(写真はわが家にいたセミ。私が庭に出ると、数十匹はどこかに飛んでいってしまったが・・・十~二十匹のしぶといセミは、色々な木にしがみついて、身を潜めていた。『隠れてるつもりでも、見つかってますぞ。蝉丸君・・・。』)
八月蝉い、いや、五月蝿い、セミ
(うるさい、 いや、 うるさい、 セミ)
今年も 半月ほど前から、わが家に蝉がやってきた。
ご近所も含めて、毎年セミは多く、テレビの声も聞こえないが、今年は格別、数が多い。
庭に出ると30~50匹のセミが、いっせいに舞い立つ。
「ジジジジジジ、ジジジジジゥィイイィイ・・・・・・」
と飛び、隣家の庭に大移動する。
その姿は、ヒッチコックの『鳥』を思い浮かばせる。
一瞬、空は、黒くなる。
今は庭に侵入者(人間)がいないため、我が家にも多くのセミが舞い戻り、これでもかこれでもかと誇らしげに音をたてている。
一説によると、セミは耳が悪いとも言われているが、その説は疑問だ。
一定の音程或いは周波数を聞き取りにくいといった方が、正確なのだろうか・・・・・・
とにかく、こちらの神経を脅かすほどに、声高だ。
「ズゥイイ~」
とか
「ジィズィイイ~」
などはかわいいもので、
「ジ!」
の一言の数が、複数 合わさろうものなら、これはもう 音の暴力としか言いようが無い。
私は夏になるとこの
「ジ!」「ジ!」「ジ!」「ジ!」「ジ!」・・・
の 集合体に対して、
『グッ!』
と、ひとり耐え忍ぶのである。
庭の木から木、わが家から ご近所・・・
異常発生したセミは、8年という耐え忍んできた年月の長さと、自信に見守られて、腹底から声を出せように、羽をこすり合わせる。
見ると腹に力をこめて 胴を前後に動かせながら、調子を整えて鳴いているのである。
そう思うと、この八月蝉い(五月蝿い)やつも、どこか憎めないのである。