離婚相談・養育費~離婚後の過去の養育費の請求の可否
離婚相談)協議離婚の際、養育費の取り決めをせずに離婚届をだしました。離婚後生活が苦しくなったので、養育費の請求をしたいと考えていますが、過去にさかのぼっての養育費の請求は可能でしょうか?
答)まず離婚の際養育費の取り決めをしていなくても、養育費の分担を請求することは可能です。
これは過去にさかのぼっての請求においてもかわりありません。
問題となるのは、いつの時点までさかのぼって請求できるか、です。
この点について見解は分かれていますが以下の基準を元に一切の諸事情を考慮して父母の分担割合を決め、その割合に応じた具体的な分担額を判断されます。
・父母双方の資産
・父母双方の収入
・生活状態
・子の年齢や人数
1.養育費の分担請求
養育費の支払い義務は、親権の有無や子との同居の有無に関係なく、子の母であり子の父であるという親子という身分関係そのものに基づいて認められる義務です。
従いまして、離婚後においても、親権者でない者(養育費支払い義務を負う者)に対して養育費の分担を請求できます。
2.協議による養育費請求
まず、協議が可能であるのであれば、協議によって養育費について以下の事項を決めます。
・養育費の分担額
基本的には離婚前の生活水準を維持できるに必要十分な金額が養育費の基準額です。
具体的には、子どものお稽古事や塾の受講料、受験代、部活参加費用、遠足など行事に参加する際に必要となる金額、医療費、通学費(定期券代など)、学校その他の学費、お小遣いなどに当てる金額です。
・養育費の支払い時期
養育費の支払い時期の典型例としては、毎月月末(または給料支給日から○日以内など)に、子どもが18歳になる月まで定期的に支払うといったものです。
・養育費の支払い方法
養育費の支払い方法のほとんどは、親権者の金融機関への振込みです。細かい話ですが、定型的なものとして、振込み手数料は支払う者が負担するとする場合がほとんどです。
・養育費支払いの開始月と終了月
開始月は、協議が成立した月とするケースが大多数です。
なかには、さかのぼって請求したいということもありますが、支払い開始月自体は養育費に関する取り決めが成立した月とし、最初の支払い月に限って、過去にさかのぼって計算した金額を支払うようにしています。
終了年は、基本的には高校を卒業する18歳までとするケースが多数ですが、子どもの将来や選択の幅を確保するため、20歳までとか、大学や専門学校を卒業するまでといった条件にするケースも増えています。
・その他支払い義務者の収入に関する条件を反映した養育費支払い条件
養育費は、支払い開始から終了までの期間がながい場合がほとんどです。
その長い期間に元夫婦のどちらかが再婚したり、あるいは転職、収入減がないともかぎりません。特に親権者が再婚し、その再婚相手と子どもが養子縁組した場合などは、養育費の見直しが必要となってきます。
そこで、せっかく協議するのですから、このような未来に起こりえる環境の変化も盛り込んで取り決めます。
もっとも環境の変化は不確実な未来のことですので、協議の時点ではっきりとは決められにくい性質をもっておいます。
従いまして、当事者の協議でも、再婚やリストラなどが起きた際には再度養育費に関して見直す協議の場を持つと決めることが多いです。
3.協議によって決めた養育費に関する決定事項の文書化
せっかく養育費について協議によって決められたとしても、後日支払いが滞ることは十分に考えられます。支払いが滞った場合、養育費を請求する親権者の催告に養育費支払い義務者が素直に応じれば問題ないです。
しかし、養育費の支払い請求に対して、あれこれとごねて支払わない事態も想定しなくてはなりません。
そのような事態を回避し、養育費の支払いを確保するために、養育費に関する取り決めを文書化することを強くお奨めします。
特に強制執行認諾文付与の公正証書は、勝訴判決と同じ法的効果があり、養育費支払い義務を負う者の財産を差し押さえることが可能です。
また、公正証書は、公証役場という国の機関において、公証人という公務員の手によって作成されますので、後日、文書の署名が偽造だとか、脅されて書かされたから無効だという言い逃れができません。
このように、公正証書は大変すぐれた文書であり、証拠としての価値も大きいのです。
4養育費に関する取り決め
平成23年の民法の一部改正で、協議離婚の際に父母が協議で定めるべき事項として「養育費の分担」と「面会交流」があること、これらの取決めをすることは子の利益を最も優先して考慮しなければならないことが民法に明記されました。
民法第766条1項 「父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子の面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。」
養育費や面会交流などに関する取り決めがなければ離婚届が受理されないわけではなく、あくまで法的拘束力を持たない努力規定にとどまるわけですが、現状として、離婚の際に養育費の取り決めをする夫婦は、離婚する夫婦全体の30%であり、また、養育費の支払いを受けている親権者は20%にとどまることから規定された条文です。
5.養育費の相場~養育費算定表による養育費の算出
このように、養育費は子どもの福祉を実現する観点から当事者が協議によって決めるのが原則です。
しかし、当事者双方が養育費の算定に困る場合もあります。
このような場合、養育費算出の計算方法としてひろく用いられるのが、
養育費算定表
です。
この養育費算定表は、東京と大阪の家庭裁判所で裁判官が担当した養育費についてのデータを元に客観的に計算された養育費の相場です。
この養育費算定表に基づき、双方納得した上で養育費を決められる方が大勢いらっしゃいます。
なお、この養育費算定表は、下記のホームページでも参照できます。
http://www.courts.go.jp/tokyo-f/saiban/tetuzuki/youikuhi_santei_hyou/
また、養育費算定表は、スマホの無料アプリにもなっています。
私はiphone5のユーザですが、この養育費算定表の無料アプリを自分のスマートフォンにダウンロードして、ご相談があれば瞬時に算出できるようにしています。
この無料アプリは活躍する機会も多く、重宝しています。
6.協議によって養育費が決められない場合
当事者同士の協議によっても養育費を決められない場合、相手方の住所を管轄する家庭裁判所に調停・審判を申し立てます。
この調停の場では養育費算定表を基に、当事者の財産、収入など諸般の事情を一切考慮して、養育費に関する事項(養育費額とか支払いの開始時や終了時など)を決めてゆきます。
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