知り合いからパソコンの調子が悪いからちょっと見てくれという依頼が来た。
その知り合いはパソコン関係には相当疎く、USBメモリーの使い方も分からないようだから、とりあえず一度現物を見てみることにした。
渡されたPCはNECのLaVie S LS550/NS。2013年秋冬モデルである。
OSはWindows7と聞いていたが、実際はWindows8.1。
CPU:Corei5の4200M
ストレージ:HDD1TB
メモリー:8GB
と9年前のPCとしてはそれほど悪くないスペックで、しかもタッチディスプレイ対応モデルだった。
電源は入ると言うことなので、とりあえず起動してみたが、まあ動作が重い。
HDDへのアクセスが全然止まらず、まともに動かない。
ネットワークに接続していないのに先がやられる。
LANポートがついていたので有線でネットワークにつないでみた。
ネットワークにはつながったが、PCの調子が悪いということでしばらく使っていなかったらしく、いろいろなオンラインアップデートが一斉に始まり、いつまでたってもHDDのアクセスランプが消えない。
タスクマネージャーをのぞいてみるとWindows Update関係のプログラムがバックグラウンドで動いているようだが、ディスクの使用率は100%のまま。
Windows Updateの画面をなんとか開き、更新プログラムのチェックのアイコンをクリックするところまではたどり着いたが、そこからのチェックがなかなか終わらない。
更新プログラムのチェックがようやく終わり更新作業に入ったが、これまたちっとも終わらないので放置していたら、突然PCの電源が落ちた。
スリープモードに入ったのかと思ったら、シャットダウンしている。
電源を入れ直すと、Windowsは起動したが、こんな経験は初めてだった。
ウィルスに感染していることも考えられたが、ともかくWindows Updateを終わらせないと安心して使えないので、「重要な更新」が表示されなくなるまでWindows Updateを続けた。
その途中でも何回か勝手に電源が落ちることを繰り返していたが、数時間かかってようやくWindows Updateが終わり、HDDの使用率も通常の状態になった。
その後、Windows Defenderでウィルスチェックを行っても、特に問題なし。
Crystal Disk InfoでHDDの状態をチェックすると、ディスクの健康状態は「注意」と表示された。
「代替処理保留中のセクタ数」の項目が黄色になっている。
HDDの使用率が100%状態でシャットダウンを繰り返していたら、HDDのダメージは大きいだろう。
さらにWindows Updateのオプションの更新をしているときに、タスクマネージャーでモニターをしていたら、Windows Modules Installer Workerというプログラムが大量にPCのスペックを消費しているのが分かった。
そのうちWindows Modules Installer WorkerのCPUの使用率が急激に上がり、CPU使用率が50%を超えたと思ったら、PCがシャットダウンした。
調べてみると、Windows Modules Installer Workerは、Windows Updateの後で、新しいプログラムをインストールした後に不要になったファイルやプログラムを、PCから削除するためのツールのようだ。
このWindows Modules Installer WorkerがPCに負荷をかけ、CPUの温度が上がり過ぎたことによるPC保護のための強制シャットダウン動作と思われる。
Windows Modules Installer Workerの暴走による不具合はそんなに珍しいことではないらしく、HDDへのアクセスが1日以上止まらなかったりすることがあるらしい。
CPUファンが壊れているわけではなく、CPUの使用率に伴って回転数も変化しているから、一応正常に動いてはいるようだ。
PCのオーナーによるとPCが頻繁にフリーズするようになり、まともに使えなくなったので放置していたとのこと。
これも熱暴走によるフリーズと思われるので、PCのクーリングが正常にできていない可能性はある。
さて、このPC、Windows8.1なので普通に使えるのは来年の1月まで。
買い換えという選択肢もあるが、非常きれいな状態で、使用感がほとんどないので、このままリサイクルに出してしまうのはちょっともったいないような気がする。
オーナーに確認したところ、
○インターネット端末としてはともかくワープロとして使いたい。
インターネットはスマホで済ませてもよい。
○今まで使っていた文書作成ソフトを継続して使いたい。
○プリンターも接続して使いたい。
という希望だった。
要するに使い慣れたPC環境をあまり変えたくないということのようだ。
SSDへの換装は大前提として、Windows8.1のままスタンドアローンでワープロとして使うのはできないことではない。
ただ現在PCにインストールされている文書作成ソフトのバージョンが大変古く、Windows8.1 には対応していないので、このソフトを使い続けるのなら最新版を購入した方がいいだろう。
プリンターへの接続はWi-Fiで直接接続すればいいので、対応する機種を選べばいい。
しかし、やはりインターネットに接続できないのは、何をやるにも甚だ不便だ。
それを解消するには、Windows8.1をWindows10にアップグレードしてしまうという手がある。
これならWindows10のサポート期限である2025年10月まであと約3年使うことができる。
Windows10にアップグレードしてマシンのスペックが対応できるかという点だが、自分が職場で使っているノートPCはCPUがCorei3 6006U、ストレージHDD500GB、RAM8GB(もともと4GBしかなかったので自腹で増設した)という低スペックマシンでも何とかWindows10が動いているからインターネットと文書作成だけなら問題ないだろう。
職場のノートPCもストレージが完全にボトルネックになっており、これをSSDに替えれば相当快適に使えるようになるはず。
このPCのCPUはCorei5 4200Mだから、自分の職場PCよりは若干性能が高いので、熱対策さえしっかりすれば問題なく使えるようになる可能性が高い。
Windows8.1からWindows10への無償アップグレード期間はとうに過ぎているが、マイクロソフトのサイトからWindows10のアップグレードツールをダウンロードして使えば、今でもWindows10になるらしい。
ただ、いろいろトラブルもあるらしいが、失敗しても元のHDDをSSDにコピーし直せばWindows8.1環境に戻すことができるので試してみる価値はあるだろう。