面会交流権(面接交渉権)の決め方とその内容
問)妻と協議離婚を検討中です。親権者を妻にすることで合意をした上で、未成年の子どもについて面会交流権は認めて欲しいのですが、妻は私にどうしても子どもにあってほしくないといっています。面会交流権の決め方と参考になる内容をおしえてください。また、面会交流権が認められないなら養育費を支払わなくてもいいのでしょうか?
答)面会交流権は離婚した夫婦に育てられている未成年の子どもの健全な育成のための法的制度です。したがいまして、この健全な育成の観点から面会交流権が認めれるべきであると判断されれば、面会交流権は認められます。
1.面会交流権とは
面会交流権とは、「離婚後、親権者若しくは監護権者とならなかった親がその未成年子と面会、交流する権利」をいいます(民法766条1項「監護について必要な事項」、同法同条2項「監護について相当な処分」家事審判法9条1項乙類4号の「子の監護に関する処分」)。
この面会交流権は、かつては、面接交渉権という呼称で呼ばれていましたが、家庭裁判所がその名称を変更したことで、従来よりもより幅広い権利内容がその中に含まれるよう再定義されています。また、実務でも、面接交渉権から面会交流権という名称の変更が定着しています。
このページでは、このような流れを踏まえ、権利の呼称を面会交流権とさせていただきます。
この権利が明示された最初の裁判所の判断では、「親権若しくは監護権を有しない親は、未成熟子と面接ないし交渉する権利を有し、この権利は、未成熟子の福祉を害することがない限り、制限され又は奪われることはない」としています(東京家庭裁判所審判昭和39.12.14)。
従いまして、離婚後親権者になろうとする親の一存でこの面会交流権の行使が拒否されたり、制限されることはないのが原則です。
もっとも、この審判が示しているとおり、面会交流権が未成年子の福祉又は利益を害するときには制限されますし、こういったケースは散見されます。
このように、制限があくまで未成年子の福祉又は利益を害する場合を根拠にする点、当事者双方の留意が必要となります。
2.面会交流権の決め方
まず、協議離婚を選択した場合には、当事者同士が協議によって面会交流権の具体的内容をきめていきます。
この際、親の未成年子に対する執着や意地の張り合いではなく、あくまで、未成年子の福祉と利益の実現の観点からお互いが納得いくまで協議することをお奨めします。
この際、親権者となる親側の親族の支援の有無なども視野にいれて協議できたらなおよろしいかと思います。
具体的には、親権者となる母親が、離婚後実家に戻って仕事を探すといった場合、実家にお住まいの妻の両親がどこまで子の面倒を見てくれるのか、見てくれるとして、面会交流にご両親がどこまで関与するのか、といったところです。
例えば、面会交流権における子どもの引渡しに親権者に代わってご実家のご両親がしていただけるのか、また、面会交流の立会い権が親権者に認めた場合、ご両親が親権者の代理人として面会交流の立会い人となれるのか、などです。
当事者による協議で合意が形成されたら、その具体的内容を離婚協議書又は公正証書に記載します。
そして、当事者同士での協議による同意が形成されなければ、相手方当事者の現在の住居地(本籍地ではありません)を管轄する家庭裁判所に調停および審判を申しててることになります。
3.面会交流権の内容
既述のとおり、面会交流権は、親権者又は監護権者にならなかった親の権利として定義はされていますが、本来的な面会交流権の趣旨は、未成年子の福祉又は利益の観点から健全に育成に必要な範囲内で認められるものです。
従いまして、面会交流権の内容も、この観点から決めてゆくのが大原則です。
この大原則を踏まえ、一般的には、月に1回前後のペースでその日一日を子どもと過ごす内容とするケースが多いようです。また、その際に生じる費用は、両親で折半か、あるいは面接交流権者が全額負担する場合が多いです。
調停や審判といった形で家庭裁判所によって蓄積されてきた面会交流の一般的な内容も、大体、毎月1回のペースになっています。まれに、月に2回の面会交流を認めるといった審判が下っています。
そして、面会交流権の内容を離婚する前にどこまで具体的に設定するべきか、がもっとも悩ましいところです。
離婚するといっても、いわゆる円満離婚のご夫婦であれば、双方に不信感や嫌悪感もあまりないので、具体的な回数やその内容を決めず、面会交流権を持つ親からの申し出に対し、子の意思を尊重しつつ父親と母親がその都度建設的に協議して決めるといった内容ですむ場合が多数です。
逆に、険悪な夫婦関係を打開するべく離婚するご夫婦は、お互いに信頼関係をもたないので、面会交流権を担保すべく、どうしても、面会交流権の中身も具体的になっていきます。
私が受任した案件でも、この面会交流の内容は多岐に渡ります。
当事者同士が子の意思を尊重した上で申し出のあった都度、協議によって面会する、としただけの公正証書を作成させていただいた案件もあれば、具体的な回数(第3土曜日の午後1時から午後5時までなど)とその内容(未成年子の受け渡しの場所の明示化、お泊り面会交流の可不可、学校などの教育機関の行事参加・見学は許可があった場合に限る、東京ディズニーランドといったアトラクションに連れて行く場合の事前承諾の義務化とその費用負担の事後報告、面会交流中は、親権者または親権者が委任した代理人の監視を義務付ける、双方が再婚した場合どうするか、未成年子が何歳になるまで面会交流権を認めるのか、など)、
また、通信手段の確保とプライバシーの尊重の調和的観点から、ケータイ代金の負担と新しいケータイの買い替えの際の費用負担、親権者でない親と未成年子とのメールのやりとりの閲覧権の設定といったこと細かい条件を付した公正証書を作成した経験もあります。
しかし、どのような内容であれ、当事者が協議により合意を形成したのであれば、その内容を離婚協議書や公正証書といった文書にしたためて、後日の紛争を未然に防止することを強くお奨めします。
万が一、当事者同士が合意した面会交流が親権者の一方的な気まぐれで実現されなかったり、あるいは、面会交流権者が、自己中心的に面会を望んできた場合、この文書が紛争する解決する重要な証拠となるからです。
このように後日の紛争を決着できるよう、その記載内容を吟味しておくのが、私(行政書士)の腕の見せ所でもあります。
4.面会交流権と養育費の関係
養育費を払わなっていない面会交流権者にたいして、「あなたは親としての義務である養育費の支払いを滞らせているのだから、面会交流権という権利は認められない。面会交流を拒否します」とか、「面会交流権を認めてくれないのだから、養育費は支払わない」といった紛争が散見されます。
たしかに、面会交流権も養育費もともに未成年子の健全な育成にかかる点で両者は似てはいます。
しかし、双方が密接不可分の権利義務関係かというと、そうではありません。養育費の支払いの有無と面会交流権の行使は無関係なのです。
ですので、養育費の支払いがないからといって、当事者が合意した面会交流権の行使を認めないとか、子どもに会わせてくれないから養育費を振り込まないといったことはおやめください。
そういういがみ合いを子どもは見ています。
とくに大好きなパパと会えない辛さ、養育費が支払われなくなったときにパパに見捨てられたと感じる絶望感は、大切なお子様の精神成長に悪い影響を与えます。
面会交流権の中身の見直しはあるべきこととして認めても、お互いになじりあう大好きなパパとママの板ばさみになるお子様の心情を慮り、尊重した上で、双方が意固地にならず建設的に協議を進めるこたが望ましいと考えます。
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