第四部 Generalist in 古都編

Generalist大学教員.湘南、城東、マヒドン、出雲、Harvard、Michiganを経て現在古都で奮闘中

DTMH疾患 その3)Yaw(いちご腫)

2015-11-03 00:34:43 | Mahidol University編
本日は、スーパーイケメン Germany GuyのハウスメイトによるRCT論文の発表だったので、これを記載しておきます。
 

Yaw ⇛いちご腫:Treponema pallidum subsp pertenueによる非性病性のトレポネーマによる皮膚潰瘍

Bejel⇛ベェジェル:Treponoema. pallidum subsp endemicum主にアフリカ南部、中東、東南アジアで見られる非性病性のの事。
Pinta⇛ピンタ(熱帯白斑性皮膚病) Treaponema carateum
 
これらは形態学的にも病態的にも性感染症である梅毒(Treponema pallidum subsp pallidum)とは鑑別不可能であるけれども、地理的な分布や、年齢、ヒストリーで鑑別する。遺伝子レベルではごく少量の違いがあるらしい。
 
WHOとUNICEFのキャンペーンによって、1952年には全世界で5000万人が感染していたけれども、その12年後には250万にまで撲滅。ただ、1970年代になってから再振興の兆しがみられて、各地でくすぶっている状態。
 
特にYawは現在でも、問題であり、熱帯地域で、不衛生でごちゃごちゃした人が多いエリアに多く、ミクロネシアなどにも見られる。
 
Yaw とBejelは子供の病気で70%は15未満である一方でPintaは大人の病気。皮膚ー皮膚で感染や、特に引っかき傷などあると感染しやすい。
これらの中で、日本で今後輸入感染症として見る可能性がある(多分少ない)Yawでしょうか。ざっくり言うと皆似ていて?です。進行すると皮膚だけでなく、骨髄炎や軟骨炎、腱などに感染が波及する。
 
これらのトレポネーマの潜伏期間は平均21日(Range 9−90日だそうです)
 
皮膚の所見からの鑑別は下記の様です。

the primary lesion of yaws may be mistaken for cutaneous leishmaniasis, tropical ulcer,pyoderma, Haemophilus ducreyi 

 papulosquamous secondary lesions of yaws must be distinguished from common disorders such as psoriasis, dermatophytosis, scabies, syphilis.  

血清学的診断は梅毒に準じます
 
The serological tests are the same as those used to diagnose syphilis. Existing tests cannot differentiate between endemic treponematoses and syphilis. 
勿論、梅毒と見分けは尽きません。(ここばポイントでしょうね)
 
治療は、長時間作用型ペニシリンG(Penicillin G benzathine)筋注 大人は120万U、子供60万Uらしいですが、日本では梅毒に準じてだと思います。
 
さて、このLancetからの論文では、アジスロマイシン30mg/kg(最大2g po) 一発内服が、筋注毎日と変わらず効果あり非劣性を示しております。これにより、子供が注射を嫌がって、ドロップアウトしたり、しなくなるのではないかとの事です。たしかに毎日注射されるより、非常に便利ですね。
 
Single-dose azithromycin versus benzathine benzylpenicillin for treatment of yaws in children in Papua New Guinea: an open-label, non-inferiority, randomised trial. MitjàO, et al. Lancet. 2012 Jan;379(9813):342-7. Epub 2012 Jan 11.