2012年 本
21: 絵巻の文字がすべて読める 『篠山本 鼠草子』




愛原 豊 著
1933年、兵庫県朝来市に生まれる。
公立小・中学校教諭を経て、後半は学校法人親和学園(親和女子高等学校・親和中学校)教諭。
1998年退職。所属:日本語学会(旧名、国語学会)、日本語文法学会(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
平成22年11月
三弥井書店
146ページ 2400円
本書は兵庫県、篠山市立青山歴史村蔵、奈良絵本「笹山本 鼠草紙」を、オールカラーで全文を紹介し、翻刻したもの。仮名文字の読めない一般の読者の方にも「笹山本 鼠草紙」が読めるつくりとなっている。
【目次】
序文 石川透
はじめに 篠山本鼠草紙調査の概要
<第一部>絵巻の楽しい絵を眺める 物語の全影印とあらまし・解説
<第二部>絵巻の美しい文字を読む 詞書き・画中詞の全影印と翻刻
<第三部>篠山本と他の同系伝本とを比較する
<付録>展示室の篠山本鼠草紙
後記
参考文献


奈良絵本などをみたいが、なかなかその機会には恵まれない。
時々博物館や神社や資料館で目にする絵巻物夜重要資料はガラスケースで保護され、長い巻物の一部分だけを楽しませていただける。
それでも嬉しくって、ガラスを隔てて文字を舐め回す。
『篠山本 鼠草子』は肌身離さず持っていたいと思うくらいに愛おしい。
著者は、まず初めに鼠草子の筋書きがすんなりと理解できるように構成。
鼠草子のうつくしくかわいらしく本人たちに撮っては真っ向から考えとり組む姿が愛らしい。
「鼠草紙」は一軸の大型絵巻
紙高は36センチ、長さは約26メートルに達する。
なので、本書に載せられた絵はその断片と説明されていた。
思うに著者は相当『篠山本 鼠草子』を愛していらっしゃるようす。
写真の撮り方や加工方法まで後悔して下さっている。
ガラス越しの原本と陰影本との比較や、現本と原稿本(本書)夜の比較も資料として加えて下さっています。
ですから、研究者の方々の『篠山本 鼠草子』の取り扱いやようすを載せていただくことは、ありがたい。
わたしのようなそういった機会になかなか恵まれない主婦にとっては、嬉しくて仕方が無い。
気がつけば、古文書を二講座受けている。
ひとつは完全な入門講座で、ひとつは奈良の歴史を具体的に読んでいく形。
そんなこんなで変体仮名がかかれた本を月に二、三冊は読んでいるが、力はつかない^^

今月の一冊目は絵も筋書きも構成も著者の説明も好きな『篠山本 鼠草子』を読む。
はじめに絵巻物をみて楽しみ、それから読む。
本を開けたのは月末(1/31)のお昼頃から…。
なので正直、丸二日かかった。
間違があるにせよ、そのまま最後まで突っ走る。
次に詞書き(影印と翻刻)
翻刻部分を隠して読む。
時々定規をずらして、不安げな字を確認。
もう一度 『篠山本 鼠草子』をゆったりとした気分で眺め、楽しみ終わったのが、2/2の午前三時。
実はこの二日間に 以前読んだことのある『假名草子集 』から「竹斎」 日本古典文学大系を、今度は 影印 二種類で読み始めた。
そのうちのひとつは、『假名草子集 』「竹斎」の影印
昨日はとりあえず 二種類の竹斎を 三ページ分だけ 三回ずつ読み、今の仮名でノートに写してみた。
竹斎を読み終えた後に『篠山本 鼠草子』を見ると、読める崩し字が増えていた。
昨日今日と『篠山本 鼠草子』と「竹斎上」二つを読み続けているような気がする。
絵巻物の方を読みノートに写し、詞書きで正当を確認したい。
「竹斎上」影印 二つはノートにつけ、意味を調べ、三月下旬までに丁寧に読みたい。
他にも説教節、幸若舞、民俗学関係、美術関係など読みたいものが多い。
今年はあせらずじっくりと楽しもう。

ところでこの『篠山本 鼠草子』
とても愛らしいし、詞のリズムが洒落ています。
例えば…
ね
こ
の ね
ぼ こ
う の
ね ぼ
ん う ね
あ ん
み ね あ
ん み
あ
み
ねこのぼう や ねんあみがでできます
上二文字を右から読むと
ねんねんねこねんねこ
上二文字を右から読むと
ねこねんねこねんねん
まぁ!なんてかわいらしいのでしょう…。

といっても、独自の味わいで、解説にはありません。お許しを…
ねんあみは姿を見破られて姫に捨てられ、出家して猫のお坊さまと高野山に登るのですけれどもね…。
ねんねんねこねんねこ ねこねんねこねんねん
この世はきびしおすが
ねんねんねこねんねこ ねこねんねこねんねんでまいりましょうぞ。
『篠山本 鼠草子』は後三回は読んでおきたい。
篠山歴史村資料室にあるだろう『篠山本 鼠草子』をこの眼でみてみたい。
『篠山本 鼠草子』はわたくしはたいへん好きです☆