第四部 Generalist in 古都編

Generalist大学教員.湘南、城東、マヒドン、出雲、Harvard、Michiganを経て現在古都で奮闘中

折り返し地点での感想

2015-06-21 13:25:41 | Mahidol University編
皆様こんにちわ。

噂に聞いた試験ラッシュの6月です。
一昨日山場を越えました為に折り返し地点の感想を書いておこうと思います。

予想以上に(当初学生だから暇っしょ・・日本の大学的な気楽な気分でいたのですが)忙しく更新が滞ってしまいました。
1週間毎に筆記試験がありますので、終わるとその当日だけは同期と飲みに行ってまた勉強の生活に戻るといった、厳しい生活が嫌いではありません。

当初ストレスだった一回目の筆記試験が終わると、嘘の様に気が楽になり楽しんで勉強できるようになってきた自分を自覚します。
少し日本人的なスタンスを替えて、ココのやり方に適応しだしたのだと思います。

試験が終わると、やはりこの勉強をして良かったと思います。
知らない事だらけの事を新しく知る事で世界が広がっていく事が体感できました。
なんだかんだスメアや顕微鏡で焦って勉強している内に、確実に自信をもってMalaria の鑑別(PF, PV, PO, PM)やHelmintの卵などの鑑別もできるようになっていました。

極めてシンプルに言うと、今までは
病気➠患者の為に頑張る
でした。

学生である今は
病気➠地球上で何が起きているか見たい知りたい聞きたい(壮大です・・苦笑)
へと移行してきております。
これはまさに短期的責任の全く無いFull time studentの特権です。(長期的には医師としての責務は重大です。)

例えば、トキソプラズマは欧州で何故罹患率が高いか、
Sleeping sicknessは何故アフリカ東部領域が重症化するのか、
マレーシアには5種目のKnowlesiが2年前に確認され物議を醸し出している
事などなど・・
この数ヶ月で学んだ事は日本語の教科書には載っていない事ばかりでした。

面白かったのは、その病気が発見された歴史などを自分で調べると読めば読むほど面白く
日本の野口英世とVerruga Peruana(Carion's diseaseの慢性期の奴)の関わりや
Tularemia(野兎病の事。Francisella tularensisのZoonosisです)で日本人が発見に関わっていたくだりなどを偶然発見した時は感動です。

疫学が変われば、罹患率が変われば、人種が変われば、風土が変われば、
全く病気の診断、治療、予防のプロセスも変わります。自分の経験が役に立たないレベルまで違うと感動すら生まれます。

最近は実際にその国にいって、診療を垣間見たいなどと感じるようにさえなりました。

臨床にどっぷり浸かり、急性期の病院で土日も無く過ごしてきた為か今まで全く考えなかったのですが、
ふと立ち止まると一度の人生、残り限りある時間をどのように有効に使い、医療に最大限貢献していくか。

そんな事を考えるようになりました。
それはまるで高速道路を運転している時には見えなかった景色が、一旦降りてみると以外と景色をはっきり見ることができて、空気の感じや湿り気や匂いまでも気づくといった。
まぁそんな感じです。

次の目標、そしてまた次の目標、その次の目標を見据えて充実した生活を送りたいと思います。

時間が無くて、実習に来て下さった東北大学医学生さんの事を載せる事ができませんでした。ここで紹介させて頂きます。


特別実習として、一日我々の多国籍DTMH講義(炭疽菌感染症の話)に引き続き、昼休みはマラリアスメアの見方を話して、午後は近くの巨大小児病院でカンファレンス。
授業もカンファも一番前に座り大変優秀で熱心な姿に感服しました。きっと優秀な医師になることだと思います。