リースから早半年近く。
これほど聴けるのを心待ちにして、聴き込んだアルバムはいつ以来だろう。
高校生の時に聴いたR.E.M.の「Lifes Rich Pageant」かな。
とくにかく、とんと記憶がない。
初回限定盤は、横アリ2日目終演後、速攻で予約。
The One限定盤は、赤ミサ黒ミサ映像が特典で付いてくると分かり、即決で予約。
海外盤は、かなり悩んだものの価格が安かったので結局購入。
結果的に3枚買ってしまいました。
1stのとき一番の不満だった録音は大幅によくなりました。
というか普通になっただけですが。
1stは音圧を稼ぐためにコンプをかけ過ぎて、音が混濁してまっています。
「MetalResistance」はその辺が適正になったと思ってます。
この辺が2ndは音圧が足りないという意見を生む原因になっているのでしょう。
楽器ごとの音の分離がよくなり、音の混濁があまり感じられません。
NRNRでストリングスを使っているので、コンプ強めというわけにはいかないですね。
一部で言われている海外盤のほうが音がいいという話ですが、
個人的にはそれほど差はないと思います。
若干海外盤の方が音圧強めかな、という程度の印象です。
このアルバムで特に気に入っているのは、1曲目から5曲目までの流れです。
リリース前に1曲目がRoRというのが分かった時には、今さらという感じはあったものの、
実際アルバムを通しで聴いてみると、この曲が1曲目というのは納得。
2曲目の「KARATE」とのテンポの差が際立ってとてもいい流れになります。
「KARATE」のリフとサビはやっぱりいいですね。このリフを聴くと思わずヘドバンモードに入ってしまいます。
3曲目の「あわだまフィーバー」は、ようやく公式音源となったわけですが、
正直「ギミチョコ」よりも好き。
メロディーラインとドラムンベースの対比がたまりません。
アレンジも初期のものから変わっているようですが、現在の方がいいですね。
ポップとラウドとのコントラストが高ければ高いほどBABYMETALの曲は輝きを増すように思います。
「Yava!」は、スカとメタルってどうなんだろうと思っていましたが、想像以上の仕上がり。リズム隊の音が分厚くなっています。
最初は、ブレイクダウンが突然入るのでちょっと違和感がありましたが、聴きなれてくるとこれがいい感じになってきます。
そして、「Amore」。サブタイトルが「蒼星」というだけあって、「紅月」と同様メロスピ系と予想していましたが、果たしてそのとおり。
第一印象は、「ライブで演ったら映える曲だろうな」ということでした。
「紅月」との最大の違いは、サビのメロディーがメジャーコードだということ。
これによって文字通り「宇宙まで」飛んでいきそうな飛翔感のある曲となっています。
間奏のベースソロは、ライブでは音源以上にBOHさんが音数増やして演奏してるし。
「紅月」といい意味で対照的ですね。どちらも好きです。
ここまで一気に突っ走ってきて、「META!メタ太郎」でちょっと一服といった構成になってます。
知りませんでした。勇ましいはずのヴァイキングメタルにKAWAIIを持ち込むとこんな感じになってしまうとは。
7曲目が国内盤と海外版で曲が違います。
国内盤の「シンコペーション」を聴いたときに、SU-METALがショートマイクスタンドを持って歌う映像が浮かびました。
この曲も音源よりライブで映える曲だと。
V系のこの曲は、聴いてると恥ずかしいと感じる方もいるようですが、ほとんどV系を聴いていなかった自分としてはそこまでの印象はありません。
KOBAMETALによると、最初はもっとV系っぽい曲だったとのことですが、エモぽっさを加えて現在の形になったようです。
あんまりV系が得意でないので、このぐらいのバランスになってよかったのかなという印象は持っています。
海外盤の「From Dusk Till Dawn」は、最もBABYMETALらしくない曲。
おそらくライブを想定していない実験的な曲ですが、これはかっこいいですね。
ヴォーカルには相当エフェクトがかかっていますが、SU-METALのファルセットが聴けるとは思ってもみなかったです。
8曲目と9曲目はBBMの曲が続きます。
「GJ!」は個人的にはこのアルバムの中では一番ポップに感じた曲。
その後ろに「Sis.anger」が控えているからだけかもしれませんが。
「Sis.anger」は、デスメタルの曲に乗せてゆいもあからお叱りを受けるんですよ。
聴くたびになんともいえない不思議な感じに襲われる曲です。
そして10曲目。お蔵入りと思っていた「No Rain, No Rainbow」がまさかの音源化。
この曲の位置が絶妙です。デスメタルの嵐とプログレメタルのスパイラルの間に咲いた花のよう。この位置だからこそ曲が引き立ちます。
曲自体は、武道館の時とは印象が全然違います。
アレンジ自体は以前と変わらないのですが、やはり違うのはSU-MEALのヴォーカルの表現力。
SU-MEALのヴォーカルの進化と深化のベンチマーク、そんな意図を感じます。
現在のSU-MEALがライブでこの曲を歌ったら…
そんな想像をかき立てられます。
その後は、プログレ祭り。
メタルよりプログレの方が断然馴染みがあるので大歓迎です。
正直「Tales of The Destinies」はやりすぎ感を感じるのですが、
そこがまたBABYMETALらしくていいです。
個人的にはもうちょっとハード目の音でもよかったかなと思います。
最後の「The One」は3枚買ったアルバムそれぞれ違うバージョンが入っていますが、
素直に日本語のノーマルバージョンが一番いいです。
ただ、The One限定盤に収録されている「Unfinished Version」も捨てがたい。
車載用にはノーマルバージョンの次に「Unfinished Version」を入れて聴いてます。
このアルバムコンセプトとして、プロデューサーKOBAMETALは「メタルのサブジャンルめぐり」というのを挙げていましたが、
まさにその意図どおりの仕上がりですね。
メタル縛りという制約の中でどのぐらい変化をつけられるかがポイントですが、
メロスピからデスメタルにバイキングメタル、プログレメタルまで1枚のアルバムに入れて許されるのはBABYMETALだからでしょう。
ジャンルの細分化という蛸壺に陥りがちな現在、この点がBABYMETALの強みだと思ってます。
1stと比較すると1stはシングルコレクション的な成り立ちなので、アルバムとしてはこれが実質的な初アルバムということになるんでしょうけど、
1stほどの「なんじゃこりゃ感」、インパクトはないかもしれませんが、1曲1曲がよく作りこまれているし、
1曲目から最後まで流れのあるアルバムらしいアルバムという印象を受けました。
ただ、BABYMETALの真価が問われるのはこの次の3rdアルバムではないかなと思います。
メタル縛りという制約がある中で、意外性とさらなる進化の両立ができるのか、今からそれが心配になるほどの仕上がりですよ、このアルバムは。
このアルバムを聴いてて最近思うんです。
音楽って素晴らしいな、楽しいなって。
この歳になって、素直にそう思える自分は今とても幸せです。
さあ、時は来た!
TOKYO DOME 2DAYS!
2枚のアルバムの曲全部聴きたいDeath!