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乱鳥の書きなぐり

18: 『夜這いの民俗学 夜這いの性愛論』 赤松啓介 著  筑摩学芸文庫

(写真は信貴山から見える山)

 

記録だけ  

 

2009年度 18冊目  

 

 『夜這いの民俗学 夜這いの性愛論』

 

  

 赤松 啓介 著

 2004年6月9日第1版

 2004年12月25日第4版

 株 筑摩書房

 筑摩学芸文庫

 327ページ 1200円+ 税

 

 赤松啓介 著の 『夜這いの民俗学 夜這いの性愛論』を本日読了。

 これが結構時間がかかり、3日を費やす。

 故赤松啓介氏の口調は学者らしからぬ味わいで、口調良く語る。

 気品にとんだ方とは言えないが、味わい深い内容と意味合い。

「ここの村ではそうだが、燐村や他村では知らない!」といいきる赤松啓介氏の自身に満ちた潔さは、気持ちが良いものだ。

 自分にとって都合の良い継ぎ接ぎをする研究者も多い中、「イエスかノーの二つに一つではない!」といった姿勢は、学者としての厚みさえ感じる。

 

 柳田國男氏の問題点は、居間まで読んだ南方熊楠氏や折口信夫氏や宮田登氏や本田勝一氏などのか鳥羽よりも具体的で単刀直入。

 切り口が鮮やかで、且つ わかりやすかった。

 また某女史などに対する感想も、本質を得ており、的確といえよう。

 

 夜這い内容云々は私の頭の中にたたき込まれているのでここでは省かせていただく。

 

 面白く、興味を持ったのは『柿の木問答』

 これは芸能の初めとされる問答が、生活に密着した形か・・・。

 内容から言っても、五穀豊穣と子孫繁栄を兼ね合わせていると思うのは、私だけであろうか・・・。

 となれば、問答、五穀豊穣、子孫繁栄から考えて、これは二人だけの問題ではなく、神に言い聞かせていると考えられるのではないだろうかと感じる。

 また柿の木は果実(実もの)と言うだけではなく、『柿』の文字の「木偏」を「女偏」に変化させると、『姉』という字となる。

 本書に書かれた『柿の木問答』の台詞を変え、『姉の気問答』とすると話が通じると思えるのは私だけか・・・。

 

 著者曰く、教育勅語などにおける禁止事項が今の日本の性に対する感覚的基本形を無し、元の日本の性大系を大きく揺るがしたことには変わりないらしい。

 それは幸か不幸かは別問題として、日本民俗の大きな部分を大きく変化させたのだろうと思うと、複雑な気持ちになる。

 それが著者の言うように悪かったかどうかは、私個人にはわからない難しい問題を抱えている。

 ただ、赤松啓介氏の言うには 過去のそういった風習を 柳田國男氏のように無かったことにしてしまっているという。

 そういった姿勢柳田國男氏の姿勢が本当ならば、これに関してはいただけない。

 事実は事実としてとらえられる民族学的学問であって欲しいと願うばかりである。

 

コメント一覧

しし さま
コメントをありがとうございます。
流石のしし様。
私は赤松先生の本ははじめてで、名前も知らなかったのです。

息子が大学図書館に行くって言うので、検索してこの本と『都市と境界の民俗』(筑波大学民族学研究室)をかりてきてもらいました^^
この本を選んだ理由は、自分では近隣図書館に頼むのが恥ずかしい事と、民族学関係の諸先生がこの問題無くしては、民族学は語れないといっておられるためです。
ところが・・・。

300ページくらいのかるい本で ことばも簡単なのに、イメージが全く湧かない・・・。
ことのほか 時間がかかってしまいました。

私は京都市内でしたので、こういったことを聞いたことが無かったのです。
しかし調べてみましたら、昔は大原の辺りで祭の際にこういったことがあったらしい。
播州やら大阪やら、この所を本を手がかりにいろいろ調べて遊んでいました^^
そんなこんなで、3日もかかってしまいました。
馬鹿ですね~^^;;

山間部の神楽にもそういった演目があるのでしょうね。
奈良の神事の中にもそういったものがあって、おかめひょっとこの面で演じられているようですね^^
やはり子孫繁栄と五穀豊穣を願ってのように思いますが、まだ、見たことがないのです。
昨日読んだ『奈良大和の祭り』で奈良のそういった神事が多いことを知ったところなんですよ^^;;

赤松先生の口調は笑ってしまいますでしょう^^
不思議ですね。
この先生の話の場合は自然で、後味は悪くなかったです。
全体を通して、面白かったですよ^^
深堀大三郎 さま
コメントをありがとうございます。
深堀大三郎さんは貴重な経験をされたのですね。
民族学の学者(よそ者)などが話を聞こうとしても、なかなか本当のことを効くことができないそうですって。
ですから、赤松先生は他の学者に、嘘をついているように言われたそうです。

深堀大三郎さん、こどものころの食べ物や聞かれたお話を書物にしたためられるっていうのはどうでしょう・・・。
聞きたい、読みたい人は多いと思いますよ。
ししです。乱鳥様。
先ほどのコメント…
長々のコメントはししでした。
Unknown
最近乱鳥さまは「民俗学」をよく勉強されておられますね。赤松先生の著書といえば、’差別の民族学’を昔し斜め読みしたことがあり、少し覚えています。『夜這いの…』の本を先ほどお客様先から戻る際に、大きなBooKセンターで立ち読みしてきました。300頁そこそこでの単行本の割りに高価ですね。今月のお小遣いと相談してつい立ち読みに留めてしまいました。今度、近所の図書館で探してみます。立ち読みした程度なのであまり頭に入っていませんが、手に取って表紙を眺めていますと、隣におられたご婦人が、手に取った私をチラ見されておりました。なんだかタイトルが純な私には気恥ずかしい感じ…(笑)。
山間部のムラムラを、神楽を訪ねて歩いておりますと、子孫繁栄をテーマとした男女の○○を表現した里神楽に出会うことがあります。真ッ黒くて太い珍○を握った男役と、頬かむりした女役が見事に演じてくれます。見ている者はみんな大笑いで、辛らつな○表現も大らかに笑い飛ばします。こんなのを、都会で演じたら、きっとセクハラで女の娘から訴えられます。
赤松先生の研究では、地元の播州あたりではたった数十年前の、昭和の初期まで「夜這い」の習慣が残っていたんですね。テレビやゲームやビデオといった娯楽のないムラでは、唯一の楽しみ事だったのではないかと思います。それにしましても、兄貴が友達に、妹が最近来てくれなくなったとこぼしていたというクダリは、本屋で思わず笑ってしまいました。
・この本をわざわざ選ばれて三日もかかって読まれた方がまだお若い主婦の方と想像すると、想像だけでも楽しくなってきます。なぜ何万冊も何十万冊も本があるなかで、これなんでしょうって。
深堀大三郎
夜這いの民俗学・・・
60数年前、小学校5~6年生頃、戦争末期で元気な先輩や若者は全て兵隊か軍事工場へと借り出されていました。
僕らの田舎町は僕らの年齢で、もう大人みたいなことをやらされていました。消防団なんかも良い例です。
少年でも、一端の寄り合いなどがあり、その中で、さも真剣な顔をして聞かされたものの一つが夜這いの話です。
民俗学として語られる世界を是非のぞいてみたいと思っています。
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