鑑賞した2020年日本公開映画ランキング:23/46
⠀ 感動😭:★★★☆☆
悲しみ😢:★★★☆☆
⠀ ⠀ 歌🎤:★★★★★
Somewhere over the rainbow way up high.
There’s a land that I heard of once in a lullaby.
伝説のミュージカル女優であるジュディ・ガーランドの晩年を描いた伝記映画。
ラストで号泣。
なんだけど、そのラストシーンのためだけにすべてがあるような構成で、
世間的な評価はものすごく高いものの、
個人的にはちょっと期待しすぎた感は否めない。
とはいえ、歌しかない彼女が、愛する子供たちとも引き離され、
歌を唄うこともままならない状況に陥りながらも、
必死に舞台に立ち続けようとする姿が胸に響くし、
レネー・ゼルウィガーの歌声に魂を揺さぶられる。
本作の歌は吹き替えなしですべて彼女本人が歌っており、
歌手が本業じゃないにも関わらずあの歌唱力なので、
それだけでも観る価値はあるだろう。
また、この映画は女性や母親の方が感動しやすいかもしれない。
子供たちとのやり取り、僕は特別何も感じなかったけれど、
他のお客さんで泣いている人がけっこういたので。
(決して僕の心が冷たいわけではありません。
単にそのシーンの共感度が低かっただけですw)
僕にとってこの映画が「ちょっと期待しすぎてしまった」
と言うのには2つの理由がある。
ひとつは、予告のせい。
『ボヘミアン・ラプソディ』や『ロケットマン』と並べているテロップがあったのだけれど、
その2つとは性質が異なるので、想定していたものと少し違った印象を受けた。
もうひとつは、ジュディ・ガーランドについて予備知識を持ちすぎてしまったこと。
波乱万丈な彼女の人生をある程度知っているがゆえに、
この映画に物足りなさを感じてしまった気もする。
ジュディ・ガーランドはまさに“母親とハリウッドに殺された女優”
と言っても過言ではないような人なのだ。
そもそも、彼女の名前を聞いてパッとわかる人は、
映画好きじゃなければほとんどいないだろう。
1939年『オズの魔法使』のドロシー役で人気を博し、
以降も1954年『スタア誕生』などで抜群の歌声を披露して人々を魅了した女優。
(なお、『スタア誕生』は2018年にレディー・ガガが出たやつの大元の作品をリメイクしたもの)
しかし、若い頃から薬物に悩まされ、47歳で人生を終えるまで、それは治らなかった。
あの純粋で優しいドロシーも裏ではあんなことになっていたと思うと心が痛い。
映画では描かれないけれど、
ジュディがそうなってしまったのには
母親であるエセル・ミルンの影響が大きかったらしい。
母親は貧しい幼少期を過ごしたためか、
とにかくお金に対して執着があった様子。
自身もピアノで生計を立てていた流れで、
歌手のフランク・ガムと結婚(しかし彼はゲイ)。
ジュディが生まれた後は、
彼女が2歳の頃から2人の姉といっしょに舞台に立たせ、
稼がせるために仕事をさせまくった。
ジュディはハリウッドの汚い大人たちに翻弄され、
思春期ゆえのふくよかさでさえも「デブ」と罵られ、
痩せるために13歳からアンフェタミンを服用。
(ここは映画にもあるけど、食べたいものを食べることができず、
何かと「元気が出る薬」を飲まされていた)
母親はそんな彼女を守ろうとはせず、
むしろショービズ界で成功するには必要なことだと捉えていたようだ。
そこからジュディは薬漬けの人生となり、
自殺未遂を起こしたり、
複数の結婚や離婚を繰り返したりと、
私生活はボロボロになっていった。
さらに、ジュディの娘であるライザ・ミネリもまた、
アルコールと薬物に悩まされたそう。
もし母親がジュディを守っていたら、
もしハリウッドにジュディを思いやる人がずっといてくれたら
(実際にはいたそうだが、引き離されてしまったらしい)、
彼女はもっと楽しく女優業をこなし、もっと長く生きていたかもしれない。