第四部 Generalist in 古都編

Generalist大学教員.湘南、城東、マヒドン、出雲、Harvard、Michiganを経て現在古都で奮闘中

茨城県の指導医講習会に密偵として学ばさせてもらってます。前野先生ありがとうございます。

2019-02-09 21:24:31 | 総合診療

みなさま

こんにちわ、連休は3泊4日で水戸で開かれている指導医講習会にタスクとして学ばさせていただいております。前野先生の取り組みを直接背中を見ながら学ばさせていただく機会を茨城県と島根県から支援いただきました。および頂いた前野先生ありがとうございます。
 
思い起こせば、なんとなくこの講習会、最初に参加した時に原理的な色合いが強かったために驚愕しました。その時の感想としては、研修医教育の実践であったり、実際の指導医が現場で役に立つ本質的なものがあればいいのにと思っていました。それまでのがダメだとは言いませんが、アウトカムベースで指導することを指導している我々こそ、指導医の行動変容に着目すべきかと考えていたためです。
 
島根は、かなり革新的に鬼形先生のリーダーシップで良くなっています。が、その源流を見つけてしまいました。多分、鬼形先生はこちらでも研鑽されていたのかと。
 
多分、ここ茨城(筑波大学前野先生)の流れを(スライドなど)も取り入れていたのですね。
島根の指導医講習会でも今後取り入れたいことを箇条書きでメモしておきます。
 
・発表形式はワールドカフェ方式とチームでの議論に徹底されている。斬新!!全体発表ほぼなし。
 
・内容が重なり中弛みしやすい全体発表の時間を極力減らすために、ワールドカフェ方式を採用(発表形式は各班のホスト2名以外はそれぞれの他の班に散ってディスカッションして新しい見解などを持ち込んで再度話し合う)。時間の短縮化が素晴らしい!
 
・目標/方略/評価の内容を、難しい用語や細かい規則や言葉遣いなどを用いずに、自分の病院の研修医に送るメッセージとしてコンテンツを作成している。毎回、やや参加者さんが戸惑い、我々もやっていて少し引け目(申し訳なさ)を感じる項目をわかりやすく、参加者が議論しやすいように工夫をしている。そして、完成されたプロダクトは、ほとんどみっちりと、目標・方略の言葉の定義から説明して行ったやり方と【変わらない】です。
 
・作業は見本や、設定を細かく決めて参加者に提供することで、スムーズに進む。
 
・何十前から続くやり方や、教育理論を我々はDo処方するのではなくて、どうしたら参加者の行動変容につながるか、責任を取りつつ改善していく姿勢がより重要と感じました。
 
・事前に資料はGoogle driveでシェアを行い、無駄な打ち合わせや無駄に時間を使ったタスクの仕事がない(この点島根も最先端を進んでいて、とてもやりやすい)
 
・アウトカム基盤型教育に言及
・Hidden curriculumとExplicit curriculumに言及。特に指導医はいつプロフェッショナルリズムを身につけたか?どのように身につけたたか?の質問に多くが後期研修医以降であったと答えていた。現行の初期研修医達にプロ フェッショナリズムがないからと行って、嘆いてはいけない。そもそも指導医だって後期研修以降に本や講義ではなく実際の経験を通して初めて目覚めているのが内省させられた。
 
・島根大学でも、プロフェッショナリズムに気づいてもらうために、医学生の白衣授与式などのことを導入した方が本当は良い。できれば患者さんや指導医からの言葉も添えて。
 
・改善点:ほとんどない。多くをさらに島根に輸入したい。
唯一あげるとしたら、厚生労働省のスライドをそのまま使うのは非常にまずい。そもそも聞き手に理解してもらい、行動してもらおうと作られたスライドでは多分ない。スライドは我々でシンプルに要点をまとめて話すと良いかもしれない。お役所的な「我々は確かに説明したことを紙に残して配りましたよ、我々は説明しましたからね!」的なスライドなので、いつものビジーすぎる時の読めないスライドに参加者さんの唖然とした煙に巻かれたようなお顔が印象的でした。変わろうよ、日本。
 
と言う訳で、まだTraditional な指導医講習会形式にお悩みのタスクフォースのみなさま、Do処方の呪縛を解くためにも、一度茨城の指導医講習会を見られると面白い発見があるかもしれません。そもそも、Educationに正解はないので、「自分達のやり方が正しい」ではなく、文化交流と他流試合を通して自己省察と改善を測る努力が我々指導医側には必要かと思った水戸の夜でした。