乱鳥の書きなぐり

遅寝短眠、起床遊喰、趣味没頭、興味津々、一進二退、千鳥前進、見聞散歩、読書妄想、美術芝居、満員御礼、感謝合掌、誤字御免、

『古今集遠鏡 巻一』 5 古今集遠鏡   はし(がき)二ウ  本居宣長

2020-05-08 | 本居宣長 『古今集遠鏡』『玉あられ』


 『古今集遠鏡 巻一』 5 古今集遠鏡   はし(がき)二ウ  本居宣長


 『古今集遠鏡』 
 6冊。寛政5年(1793)頃成立。同9年刊行。


はしがき二ウ
てハ、猶たしかにはえあらねどば、其事を今おのが心に思ふがごとハ、里
りえがたき物なるを、さとびごとに訳(ウツ)したるハ、たゞにみづからさ思ふ
にひとしくて、物の味を、ミづからなめて、しれるがごとく、いにしへの雅事(ミヤビゴト)
ミな、おのがはらの内のおとしなれゝバ、一うたのこまかなる心ばへの、
こよなくたしかにえラルことおほきぞかし、

◯俗言(サトビゴト)ハかの国この里と、ことなきとおほきが中には、みやびごとに
ちかきもあれども、かたよれるゐなかのことばゝ、あまねくよもには
わたしがたれバ、かゝるとにとり用ひがたし、大かたハ京わたりの
詞して、うつすべきわざなり、ただし京のにも、えりすつべきハ有
て、なべてハとりがたし、


雅事(〘名〙 みやびやかな事柄。風流なこと。ねぎこと(祈り事のこと))  精選版 日本国語大辞典

俗言(サトビゴト)
【俗言】ぞくげん
 1.世俗に用いられる言葉。みやびやかでない言葉。俗語。
 2.世間のとりざた。世の中のうわさ。
【俚び言】さとびごと
 世俗の言葉。俚言 (りげん) 。俗言。また、田舎びた言葉。方言。
 「手足のたゆきを、―にだるいと言ふ」〈玉勝間・八〉

かたよれる(偏れる)
ゐなか(田舎)
ことばゝ(言葉は)

よも 【四方】名詞
 ①東西南北。前後左右。四方(しほう)。
 ②あたり一帯。いたるところ。






はしがき一オ
古今集遠鏡 
   雲のゐるとほきこずゑもときかゞミ
     うつせばこゝにみねのもみちば
此書ハ、古今集の歌どもを、こと/″\くいまの無の俗語(サトビゴト)に訳(ウツ)せ
る也、そも/\此集ハ、よゝに物よくしれりし人々の、ちうさくども
のあまた有て、のこれるふしもあらざなるに、今更さるわざハ、い
かなれバといふに、かの注釈といふすぢハ、たとへばいとはるかなる高き
山の梢どもの、ありとバかりハ、ほのかにみやれど、その木とだに、あや
めもわかむを、その山ちかき里人の、明暮のつま木のたよりにも、よ
く見しれるに、さしてかれハと ゝひたらむに、何の木くれの木、も

はしがき一ウ
とだちハしか/″\、梢の有るやうハ、かくなむとやうに、語り聞せたらむ
がそとし、さるハいかによくしりて、いかにちぶさに物したらむにも、人づて
の耳(ミヽ)ハ、かぎりしあれバ、ちかくて見るめのまさしきにハ、猶にるべくも
あらざめるを、世に遠めがねといふなる物のあるして、うつし見るに
はいかにとほきも、あさましきまで、たゞこゝもとにうつりきて、枝さ
しの長きみじかき、下葉の色のこきうすきまで、のこるくまなく、見
え分れて、軒近き庭のうゑ木に、こよなきけぢめもあらざるばかり
に見るにあらずや、今此遠き代の言の葉のくれなゐ深き心ばへ
を安くちかき、手染の色うつして見するも、もはらこのめがね
のたとひにかなへらむ物を、やがて此事ハ志と、尾張の横井、千秋

はしがき二オ
ぬしの、はやくよりこひもとめられれたるすぢにて、はじめよりうけひき
てハ有ける物から、なにくれといとまなく、事しげきにうちまぎれて、
えしのはださず、あまたの年へぬるを、いかに/ \と、しば/″\おどろかさる
るに、あながちに思ひおくして、こたみかく物しつるを、さきに神代のまさ
ことも、此同じぬしのねぎことこそ有しか、御のミ聞けむとやうに、
しりうごつともがらも有べかめれど、例の心も深くまめなるこゝ
ろざしハ、みゝなし心の神とハなしに、さてへすべくもあらびてなむ、
◯うひまなびなどのためのは、ちうさくハ、いかにくはしくときた
るも、物のあぢハひを、甘しからしと、人のかたるを聞たらむやう
にて、詞のいきほひ、「てにをは」のはたらきなど、たまりなる趣にいたり

はしがき二ウ
てハ、猶たしかにはえあらねどば、其事を今おのが心に思ふがごとハ、里
りえがたき物なるを、さとびごとに訳(ウツ)したるハ、たゞにみづからさ思ふ
にひとしくて、物の味を、ミづからなめて、しれるがごとく、いにしへの雅事(ミヤビゴト)
ミな、おのがはらの内のおとしなれゝバ、一うたのこまかなる心ばへの、
こよなくたしかにえラルことおほきぞかし、
◯俗言(サトビゴト)ハかの国この里と、ことなきとおほきが中には、みやびごとに
ちかきもあれども、かたよれるゐなかのことばゝ、あまねくよもには
わたしがたれバ、かゝるとにとり用ひがたし、大かたハ京わたりの
詞して、うつすべきわざなり、ただし京のにも、えりすつべきハ有
て、なべてハとりがたし、
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『古今集遠鏡 巻一』 4 古今集遠鏡   はし(がき)二オ  本居宣長

2020-05-08 | 本居宣長 『古今集遠鏡』『玉あられ』


 『古今集遠鏡 巻一』 4 古今集遠鏡   はし(がき)二オ  本居宣長


 『古今集遠鏡』 
 6冊。寛政5年(1793)頃成立。同9年刊行。


はしがき二オ
ぬしの、はやくよりこひもとめられれたるすぢにて、はじめよりうけひき
てハ有ける物から、なにくれといとまなく、事しげきにうちまぎれて、
えしのはださず、あまたの年へぬるを、いかに/ \と、しば/″\おどろかさる
るに、あながちに思ひおくして、こたみかく物しつるを、さきに神代のまさ
ことも、此同じぬしのねぎことこそ有しか、御のミ聞けむとやうに、
しりうごつともがらも有べかめれど、例の心も深くまめなるこゝ
ろざしハ、みゝなし心の神とハなしに、さてへすべくもあらびてなむ、

◯うひまなびなどのためのは、ちうさくハ、いかにくはしくときた
るも、物のあぢハひを、甘しからしと、人のかたるを聞たらむやう
にて、詞のいきほひ、「てにをは」のはたらきなど、たまりなる趣にいたり




ねぎこと(祈り事のこと)
しりうごつ(後言つ)
 陰口を言う。
 出典源氏物語 紅梅
 「『見所少なくやならまし』など、しりうごちて」
 [訳] 「見所が少なくなってしまうだろうに」などと、陰口を言って。
有べかめれど(有べかんめれど)
ちうさくハ(小さくは)


はしがき一オ
古今集遠鏡 
   雲のゐるとほきこずゑもときかゞミ
     うつせばこゝにみねのもみちば
此書ハ、古今集の歌どもを、こと/″\くいまの無の俗語(サトビゴト)に訳(ウツ)せ
る也、そも/\此集ハ、よゝに物よくしれりし人々の、ちうさくども
のあまた有て、のこれるふしもあらざなるに、今更さるわざハ、い
かなれバといふに、かの注釈といふすぢハ、たとへばいとはるかなる高き
山の梢どもの、ありとバかりハ、ほのかにみやれど、その木とだに、あや
めもわかむを、その山ちかき里人の、明暮のつま木のたよりにも、よ
く見しれるに、さしてかれハと ゝひたらむに、何の木くれの木、も

はしがき一ウ
とだちハしか/″\、梢の有るやうハ、かくなむとやうに、語り聞せたらむ
がそとし、さるハいかによくしりて、いかにちぶさに物したらむにも、人づて
の耳(ミヽ)ハ、かぎりしあれバ、ちかくて見るめのまさしきにハ、猶にるべくも
あらざめるを、世に遠めがねといふなる物のあるして、うつし見るに
はいかにとほきも、あさましきまで、たゞこゝもとにうつりきて、枝さ
しの長きみじかき、下葉の色のこきうすきまで、のこるくまなく、見
え分れて、軒近き庭のうゑ木に、こよなきけぢめもあらざるばかり
に見るにあらずや、今此遠き代の言の葉のくれなゐ深き心ばへ
を安くちかき、手染の色うつして見するも、もはらこのめがね
のたとひにかなへらむ物を、やがて此事ハ志と、尾張の横井、千秋

はしがき二オ
ぬしの、はやくよりこひもとめられれたるすぢにて、はじめよりうけひき
てハ有ける物から、なにくれといとまなく、事しげきにうちまぎれて、
えしのはださず、あまたの年へぬるを、いかに/ \と、しば/″\おどろかさる
るに、あながちに思ひおくして、こたみかく物しつるを、さきに神代のまさ
ことも、此同じぬしのねぎことこそ有しか、御のミ聞けむとやうに、
しりうごつともがらも有べかめれど、例の心も深くまめなるこゝ
ろざしハ、みゝなし心の神とハなしに、さてへすべくもあらびてなむ、

◯うひまなびなどのためのは、ちうさくハ、いかにくはしくときた
るも、物のあぢハひを、甘しからしと、人のかたるを聞たらむやう
にて、詞のいきほひ、「てにをは」のはたらきなど、たまりなる趣にいたり
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『古今集遠鏡 巻一』 3 古今集遠鏡 はし(がき)一ウ 本居宣長   

2020-05-08 | 本居宣長 『古今集遠鏡』『玉あられ』


 『古今集遠鏡 巻一』 3 古今集遠鏡   はし(がき)一ウ  本居宣長


 『古今集遠鏡』 
 6冊。寛政5年(1793)頃成立。同9年刊行。



はし一ウ
とだちハしか/″\、梢の有るやうハ、かくなむとやうに、語り聞せたらむ
がそとし、さるハいかによくしりて、いかにちぶさに物したらむにも、人づて
の耳(ミヽ)ハ、かぎりしあれバ、ちかくて見るめのまさしきにハ、猶にるべくも
あらざめるを、世に遠めがねといふなる物のあるして、うつし見るに
はいかにとほきも、あさましきまで、たゞこゝもとにうつりきて、枝さ
しの長きみじかき、下葉の色のこきうすきまで、のこるくまなく、見
え分れて、軒近き庭のうゑ木に、こよなきけぢめもあらざるばかり
に見るにあらずや、今此遠き代の言の葉のくれなゐ深き心ばへ
を安くちかき、手染の色うつして見するも、もはらこのめがね
のたとひにかなへらむ物を、やがて此事ハ志と、尾張の横井、千秋


もはら(ママ もはや か)




はしがき一オ
古今集遠鏡 
   雲のゐるとほきこずゑもときかゞミ
     うつせばこゝにみねのもみちば
此書ハ、古今集の歌どもを、こと/″\くいまの無の俗語(サトビゴト)に訳(ウツ)せ
る也、そも/\此集ハ、よゝに物よくしれりし人々の、ちうさくども
のあまた有て、のこれるふしもあらざなるに、今更さるわざハ、い
かなれバといふに、かの注釈といふすぢハ、たとへばいとはるかなる高き
山の梢どもの、ありとバかりハ、ほのかにみやれど、その木とだに、あや
めもわかむを、その山ちかき里人の、明暮のつま木のたよりにも、よ
く見しれるに、さしてかれハと ゝひたらむに、何の木くれの木、も

はしがき一ウ
とだちハしか/″\、梢の有るやうハ、かくなむとやうに、語り聞せたらむ
がそとし、さるハいかによくしりて、いかにちぶさに物したらむにも、人づて
の耳(ミヽ)ハ、かぎりしあれバ、ちかくて見るめのまさしきにハ、猶にるべくも
あらざめるを、世に遠めがねといふなる物のあるして、うつし見るに
はいかにとほきも、あさましきまで、たゞこゝもとにうつりきて、枝さ
しの長きみじかき、下葉の色のこきうすきまで、のこるくまなく、見
え分れて、軒近き庭のうゑ木に、こよなきけぢめもあらざるばかり
に見るにあらずや、今此遠き代の言の葉のくれなゐ深き心ばへ
を安くちかき、手染の色うつして見するも、もはらこのめがね
のたとひにかなへらむ物を、やがて此事ハ志と、尾張の横井、千秋
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『古今集遠鏡 巻一』 2 古今集遠鏡 はしがき はし一オ  本居宣長 

2020-05-08 | 本居宣長 『古今集遠鏡』『玉あられ』


 『古今集遠鏡 巻一』 2 古今集遠鏡 はしがき 本居宣長   はし(がき)一オ


 『古今集遠鏡』 
 6冊。寛政5年(1793)頃成立。同9年刊行。



はし一オ
古今集遠鏡 
   雲のゐるとほきこずゑもときかゞミ
     うつせばこゝにみねのもみちば

此書ハ、古今集の歌どもを、こと/″\くいまの無の俗語(サトビゴト)に訳(ウツ)せ
る也、そも/\此集ハ、よゝに物よくしれりし人々の、ちうさくども
のあまた有て、のこれるふしもあらざなるに、今更さるわざハ、い
かなれバといふに、かの注釈といふすぢハ、たとへばいとはるかなる高き
山の梢どもの、ありとバかりハ、ほのかにみやれど、その木とだに、あや
めもわかむを、その山ちかき里人の、明暮のつま木のたよりにも、よ
く見しれるに、さしてかれハと ゝひたらむに、何の木くれの木、も



ちうさく(注釈)
あらざなる(あらンなざる)
あやめ(菖蒲)
つま木(妻き)



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『古今集遠鏡 巻一』 1  序一オ、序一ウ、序二オ 本居宣長 

2020-05-07 | 本居宣長 『古今集遠鏡』『玉あられ』
 『古今集遠鏡 巻一』 1 序一オ、序一ウ、序二オ 本居宣長 


 『古今集遠鏡』 
 6冊。寛政5年(1793)頃成立。同9年刊行。



序一オ
遠鏡序
この遠鏡はおのれはやくよりこひ聞えしまゞに
師のものしてあたへたまへるなり、この集はしも
よゝの注釈あまたあれとも、ちうさくハかきりありて
いかにくハしくとき、さとしたる
こゝちのするを、まことに書の名のたとひのことく
ちとせをへたてゝとをきの世のこゝろふかき
言の葉をいまの世のうつゝの人のかゝるを

ちうさく(注釈)
かきり(限り)

序一ウ、
むかひて聞たらむやうにこゝろのおくのくまも
あらハにはたらく詞のいきほひをさへに近くうつして
ちかくたしかに聞とらるゝ、この鏡のうつし詞は
おほろけの人のなしうへきわさにあらす、そのかミの
世のこゝろことはを、おのかものと手のうちににきりかへ
たる己の師のしわさならてハ、かゝるいろしき
よのたからを、おのれひとり、こゝろせはく

いきほ日(勢い)
おぼろけ(朧げ)
なしうへきわさ(なす技のこと)
せはく(狭く)

序二オ
わたくしものにひめおきて、やミなむことのねしけ
かましくあたらしくおほゆるまゝに、さくらの花の
えならぬ色をひろく人にも見せまひしく、松かえの
千代とほく世にもつたへまほしくて、名におふ
その植松の有信にあつらへつけて、桜の板にゑら
しむるなむ、かくいふハ木綿苑の千秋




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東洋文庫の『古今集遠鏡 1』

2019-10-11 | 本居宣長 『古今集遠鏡』『玉あられ』



   東洋文庫の『古今集遠鏡 1』
 

 大阪の行き帰りに、東洋文庫の『古今集遠鏡 1』を、ペンで線を引き、書き込みながら読み始める。

 言葉やその使われ方を事細かに記された本書は、通り一遍に読むだけでは、私の場合は頭に入ってこない。

 読んだのは隙間時間のほんの10ページでは有るが、以前にはざっくりと最後まで読んでいるので親しみやすい。

 誠、本居宣長という人物のアクセントが効いた文章に触れると、心は踊る。

 そろそろ和本にも手をつけたい。

 まずは序文から。


 未だ、ノートに書こうか、ブログに記録しようかと迷っている状態。

 パソコンは苦手なので、一部だけでも記録できればいいなと考えている。

  


  『古今集遠鏡』文化十三年子極月版  本居宣長著 寛政5年(1793)頃成立。同9年刊行。

   京都書林  風月 庄左衛門
   大坂書林  敦賀屋 久兵衛
   江戸書林  前川 六左衛門
   尾張書店  永楽屋 東四郎 印


 余談
 以前に訪れたことのある本居宣長記念館の公式HPでは、『古今集遠鏡』は次のように説明されている。
『古今集遠鏡』(コキンシュウ・トオカガミ)
 6冊。寛政5年(1793)頃成立。同9年刊行。
「遠鏡」とは望遠鏡のこと。
 実はこの前年、和泉国貝塚の岩橋善兵衛が、国産天体望遠鏡第1号を制作して、5年には京都で天体観測会が開かれている。
 岩橋の望遠鏡は、八稜筒で直径が24センチから27センチ。
 長さがその十倍と言う大きなもので、「阿蘭陀わたりの望遠鏡よりもよくみゆ。余が家にも所持す」と橘南谿(1753~1805・久居の儒医)は『西遊記』の中で記している。ちなみに天体観測会を主催したのも橘南谿である。
「遠鏡」という書名がブームに乗ったものとは言えないまでも、このような時代風潮の中にあったことは見逃してはならない。

 さて本書は、『古今和歌集』の全歌(真名序、長歌は除く)に、今の世の俗語(サトビゴト)、つまり口語訳、また補足的な注釈を添えた本。横井千秋の序文に「この遠鏡は、おのれはやくよりこひ聞えしまゝに、師のものしてあたへたまへるなり」とあるように。千秋のもとめで執筆した。訳は、てにをはに注意し、また言葉を補う場合はその箇所を明示し、厳密な逐語訳となっていて、一見、初学者向きの入門書ではあるが、高い水準を保っている。 『古今集』は宣長にとって最も尊重する、また愛好した歌集であった。

「古今集は、世もあがり、撰びも殊に精しければいといとめでたくして、わろき歌はすくなし」(『うひ山ふみ』)。
 新年の読書始めも同集序を選んでいる。講釈も『源氏物語』や『万葉集』と並んでその中軸となるもので、生涯に4度も行っている。一つの本の回数としては最高である。
 (本居宣長記念館の公式HP http://www.norinagakinenkan.com/index.html)
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『古今集遠鏡』文化十三年子極月版  本居宣長著 寛政5年(1793)頃成立。同9年刊行。

2019-10-04 | 本居宣長 『古今集遠鏡』『玉あられ』

 『古今集遠鏡』文化十三年子極月版  本居宣長著 寛政5年(1793)頃成立。同9年刊行。



 
 文化十三年子極月

   京都書林  風月 庄左衛門
   大坂書林  敦賀屋 久兵衛
   江戸書林  前川 六左衛門
   尾張書店  永楽屋 東四郎 印

        『古今集遠鏡』巻六 0最後のページに記されている。


 文化十三年子極月=1816年12月



 家族の書棚で見つけた本居宣長の『玉あられ』をざっくりと読み、面白かったため、『古今集遠鏡』六冊を購入した。

 和歌の中でもなぜか知らん『古今和歌集』の好きな私は、これまでにも本居宣長記念館に行き、博物館などでも本居宣長に触れる機会があったのはありがたい。


 読書の秋。

 以前に読んだ東洋文庫の『古今集遠鏡 上』も購入したことだし、マイペースで楽しんで遊ぼうと思う。



   

 以前に訪れたことのある本居宣長記念館の公式HPでは、『古今集遠鏡』は次のように説明されている。


 『古今集遠鏡』(コキンシュウ・トオカガミ)
 6冊。寛政5年(1793)頃成立。同9年刊行。
「遠鏡」とは望遠鏡のこと。
 実はこの前年、和泉国貝塚の岩橋善兵衛が、国産天体望遠鏡第1号を制作して、5年には京都で天体観測会が開かれている。
 岩橋の望遠鏡は、八稜筒で直径が24センチから27センチ。
 長さがその十倍と言う大きなもので、「阿蘭陀わたりの望遠鏡よりもよくみゆ。余が家にも所持す」と橘南谿(1753~1805・久居の儒医)は『西遊記』の中で記している。ちなみに天体観測会を主催したのも橘南谿である。
「遠鏡」という書名がブームに乗ったものとは言えないまでも、このような時代風潮の中にあったことは見逃してはならない。

 さて本書は、『古今和歌集』の全歌(真名序、長歌は除く)に、今の世の俗語(サトビゴト)、つまり口語訳、また補足的な注釈を添えた本。横井千秋の序文に「この遠鏡は、おのれはやくよりこひ聞えしまゝに、師のものしてあたへたまへるなり」とあるように。千秋のもとめで執筆した。訳は、てにをはに注意し、また言葉を補う場合はその箇所を明示し、厳密な逐語訳となっていて、一見、初学者向きの入門書ではあるが、高い水準を保っている。 『古今集』は宣長にとって最も尊重する、また愛好した歌集であった。

「古今集は、世もあがり、撰びも殊に精しければいといとめでたくして、わろき歌はすくなし」(『うひ山ふみ』)。
 新年の読書始めも同集序を選んでいる。講釈も『源氏物語』や『万葉集』と並んでその中軸となるもので、生涯に4度も行っている。一つの本の回数としては最高である。
 (本居宣長記念館の公式HP http://www.norinagakinenkan.com/index.html)
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『玉あられ』 本居宣長 (和本)  覚書

2019-09-22 | 本居宣長 『古今集遠鏡』『玉あられ』




  『玉あられ』 本居宣長   和本  控え

 
 (○五十一終ウ左の頁 表記無し)オ 及び ○五十一終ウ
 今回も記録のみにて失礼申し上げます。


  『玉あられ』本居宣長著 1 「玉霰序」三井高蔭(「玉霰序」資料2/6枚 + 『玉あられ』表紙)

   『玉あられ』本居宣長著 2 本居宣長の記した序の部分 三頁 (資料5/3枚 + 『玉あられ』表紙)

  『玉あられ』本居宣長著 3  『玉あられ』目次  六頁 (資料3枚/6頁 + 『玉あられ』表紙)

  『玉あられ』本居宣長著 4  『玉あられ』本文より 興味深い部分 多いので二箇所のみ記録(資料4枚 + 『玉あられ』表紙)

  『玉あられ』本居宣長著 5巻 『玉あられ』寛政四年壬子春発行 勢州書林 京都書林(資料1枚 + 『玉あられ』表紙 + 他) 写真全十六枚
 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
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東洋文庫『古今集遠鏡』(本居宣長著 今西祐一郎 校注)が届く。

2019-09-22 | 本居宣長 『古今集遠鏡』『玉あられ』

 本居宣長

 

 以前にも読んだことのある東洋文庫の『古今集遠鏡』(本居宣長著 今西祐一郎 校注)が届く。

 和本と合わせ、これでじっくりと自分らしい時を過ごせるであろう。



 
 『古今集遠鏡』 覚書
 『古今集遠鏡 一』(東洋文庫)読了。 次は、和本『古今集遠鏡』(六冊)と、岩波古典文学・新古典文学全集とともに読む。

 『古今和歌集遠鏡補正, 2巻』

  『玉あられ』 本居宣長  (和本) 覚書

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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『玉あられ』本居宣長著 5巻 『玉あられ』寛政四年壬子春発行 勢州書林 京都書林(資料1枚 + 『玉あられ』表紙 + 他) 写真全十六枚

2019-01-14 | 本居宣長 『古今集遠鏡』『玉あられ』
 『玉あられ』本居宣長著 5完  『玉あられ』寛政四年壬子春発行 勢州書林 京都書林(資料1枚 + 『玉あられ』表紙 + 他)



『玉あられ』の最後の見開き

 ○玉阿ら連     (○五十一終ウ左の頁 表記無し)オ         ○五十一終ウ 


 発行された年号と木版刷り出版社名

  寛政四年壬子春発行

       勢州書林 
       京都書林                 ○五十一終ウ

  
  書律   連名 (全七名)            (○五十一終ウ左の頁 表記無し)オ


 

 (○五十一終ウ左の頁 表記無し)オ 及び ○五十一終ウ
 見開き全て「印」無し
       

 今回も記録のみにて失礼申し上げます。








 
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
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『玉あられ』本居宣長著 4  『玉あられ』本文より 興味深い部分 多いので二箇所のみ記録(資料4枚 + 『玉あられ』表紙)

2019-01-14 | 本居宣長 『古今集遠鏡』『玉あられ』


 『玉あられ』本居宣長著 4  『玉あられ』本文より 興味深い部分 多いので二箇所のみ記録(資料4枚 + 『玉あられ』表紙)




 愈々『玉あられ』の本文。

 興味深いところが多かったが、二箇所だけ写真で記録。

 本居宣長さま、あなたもか!と、心浮き立った。

 私はほんに、貫之さまと業平さまが好きじゃによって、選んだのがはじめに二枚。

 後の二枚は、「賀してといふこと漢文也。云々  よくわきまへて書べし。」という風に大変本居宣長さまらしく感じたのでこのページにした。

 とは言え、はじめから最後まで本居宣長さまらしい文章が続くので、楽しくて飽きずに読めた。


 今回も記録のみにて失礼申し上げます。





 
 ○玉阿ら連     ○三五 オ         ○三五ウ 

 
 ○玉阿ら連     ○三五 オ         ○三五ウ 

 
 ○玉阿ら連     ○三九 オ         ○三五ウ 

 
 ○玉阿ら連     ○三九 オ         ○三五ウ 



 
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『玉あられ』本居宣長著 3  『玉あられ』目次  六頁 (資料3枚/6頁 + 『玉あられ』表紙)

2019-01-13 | 本居宣長 『古今集遠鏡』『玉あられ』




 『玉あられ』本居宣長著 3  『玉あられ』目次  六頁 (資料3枚/6頁 + 『玉あられ』表紙)




『玉あられ』に目次は見開きで三頁(全六頁)

 ここは読み始めはさらりと目を通したが、『玉あられ』の読了後に、内容を思い出しつつ、もう一度じっくりと見て楽しんだ。

 記録のみにて室亭申し上げます。





 
 ○玉阿ら連     ○三

 
 ○玉阿ら連     ○四

 
 ○玉阿ら連     ○五


 
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『玉あられ』本居宣長著 2 本居宣長の記した序の部分 三頁 (資料5/3枚 + 『玉あられ』表紙)

2019-01-13 | 本居宣長 『古今集遠鏡』『玉あられ』


 『玉あられ』本居宣長著 2 本居宣長の記した序の部分 三頁 (資料5/3枚 + 『玉あられ』表紙)





 家族の書棚の太平記(和本)の中から偶然見つけた『玉あられ』を漸く読了。

 前回は三井高蔭が書いた「玉あられ序」であったが、今回は本居宣長の序の部分。

 全部で三ページと短い。

 ここを読んで、最後まで読める興味深い内容だと感じた。

 私にとっては、重要な部分であった。




 

 
 ○玉阿ら連     ○二
 

 

 
 ○玉阿ら連     ○二


 

 『玉あられ』本居宣長著




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『玉あられ』本居宣長著 1 「玉霰序」三井高蔭(「玉霰序」資料2/6枚 + 『玉あられ』表紙)

2019-01-13 | 本居宣長 『古今集遠鏡』『玉あられ』

 『玉あられ』 1 「玉霰序」三井高蔭(「玉霰序」資料2/6枚 + 『玉あられ』表紙)





 隙間時間に『玉あられ』を読み、先日読了。

 わずかずつ記載したい。

 見ていただきますれば幸いです。




 

 『玉あられ』本居宣長著

 
    (この間に四ページあります)
 

 『玉あられ』「玉霰序」三井高蔭

    ○序一
    ○序二
    ○序三   

    全六頁 内写真二枚

「玉霰序」三井高蔭は大変大きな文字で記されている。


 三井高蔭著『弁玉霰二論 』

 『弁玉霰二論 』は早稲田大学で公開されている。▼

   早稲田大学 http://www.wul.waseda.ac.jp/kotenseki/html/ho02/ho02_00921/index.html

 





三井高蔭(ミツイ・タカカゲ)

 宝暦9年(1759)~天保10年(1839)11月24日。享年81歳。幼名岩三郎、亀之助、総(宗)十郎。名は初め高照(ヒロ)、宗養。号は藁蔭舎(ワラビサシノヤ)。三井家鳥居坂家四代目。
 15歳から江戸店で修行。
 安永4年(1775)正月26日からの第3回『源氏物語』講釈に参加するが、入門は遅れて同8年。三重圏点。
 天明5年(1785)頃から「本居氏ノ門ニ於テ専ラ文学ヲ研究シ、特ニ作歌ニ力ヲ用フ」(「稿本三井家史料」)。
 この記事の裏付けとなるのが「三井高蔭日記」で、天明5年と7年の一部が残されて宣長との交流などその日常が詳記される。
 師の六十賀に参加、また、松坂を来訪した松平康定に大平と拝謁し、『源氏物語玉の小櫛』刊行を助ける。
 寛政11年3月16日の七十賀は、塩屋町の別業畑屋敷で開く。
 山室山奥墓の建造に尽力。
 文化6年、養子三井高延(後に春庭門人)を京都より迎え、天保3年、家督を譲る。
 著書に『弁玉あられ論』がある。京都の有職家・高橋家とも交渉があったらしいが詳しくは分からない。

  ( 本居宣長記念館 公式HPhttp://www.norinagakinenkan.com/norinaga/kaisetsu/mitsui_taka.html引用)



 三井高蔭(ミツイ・タカカゲ)

 1759-1839 江戸時代後期の国学者。
 宝暦9年4月22日生まれ。豪商三井家の一門(松坂北家)。本居宣長(もとおり-のりなが)の門人で,本居春庭(はるにわ)の後鈴屋(のちのすずのや)社を後援した。
 天保(てんぽう)10年11月24日死去。
 81歳。伊勢(いせ)(三重県)出身。
 通称は宗十郎。
 号は宗養,藁廕舎(わらびさしのや)。
 著作に「弁玉霰(べんたまあられ)二論」。

  (デジタル版 日本人名大辞典+Plus引用)



 三井高蔭(ミツイ・タカカゲ)

 三井家(みついけ)は、日本の氏族。江戸時代の豪商であり、三井財閥の当主の一族。

 三井家の家伝によると、藤原道長の六男長家の五代孫右馬之介信生が近江国に土着し、武士になったのが三井家の始まりとされるが、史料の裏付けはない。
 12代出羽守乗定が近江半国守護六角氏から養子高久を迎え、以降六角氏に仕えるようになり、「高」を通字とした。しかし高久の五代孫越後守高安の代、織田信長の上洛によって六角氏とともに三井氏は逃亡し、伊勢国津付近の一色へ移り、その後、松坂近くの松ヶ島に居住するようになったとされる。

 慶長年間には高安の子高俊が武士を廃業して松坂に質屋兼酒屋を開き、商人としての三井家が創業された。
 屋号の「越後屋」は高安の受領名に基づく。
 高俊の後は嫡男俊次が継いだが、実際の商売は高俊の妻殊宝が取り仕切り、越後屋を発展させた。寛永年間始め頃江戸本町四丁目に小間物店「越後屋」を開き、後に呉服屋となった。この家は釘抜三井家と呼ばれる。
 高俊の次男弘重と三男重俊も江戸や松坂で自らの店を開いている。

  (Wikipediaより)
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『玉あられ』 本居宣長著   ちょうど半分、読めました^^

2019-01-02 | 本居宣長 『古今集遠鏡』『玉あられ』
 カイロ ハンハリー市場(バザール)近くのモスクにて 






 本居宣長著の『玉あられ』を元日も声を出して読んでいた。

 いつもは夫に聞かせ、解釈も自分なりに付け加えて読んでいた。

 今回は子供が帰ってきているので、子供に読み聞かすと、
「お母さん、きついわ!まじ辛いから!解釈いらないから、次々読んで。」
 
 息子の言うようにつらつらと文字を並べ立てていめば、
「解釈して。」
 加えて、
「お父さん、これ、毎日聞いてるの?」
 夫曰く
「聞いてるわけ、ないだろ。」
「そうやんな!」
と、二人で顔を見合わせている。

 私は、
『あなたが十代後半に専門も違うのに遊び心で500円で購入したのでしょうが!』
と内心しかる(笑)

 私が読まねば日の目を見なかった『玉あられ』

 文字が美しいのと内容が興味深いので、ただいまちょうど半分まで読めている。




 それにしても、江戸和本美品一冊500円って^^

 本居宣長をもっと買っておいて欲しかったわ。


 写真のUPはもう少しお待ちください。

 怪我も回復の方向で、短時間ならフォトショも使えそうです。




     今年はほんに、良い年じゃわぇな!!!

 
コメント (4)
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