安土城の城下町として、また近江商人の町として発展した「近江八幡」。
この町には歴史的建造物が立ち並び、昔ながらの街並みが残っていて、町を歩いているだけでタイムスリップしたような懐かしい気持ちになる。
また、近江八幡は琵琶湖の東岸に位置しているため、水郷の町でもあり、「水郷めぐり」や「八幡堀めぐり」などの船が町の数ヶ所から出ている。
町中の観光は後回しにして、「水郷めぐり」をしてみた。
「水郷めぐり」は数社が運行しているが、「近江八幡和船観光協同組合」という会社の舟を選んだ。
琵琶湖のほとりにある「西の湖(にしのこ)」まで手こぎ舟で行くコースだった。
普段は定期便で運行しているらしいのだが、桜の時期は人気があるためか、人数が集まればすぐに出航だった。
舟には8人が乗り、船頭さんが1人、全員で9人で出発した。
葦原の水路の周りは桜、菜の花ともに満開で、船頭さんの話も面白く、情緒たっぷりにゆっくりと進んだ。
水路には水鳥が泳ぎ、舟をこぐ音と、船頭さんの声以外は静かで、ゆったりとした時間が1時間ほど続いた。
狭い水路から広々した西の湖に出た。
「西の湖(にしのこ)」は、重要文化的景観にも指定されている場所。
一面の葦が繁っていたり、時代劇撮影でよく使われるらしい橋があったりして、変化に富んだ風景だった。
ここで船頭さんから「アシ」と「ヨシ」の話を聞いた。
両方とも同じ植物で、「アシ」は「悪し」に繋がることから「ヨシ(良し)」と呼ばれるようになったとか。
出発した場所に戻ってから、今度は近江八幡の名所の「八幡堀」も、また舟に乗って巡ってみた。
ここも数ヶ所の乗り場があるらしいが、選んだ乗り場がちょっと分かりにくかった。
お店の中を突っ切って行った先が八幡堀になっていて、そこから乗った。
八幡堀は琵琶湖から繋がっていて、古くからの歴史があって、かつては近江商人が商業用の物資を運ぶための水路だったらしい。
両側に白壁の家や土蔵が立ち並んでいる情緒ある風景を眺めながら進んだ。
狭い水路を行くと時代劇に出てくるシーンのようで、この場所は数多くのドラマや映画のロケ地として使われているというのが納得できた。
八幡堀もどこを見ても「桜」、「桜」だった。
「八幡堀めぐり」で時代を遡った後は、町歩きをした。
昔からの面影を残しているエリアが「新町通り」で、商人たちの立派な家が建ち並ぶを通りを歩くと、当時の繁栄ぶりがよく分かった。
また、近江八幡で有名なのが「近江兄弟社」。
ここは誰でも知っているブランド“メンターム”の会社。
その会社や「メンターム資料館」などもその一角にあった。
「新町り」から八幡堀に架かる橋を渡った先には、平安時代に創建されたという「日牟禮八幡宮(ひむれはちまんぐう)」があった。
ここは近江商人の氏神様になっているらしい。
すごく立派な神社だった。
約4万4000㎡もあるという広大な敷地には楼門、拝殿、神殿などがあり、国指定の重要文化財の「安南渡海船額(あんなんとかいせんがく)」や三神の木像などもあるということだった。
今回の旅にはもう一つの目的があった。
それは、「たねや」の和菓子を買うこと。
「たねや」は八幡宮の隣で、町並みに合わせたような造りのお店になっていた。
花より団子というわけで、ここで桜の時期限定の和菓子を購入した。
また、向かい側には「たねや」のもう一つのお店「クラブハリエ」もあった。
こちらは近代的な造りのお店だった。
もちろんこちらでも洋菓子を購入した。
この日の宿は「休暇村近江八幡」にとった。
どうしてこの宿を選んだかというと、ちょうど宿泊プランに「近江牛食べ放題プラン」があったから。
「すき焼き」や「牛のにぎり寿司」などだったが、本物で上質な近江牛を好きなだけ、これほど食べたのは、かつてなかったほどだった。
宿に近江牛を専門に扱っているお店が併設されていて、そこから仕入れているらしい。
もちろん近江牛もお土産として買った。
宿自体は公共の宿で、特記することはないが、近江牛・温泉とで、十分満足した宿だった。
[休暇村近江八幡から見た琵琶湖]
琵琶湖の桜の開花まではもう少しだった。