
『二十六人とひとり』ゴーリキイ著 百年文庫11 ポプラ社
ゴーリキイ著
『二十六人とひとり』(101~147頁)
百年文庫11
ポプラ社
2010年
750円+税
地を這うようにうごめきもがきながら生きる人々。
自分たちでさえ、人間の尊厳をも見失っている、
唯一の救いは、純粋と思える少女。
少女に爪の先の灯ではあるが、自分にできる唯一の思いを男たちは言葉少なくパンのかけらといった形で与える。
そのことにより、自分の存在価値を見出すかのように。
小説からは父埃とカビのにおい、どんよりと湿った空気、暗闇。
そして色彩としては、こげ茶とグレーに透明色のオーレオリンをかけたような、重厚さに誇りを混ぜたような色合い。
これは、ずいぶん昔、wowowで特集を組まれていた数本のロシアオペラ映画のイメージに近い。
ロシア及びロシア文学の気骨と鷹揚さとを感じさせる秀作だと感じる。
ゴーリキは、続けて読んでみたいと感じた。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます