『東學墨画展』近鉄アート館“復活祭”特別展 東學・墨画展 ―墨の糸が織りなす、愛しき命たち―
2014年3月4日(火)~19日(水)
“近鉄アート館・劇場開き”において歌舞伎俳優・片岡愛之助とのコラボで、迫力あるライブ・ペインティングを披露する平成の浮世絵師“東 學”(あずま・がく)。 京都の扇絵師を父に持ち、純然たる日本画の血を受け継ぎながらも、妖艶でアヴァンギャルドな独自の世界観でファンを魅了。 また、演劇ポスター作家としても名を馳せる奇才で、『維新派』『劇団EXILE』など演劇シーンにおいて彼のクレジットを見ない日はない。 今回の特別展では代表作である11メートルの『花戰』をはじめ、大型作品を中心に展示。 まるで糸のように繊細な墨の線が描き出す、妖艶な女性や花、生き物や神仏などをご覧ください。
ハイキングの帰り、薮用で近鉄(デパート)に立ち寄る。
遠目に見えた『操り三番叟』の複数枚のパネルに目を奪われ近づくと愛之助さんだった。
歌舞伎の舞台演出家の個展かといった軽い気持ちで中をのぞくと、そこには東學墨さんの大型作品が立ちはだかっていた。
これはしたり!と、リュック姿で場違いな服装にも関わらず、気持ち小心気味に入場。
そこには堂々たる東學作品
東學さんについては前知識が無かったがどこかしこでいろいろなアートを見かけて心にとどめていた。
大きな作品の前に立ち、直感的に京都の方の作品だと悟る。
新しく斬新な作品だが、古典的だ。
基本をふまえられて多くを学ばれていらっしゃる。
屏風や掛け軸や絵巻物や御伽草子や浮世絵や、海外の良質な作品が大胆な構図で再建されていたり、または細やかに取り入れられている。
一作目は時間の流れが表現されていた。
二作目には理想的な女性の「風神雷神」が見えた。
他にも興味深い物が多くあり、これでもかこれでもかといった多くの技法が織り込まれ、北斎の紛れ込ませた騙し絵を探しているような自分に気づく。
東學さんは優れたデッサン力と感性と色彩と知識をお持ちのようだ。
大きくとらえられた構図の中には部分的には面相筆で細密描写が施されており、ことに髪の流れるような美しさは日本画の奈良の某画家や有名な幽霊絵(掛け軸)の数々を思い浮かべる。
どの作品を見ても、それぞれにいろいろな作品やキャラクターが東學風に変換され描かれている素晴らしさは、非常に心地が良い。
もし、『東學墨画展』が近鉄の画廊ではなく美術館で開催されていたならば、二、三時間はゆうに見つめていたに違いない。
舞台美術とこういった作品を比較しながら見てみたいという願望が生じた。
もう亡くなったが、叔父に某映画会社で結構名を馳せた美術監督がいた。
舞台美術と映画美術と絵画作品では、手法はずいぶん違いがあるのだろうと感じる。
色々好きな作品があった。
女性の表情が何ともいえず今現在万人に好まれる顔では無いかと感じた。
古典絵画が和の心を醸し出しながらも、現代に通用しる洒落た感性が加わり、おしゃれな世界のCMにはぴったり!。
『東學墨画展』を見てからというもの、テレビで歌舞伎役者玉三郎さんが舞台に立たれる度に、東學作品を心の片隅に思い浮かべる。
確か「地獄」という作品の中央右下の鬼の顔が、「クリムゾンキングの宮殿」(レコードジャケット100選に選ばれている)に似ており、思わずほくそ笑んでしまった。
私の右後ろに東學さんが立っておられた。
恥ずかしいことに、「クリムゾンキングの宮殿」似の鬼の躰には立派な おてんてん(?笑)^^;;が描かれていた。
おてんてん(?笑)を見て笑ったと勘違いされたのではないかと、一瞬ブルーになる私。
と同時に、浮世絵(春画や、あぶな絵)をも思い出した(笑)。見ていていやらしさは無く、何を書かれていても繊細で重厚だ。
東學作品は300号もあるのではないかと思われる立派な墨絵の大作が展示。
だが、元は画廊(?)なので、冊が無い。
作品の性質上、額(ガラス)にも入ってないので、直接間近で見ることができた。
会場はことのほか狭く、大型作品をまともに見ることはできない。作品間の通路、おそらく二、三メートル。
なので仕方なしに屏風を見るように左右に何度も移動しながら拝見させて頂いた。
上にも書いたがハイキングの帰りでリュックを背負っていたため、後ろの作品にあたらないように、最善の注意をはらい見る必要があった。
パネル木組み(?)に和紙がはられ、描かれた東學作品。
墨絵であったが、大変豊かな色彩を感じた。
俳画のように空間がうまく使われ、紙は時代の流れを感じるように豊かな色合いで色付けてある。
墨の色彩の豊かさにも感心した。
勢いの強弱や筆の太細やもチーフの対象や密度によって、色がはっきりと感じられた。
これは良質の小説を読んでいる時に、文字や文脈に色が浮かぶような現象だと感じた。
大きな作品の最後出口近くには、十号程度の花や生き物の作品が所狭しと並んでいた。
東學作品は空間が大切なので、広々とした洋風の白の館で、近づいては細密描写を楽しみ、離れて大胆な構図を味わいたいと思うのは私だけか…。
最後左上の「かえる」の構図と形が好きであった。
ただ惜しいと思ったのが、和紙の一部分。
一部消したであろうがため、はがされていたこと。
和紙はもろもろと毛羽だっている。
大変上質な作品だったので、悔しいと感じる。
東學作品が好きになり、会場を後にした。
帰宅後、Faber-Castellを取り出し、120色を眺めた。
色
この世の色は自然物も人口色でさえも美しい☆
そして、墨絵絵画の色の豊かさを思い浮かべた。
観賞後、日がずいぶん経った今も『東學墨画展』を思い浮かべ、余韻に浸る。
東學
東 學(あずま がく、1963年12月9日 - )は日本の画家・アートディレクターである。
1963年、京都生まれ。
父は扇絵師である東笙蒼。幼い頃から絵筆に親しむ。
アメリカ合衆国のハイスクール時代に描いた『フランス人形』はニューヨークのメトロポリタン美術館に永久保存されている。
20歳でグラフィックデザイナー・アートディレクターとしての頭角を現し、主に舞台やテレビ、音楽関係などのグラフィックワークを手がける。
パンフレットより ▼
ラーメンズ 片桐 仁
學さんは僕がイメージする“ザ・アーティスト”です。墨を使った美人画、それとはまた違ったライブペインティング、自由自在なデザイナーとしてのセンス、耳のデカさ。どれを取っても“ザ・アーティスト”。初めて見た絵は、『痛くなるまで目に入れろ』というお芝居用に描いた、山内圭哉さんの横顔なんですが、その、他のチラシを圧倒する衝撃は今も忘れられません。僕が個展をするギャラリーも紹介していただいたり、トークイベントにも出ていただきました。今後もよろしくお願いします。
流石、片桐 仁さん☆
的をえておられると感じた☆
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