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2010年度 36册目
『竹取物語・伊勢物語』(岩波書店)から 「伊勢物語」
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『竹取物語・伊勢物語』(岩波書店)から 「伊勢物語」
新日本古典文学大系17
岩波書店
1997年1月28日 第1版
P.79~196
『竹取物語・伊勢物語』(岩波書店)から「伊勢物語」を読了。
「伊勢物語」はビギナーズ文庫を含めて、今年で二度目。
今回は『伊勢物語』と『假名草子集 』の「仁勢物語」を見比べながら読んでいた。
恥ずかしいことにこの二冊は一ヶ月以上かかって読み終わった。
結構なお時間。
「仁勢物語」を読みたいがためだった。
「伊勢物語」を知らないことには面白みがわからないといった理由で読んだが、「伊勢物語」の方が面白い。
両方を見比べて楽しむのは最後には多少の疲れを感じ、「伊勢物語」2;「仁勢物語」1といった見比べパターンで楽しむ。
ビギナーズ文庫を加えると、今年は「伊勢物語」を三度読んだことになる。
「伊勢物語」と「仁勢物語」の見比べ読みは楽しかった。
例えば「伊勢物語」百二十段
昔、をとこ、女のまだ世経ずとおぼえたるが、人の御もとに忍びてもの聞こえてのち、ほど経て、
近江なる筑馬の祭とくせなんつれなき人の鍋の数見む
これが「仁勢物語」百二十段では
をかし、女のまだ世経ずと覚えて、つれなき顔にて、振る舞いするとて、
近江なる堅田の鮒をとく煮なんつれなき人の鍋の尻見む
となる。
「仁勢物語」では
をかし、男・・・で始まることが多い「仁勢物語」百二十段ではわざわざ「男」が省かれていたーーーなどといったことは今回は触れないでおこう。
「仁勢物語」では‘鍋尻焼く’といった嫁が家計を見るところに焦点が絞られているが、「伊勢物語」では滋賀県の米原町にある筑馬神社にまつわる人々の風習までもが織り込まれている。
筑馬神社では交わりの数だけ土鍋を作って神に供えるという。
こういった風習は民俗学的に考えても非常に興味深い。
数少ないがわたしが手にした民俗学関係の本にはこういった内容がかかれたものは無かった。
滋賀の米原町というと京都生まれのわたしには親しみ深い感じがする。
だが、その昔 実際にこういった内容が行われていたか否かはわたしにはわからない。
どういった形でどういった食材をもとにどういった理由いつ頃まで鍋を焼いたかと考えると、興味は尽きない。
最後に、「伊勢物語」からは‘鍋鍋底抜け 底が抜けたら変わりましょ。’という歌を、「仁勢物語」からは‘尻に火がつく’という言葉を思い浮かべた。
「伊勢物語」と「仁勢物語」は時間はかかるが単純に考え気楽に読んで面白かったが、深くはわからない。
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