターリフのようなフレーズが出てきます(「MOVE」の一番最後とか)。
また、このプロジェクトに参加しているSimon Phillipsというドラマーは、ジェフ・ポーカロ亡き後のTOTOのドラマーとして有名ですが、
もともとジャズ畑からスタートしていて、ジューダス・プリースト、マイケル・シェンカー・グループ、ホワイトスネイクなどHR/HM系のセッションミュージシャンとして活躍していた人です。
さらにAnthony Jacksonというベーシスト、この方はコントラベースギター、つまり6弦ベースの使い手として有名で、「6弦ベースといえばこの人」という人です。(とBOHさんも言ってました。)
今思うと、上原ひろみ Featuring Anthony Jackson and Simon PhillipsからのBABYMETALという流れはむしろ必然、キツネ様のお導きとしか思えません。

前置きはこれぐらいとして、動画のアイコンが目に入ってきて、「ああネット記事でみたアイドルグループね」と、今まで見たことも聴いたこともなかったので、アイコンをクリックしたのが運のつき、もとい素晴らしい出会いでした。

●ギミチョコPVの感想
(イントロスタート)
「けっこうヘビーでラウドだね。アイドルさんなんでメタル風味程度かと思ってた」。
「って、『あたたたたたずっきゅん!』で何だよ!」
(その後、奇天烈なダンスとアイドルポップメロディーとバックのヘビーサウンドの落差に翻弄されたままPV終了)
「な、なかなか斬新です、ね・・・」(というのが精一杯)
今自分が見聞きしたものを脳でうまく処理できない感じ。
衝撃と困惑。
なんか決して交わることのない、交わってはいけないねじれの位置あるものが交わってしまったものという感じ。
こんな感じを受けたは、高校生の時に中島みゆきの「生きていてもいいですか」を聴いて以来です。


(困惑したまま「ド・キ・ド・キ☆モーニング」のPVを見る。)
イントロのアニメーション部分で即終了。アニメボイスが耐えられない。
(このときイントロしか聞いていないで、この曲をフルで聴くのはしばらくしてからでした。)

続いて「メギツネ」。
(イントロのシンセ部分)
「うゎ、EDM苦手なんだよなー、ユーロビート時代から。でも、このメロディーってもしかしてWINK?」
途中まで試聴したものの、YUIMOAがあまり幼すぎて、途中で終了。

(困惑の度合いをますます深めながら「ヘッドバンギャー」へ)
「地下アイドルってこんな感じなのかな。昔読んだ大槻ケンジの小説を思い出した。」
これは何とか最後まで試聴。

(「いいね!」に関しては、ラップ風の衣装がサムネイルに表示されていたので、そもそもパス。)

そして最後に目に入ったのが、そう、ソニスのLIVE。
(これを見なければこんなことにはならなかったのにと未だに思います。)
「UKってことはイギリスか。」
(イントロ部分)
「なんだこれ、フェスのライブなのか。なんか客入ってんな。盛り上がってるし。」
(曲スタート)
「歌詞はアレだが、後ろの白塗りバックバンドは何だ?やたらと上手いな。」
(SU-METALのボーカル部分)
「PVでは気がつかなかったけど、ボーカルの子、結構歌うまいね。いい声してる。」
(間奏のダンス)
「しかしダンス激しいな。さっきのPVの頃よりだいぶ大きくなってるけど、子供にこんなことやらせていいんか。」

(そして、運命の瞬間。2番の最後「君を守るからー」の「らー」のロングトーン)
まさに一撃。
「ズキューン」って感じで心打ち抜かれた。
今までいろんな音楽を聴いてきましたが、こんな打ち抜かれ方は記憶にない。
(その時は気付きませんでしたが、その瞬間、会場からも「ウォー」をいう歓声が上がってますね。そして万雷の拍手と「We Want More」コールの中、「See You!」で終了。)

その後は、多くのメイトの皆さんと同じで、ネットでの動画漁り→CD購入。その間2週間。

さて、ようやくここからがCDレビューです。
正直言うと、最初にソニスの動画を見てしまったので、このアルバムの印象はよくなかったです。
①打ち込み中心で、インダストリアル臭がプンプン。打ち込み系は嫌いです。
②SU-METALはもちろん、特にYUIMETAL、MOAMETALの声が幼すぎる。
③濁っていて、典型的な低音ブースト、海苔型波形の音質

曲自体はネットでだいぶ聴いていたので改めてという感じでしたが、
音楽としてはメタル50%、アイドルポップ40%、EDM10%に和風エッセンス少々という印象でした。
メタルに関しては本当に詳しくないので、聴きながらいろいろと調べましたが、
ほかのジャンルに違わず、比較的狭いと思っていたメタルのなかでも
ミクスチャーと細分化が進んでいて、多くのサブジャンルを生んでいるのを知りました。
曲によってメタルの中のサブジャンルをうまく取り入れていると思いました。
自分の青春は80年代でメタル全盛期なわけですが、その当時から今に至るまであまりラウド系には興味がなく、自分のCDライブラリーにもその手のものはほとんどない(メタルじゃないけどNirvana、Eastern Youthぐらいか。あと入れていいならThe Blue Hearts)ので、曲の元ネタとなっている曲は調べて知りましたが、ほんとにメタル好きが作っているんだなというのは改めて納得。

曲と歌詞にオマージュというかいろいろな仕掛けがしてあって面白い。楽しめる。
WINKの「淋しい熱帯魚」やら、一世風靡やら、野口雨情やら、アンデルセンやら、果てはなまはげまでぶち込んでくるとは思いませんでした。
BABYMETALのプロデューサーがBABYMETALの音楽はマッシュアップ的手法で作っている、というようなことを言っていましたが、違う曲のAメロ、Bメロを切り貼りして1曲にするところまでやっているらしい。
アイドルポップとメタルの組み合わせ自体はこれが初めてというわけではないのでしょうけど、作りこみ方が全然違う。本気過ぎます。この辺が他との決定的な違いかと思います。
シンガー(プレイヤー)ソングライティングが常識となっているロック系の音楽において、プロデューサー主導の曲作りというのは単純に昔の手法に戻っているともいえますが、歌う人、演奏する人が曲を作らなければならないなんとことは全くなく、単なる思い込みであり、リスナーに提示される音楽がよければそれでいいんじゃないかと思うのです。

収録されている曲は全て練り上げられていてとても魅力的ですが、一番ぶっとんでいるのは、何といっても「4の歌」です。この破壊力には参りました。この曲は、ワールドツアー2014のトレーラーで初めて見たのですが、YUIMOAが笑顔で歌い踊っている姿には狂気すら感じました。
ちなみに巷では色物扱いものでもほとんど抵抗がなく、上々颱風のデビュー当時からのファンである自分としては、多少のエキセントリック加減では驚いたりはしないですが、さすがこの曲は突き抜けすぎているよんよん。


しかし、どうにも神バンドなしで録音の悪いファーストアルバムに納得がいかず、すぐに録音が良いと評判の「LIVE AT BUDOKAN~RED NIGHT~」を購入しました。
(続く。)

CDレビュー「Laughter In The Rain The Best Of NEIL SEDAKA 1974-1980」

2011-02-26 02:03:47 | 音楽
ブログを始めるにあたりメインコンテンツにしようと思っていたCDレビューですが、
ようやく第一弾です。(もちろんこの間もCDは買ってますが)
しかも、なぜかニール・セダカになってしまった…

なぜこのCDを買ったかというと、だいぶ話はさかのぼります。
高校生になってステレオコンポを買ってもらい、
レコード、CDが聴けるようにはなったものの、ソフトを大量に買えるわけでもないので
FM放送というのは相変わらず重要な音楽ソースだったわけです。
それでよく聴いていたのが、NHK-FMで平日午後4時くらいからやっていた「軽音楽をあなたに」という番組です。
パーソナリティが日替わりで、洋楽を新旧取り混ぜてオンエアーしていました。
時は1980年台半ば。MTV全盛の時代です。
中学生のときから洋楽を聴くようにはなっていましたが、
どうもその頃流行の80年代の音楽は今ひとつ好きになれなくて、
70年代のものの方が好みだったので、それを中心に聴いていました。
とある日その番組で70年代のポップスの特集があり、
エアチェック(死語)したわけですが、その中で特に印象に残ったのが
カーペンターズの「ソリティア」でした。
カーペンターズ自体はすでに知っていましたし、
その日放送された曲の多くは有名な曲が中心だったので大体知っている曲でしたが、
初めて聴いたこの曲。聴き終わったあとの深い余韻は今でも忘れません。
今でもカーペンターズの数ある曲の中で一番好きかもしれません。

それでその日の放送の最後にパーソナリティが
「カーペンターズにも曲を提供し、素晴らしいメロディを作る人」として触れていたのが
そうニール・セダカだったのです。

実は、カーペンターズの曲がかかる前にニール・セダカの「Laughter In The Rain」と
「Breaking Up Is Hard To Do」がかかっていたのですが、
歌手名を聞き逃していたのです。
エアチェックはしていたので、この後にかかったカーペンターズの曲とともに愛聴していました。
とてもキレイなメロディなんだけれど、うきうきするようなポップ感がしっかりある。
まさか「Breaking Up Is Hard To Do」が日本でもよく知られた「悲しき慕情」の
セルフカバーだなんて気づくわけがない(アレンジが全く違う)。
さらに大好きが「ソリティア」の作曲がニール・セダカだというのを知ったのは
ほんとにだいぶ後のことでした。

それで今頃になってニール・セダカのCDを買おうと思ったのは、
やはりカーペンターズの40周年記念のベスト盤を買ったのがキッカケでした。
ニール・セダカは1950年代から活躍しているのですが、
50年代のオールディーズには興味がなかったので、
彼の70年代の曲を集めたベスト盤を今回購入したわけです。

で、そのCDのジャケット写真です。


なんといっていいものやら。
しかし、収録されている曲はいいですね。
これこそアメリカンポップの王道といった感じです。
からっと明るく乾いた感じ。
アレンジは70年代ということを考えてもちょっと古臭いところがあるかな。
しかし曲、メロディは素晴らしいものがあります。
メロディーメーカーとしてのニール・セダカの才能は疑う余地がないですね。
20曲が収められていますが、やはり前述の「Laughter In The Rain」と
「Breaking Up Is Hard To Do」は珠玉のメロディといって差し支えないでしょう。
エバーグリーン、永遠の緑、そういった言葉がピッタリと当てはまります。
20年以上前FMから流れてきた曲をカセットテープに録音して繰り返し聴いていた曲を
今CDからパソコンにリッピングしてUSB-DACを介して聴いている。
なんとも不思議な感覚になりますが、曲を聴いたときの感情はあの日のまま。
音楽の素晴らしいところです。
そしてカーペンターズのカバーで有名になった「Solitaire」のオリジナルを始めて聴きました。
やはりいい曲ですが、この曲についてはカーペンターズの方がよいと思います。
リチャードのアレンジセンス、そしてなんといってもカレンのボーカリストとしての才能を
改めて思い知らされる感じです。

そしてキャプテン&テニールの「Love Will Keep Us Together」もニール・セダカの曲だったのをこのCD初めて知りました。

ライナーノーツにはニール・セダカのコメントとこのCDが1994年に発売されたときにビルボード誌に掲載された解説が載っていましたが、
1950年代の終わりから1960年代の初めにかけて成功を収めたニール・セダカが
ビートルズを初めとする「ブリティッシュ・インベーション」によってすっかり忘れ去られた存在であったのですが、彼の1970年代の復活の立役者がイギリス人であるエルトン・ジョンであったというのは皮肉なものを感じます。
実際1970年代にアメリカで出されたニール・セダカのレコードのほとんどは、エルトン・ジョンが興したロケット・レコードから発売されています。

そしてもうひとつ思うことは、メロディの時代は1970年代で終わってしまったのかなということです。
天衣無縫に書いた曲が名曲として誉めそやされた時代は、もう終わってしまったというようなことを言っていたのは、来生たかおだったでしょうか。
よいメロディが出来たと思っても、それは数十年前に誰かがとっくに発表した曲であることがでてきて、そうならないようにするためには、あえてコードやテンポを変えたりする必要がある。
現在は、ほとんどパソコン上で曲を作るようなので、こういったことはとてもやりやすくなっているのかもしれませんが、むしろパソコンがないと職業としての作曲家というのは成り立たなくなっているのでしょう。
メロディ限界論といわれて久しいですが、ニール・セダカの曲が、無理にこねくり回した感じが微塵もなく、純粋に美しいメロディと屈託のない明るさを持っているので、
そんなことを思ってしまい、少々寂しい気分になってしまいました。

そういえばグラミー賞直前特集ということで、WowWowで洋楽のライブを特集していたのですが、その中にエルトン・ジョンとレオン・ラッセルのジョイントコンサートが放送されていました。
エルトン・ジョンのアメリカでのコンサートでレオン・ラッセルと競演するという形式でしたが、レオン・ラッセルを紹介するエルトン・ジョンのMCの中で、エルビス・コステロの番組で忘れ去られた作曲家を聞かれたエルトンがA・アックルズ、ローラ・ニーロとともに名前を挙げたのがレオン・ラッセルでした。
エルトンはレオン・ラッセルと「The Union」というアルバムを作っていたのですね。


レオン・ラッセルといえば、カーペンターズつながりで、これまた名曲の「Superstar」を作曲した人です。

ニール・セダカのときといい、「達人は達人を知る」ということなのでしょうか。