第四部 Generalist in 古都編

Generalist大学教員.湘南、城東、マヒドン、出雲、Harvard、Michiganを経て現在古都で奮闘中

Scale-up approaches 改善成果の拡大戦略  しまねでやってること。

2020-12-04 14:10:06 | Harvard medical school

みなさまこんにちわ。

最近は、期末テストとPersonal quality improvement project発表 (僕はAI coaching によって僕は痩せるかどうか?!毎日2ヶ月体重付けました・・果たして成果は?)、とResearch proposal 発表や申請書提出(6P程度の科研費申請みたいなものです:慣れているので簡単ですが普通に自分の研究とFull time workerやりながらだとLiterature reveiwなど時間かかってしまい睡眠不足に)で追われてしまう全く更新できませんでした。やはりアウトプット目的でない勉強は効率が悪く、僕の年齢だと忘れる、忘れる。

さて今週のテーマは、Scale-up approaches です。

簡単にいうと、Change management (変革)やQuality improvement (改善)のPDSAがうまくいって、標準化された時に、これまで学習してきたような

Micro sytemからMeso systemそしてMacro systemへとどのようにスケールアップしていくかという話になります。

これはいつも自分が一生懸命考えている、虫の眼・鳥の眼問題、視野・視座・視点が調整できない問題とも繋がりますのでとても感得できる内容です。

実は今、Harvard Medical Schoolの大学院課題をゴリゴリにこなしながら、島根全体のフィールドを使わせていただいて全国の総合診療医育成ロールモデルとしてなんとか貢献できないかを考えています。幸いに信じられないくらいの強力な支援をいただき、真剣に行動にうつしておりますが、やはりこの考え方がとても大事だと思いました。とってもうまく行きつつあります。

僕のプログラムはQuality and safetyとはいえ、ビジネススクールの要素が半分くらいあるのでそれがまた面白くもあります。

人間の性でどうしても避けようがないのですが、自分の医局だけ、自分の病院だけ、自分の島根県だけ、自分の国だけに固定されてしまいやすくなりますので、その現場、その空間で調整することがやっぱり大事だなぁと思います。

逆を言えば、夜は色々な国をやりとりをして、昼は島根のことだけを考えていると、どうしても時々視座や考え方が極めておかしくなって物事をみたりしていることに気付きますのでメタ認知して自分を制御しなければなりません。

最近やったことといえば、Stakeholderを全員列挙して、その多くの人材が喜んで楽しく活躍できて本人のためになるだろうDriver とモチベーションや要望や需要を分析、それに対する供給と戦略の調整と大学上層部、県行政上層部との交渉と決定ですね。これもHarvardの課題内容と恐ろしいくらいドンピャシャリではまっています。

うまくいったらいったん評価して、再度作り直しながら次のサイクルへ。結局は短期間で学習したことでしたが現場で圧倒的に毎日頻用しているのでとても本質的で重要なことを、単に僕が知らなかっただけであったということに気付きます。

まるで、なんとなく聞いていた心雑音や呼吸副雑音の聴診をしていたかのような過去の自分に気づけるので楽しいです。

もちろん理論だけでは全然ダメで、学びながら現場で実践がないと鼻クソです。なので、これはとてもいいサイクルになっています。

初期研修医が診察しながら本を読むみたいな感じです。

最近は本当だったらボストンの美しい街並で自分の勉強だけ専念できたのにぃ〜と、高額な授業料を支払ってコロナの影響で文句ばかりいって嘆いていました。が、400年以上の歴史でこんな感じで現場とバーチャル?の世界でいったりきたり学んでいるのは僕だけかもしれないので、10年後僕が生きていればいつかすごく役に立つかもと、ここは踏ん張りどころと考えてじっとじっと静かに耐えています。

 

 

 

 

IHIの普及のためのフレームワークです。下記6つを考えます。左から右へ広がっていくイメージです。

・システム側組織の、責任者の明確化/インセンティブ/リーダーシップの設定

・成功事例とデータ

・コミュニケーションツールの設定とチャンネルとメッセージの用意

・社会システムへのスケールアップ

・IHIガイドラインを用いてスケールアップの活用

・現場のFeedbackに応じた普及活動の向上させる

 

 

 

スケールアップするためのフレームワーク:この流れを意識する。いきなり大きなことから始めない。

ポイントはScalable unitの開発:成功事例や効果の高い治療や活動などをセットアップした後に、次の大きなスケールでうまくいくための規模へ拡張子したものを事前に作成しておく。

大きなシステムで挑戦を開始したらあとは以前までやってきたようなChange managementやLeadershipです。

 

*Barker et al. Implementation Science (2016) 11:12 DOI 10.1186/s13012-016-0374-x

 

もっともっと面白い考え方がありました。

 

* Gareth J. Parry, et al. Recommendations for Evaluation of Health Care Improvement Initiatives. ACADEMIC PEDIATRICS 2013;13:S23–S30より

これは、一見うまくいった変革や改善が、他の施設や文化ではうまく行かないことを完全に説明した論文だと思います。

非常によく考えられていて、最初小規模のテストや試みがものすごくうまくいっていたとしても(成功率100%)、背景が違うとその成功率はガクッと落ちるということを示唆しています。

つまり先進的な治療や試みや組織の変革も小規模で導入できたとしても、急激にMesosytemに取り込むと背景がまだ統一されてきていない幅が広い状態だと失敗割合が高くなるので人々の評価も下がってしまう可能性を危惧します。背景が似たような状態に集約されていれば必然的に成功率も高いのでうまく評価を得て大きなスケール規模で展開できるという考え方だと思います。