Blog of 俺 by 俺 for 俺

自分の自分による自分のためのブログ。
だったけど、もはや自分の備忘録としての映画やドラマの感想しかないです。

漫画家としての苦悩が際立つ『キャラクター』

2021年06月12日 18時32分44秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:51/111
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
サスペンス
殺人事件
漫画家

【あらすじ】
漫画家として売れることを夢見る
主人公・山城圭吾(菅田将暉)。
高い画力があるにも関わらず、
お人好しすぎる性格ゆえにリアルな悪役キャラクターを描くことができず、
万年アシスタント生活を送っていた。

ある夜、師匠の依頼で「誰が見ても幸せそうな家」のスケッチに出かける山城。
住宅街の中によさげな一軒家を見つけ、
ふとしたことから中に足を踏み入れてしまう。
そこで彼が目にしたのは、
見るも無残な姿になり果てた4人家族……
そして、そこに佇む一人の男の姿だった。

事件の第一発見者となった山城は、
警察の取り調べに対して「犯人の顔は見ていない」と嘘をつく。
それどころか、自分だけが知っている犯人を基に、
殺人鬼の主人公“ダガー”を生み出し、
サスペンス漫画『34(さんじゅうし)』を描き始める。

山城に欠けていた本物の【悪】を描いた漫画は異例の大ヒット。
山城は売れっ子漫画家となり、
恋人の夏美(高畑充希)とも結婚。
2人は誰が見ても順風満帆の生活を手に入れた。

しかし、まるで漫画『34』で描かれた物語を模したような、
4人家族が次々と狙われる事件が続く。
刑事の清田俊介(小栗旬)は、
あまりにも漫画の内容と事件が酷似していることを不審に思い、
山城に目をつける。

そんな中、山城の前に、再び"あの男"が姿を現す。
果たして、山城を待ち受ける“結末”とは?

【感想】
期待していなかったのだけど、
想像してたより断然面白かった。
サスペンスではあるものの、
「犯人は誰なのか」ではなく、
「犯人はどのようにして殺人を犯していくのか」という方向性で、
個人的にはそのスリリングな展開がよかったかな。

漫画家として独り立ちできない山城の焦りと、
たまたま目にしてしまった殺人犯をキャラクターにすることで
成功を手にするっていう設定も腑に落ちやすいのではないかと。

さらに、漫画を通じて山城自身も
「殺人を犯している」っていう見方も、
漫画家として人物描写をどう捉えているのか
という問いかけにも感じられて面白いなって思った。

終盤の怒涛の展開もハラハラするし、
何よりも今作が俳優デビューであるFukaseの演技がよくて、
犯人のこだわりが強いアーティスティックな雰囲気とマッチしていたのは、
素晴らしいキャスティング。

邦画にしては珍しく、
脚本が3人の連名でクレジットされているんだけど、
その洋画っぽい体制が功を奏したのだろうか
(いや、これまでもクレジットされていないだけで、
脚本家が複数いた作品もあったのかもしれないけど)。

とはいえ、気になった部分もある(笑)
犯人の動機というか、人物背景がかなり後付け感あって。
4人家族に強い憎しみを抱いているんだけど、
4人家族である設定が活きるのはラストだけだから、
別にそこまでこだわらなくてもよかったのではと思ったり。

山城はもっと貪欲である方が漫画家っぽさが出たかも。
自分や家族の身に危険が迫ると、
連載を躊躇するところがあったから、
「死んでも俺は漫画を描き続けるんだ!」
ぐらいの我の強さがあった方が印象深かったかも?
まあ、もともと"いい人"設定で、
そこまでなりきれないのが、
彼のよさなのかもしれないけど。

あと、だいぶ余白を残した終わり方が気になる。
語られていない設定、
解決されていない問題、
山城の深層心理など、
宙ぶらりんで終わってるところが多い。
続編やスピンオフを作るつもりなのだろうか。

それにしても、山城はいい人であるがゆえに
悪役にリアリティがないっていうのは、
実際の漫画家はどう考えるんだろう。
ほとんどの漫画家はそんな悪いことしていないだろうから、
悪の部分も想像して描くしかないとは思うけど。
リアリティ持たせるなら、
本当の犯罪者か極道の人じゃないと、
なかなか表現しきれないのでは。

映画『キャラクター』公式サイト

大ヒット上映中! 二人の共作、それは連続殺人事件。体験型ダークエンターテインメント誕生。

 

自由を得たかった男2人のロードムービー『イージー★ライダー』

2021年06月12日 12時38分16秒 | 映画


【個人的な評価】
「午前十時の映画祭11」で面白かった順位:6/6
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★★☆
      音楽:★★★★☆
映画館で観るべき:★★★★☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
ロードムービー
アメリカン・ニューシネマ
マリファナ

ヒッピー
セックス
ベトナム戦争

【あらすじ】
ドラッグ密売で得た大金で改造型ハーレー・ダビッドソンを手に入れた
キャプテン・アメリカ(ピーター・フォンダ)と相棒のビリー(デニス・ホッパー)。
彼らは、ロサンゼルスから謝肉祭が行われる
ニューオーリンズに向かって大陸横断の旅に出る。

途中、留置場で知り合った酔いどれ弁護士ハンセン(ジャック・ニコルソン)も
仲間に加えて旅を続ける中、
行く先々で様々な差別や暴力に出遭い、
殺伐たるアメリカの現実に直面する―。

【感想】
「午前十時の映画祭11」にて。
1969年のアメリカ映画。

これはものすごく"雰囲気"のある映画だった。
全編に渡って何かのPVを観ているかのような感覚を味わえる。

結局、主人公2人が何者なのか、
詳しく語られない。
ただ、「謝肉祭のためにニューオーリンズに向かっている」
という設定があるだけだ。

なのに、見渡す限りの地平線が続くただっぴろい平原、
そこに延びる1本の車道を、
男2人がイカついバイクで走り続ける、
それだけでものすごく映えるのだ。
あの広大な大自然の中をポツンと進む画は、
映画館の大きなスクリーンで観てこそだと思う。

しかも、公開当時29歳のピーター・フォンダと、
33歳のデニス・ホッパーがメチャクチャかっこよくて。
「ええ、、、今の自分よりも年下なのか。。。」と。
自分がまったく彼らのかっこよさに届いていないことに、
自己嫌悪を感じるほど。
もう死にたい(笑)

あのヒッピーな服装、ロン毛、ヒゲに身を包み、
マリファナを嗜みながら、
バイクでツーリング、
夜は野宿というスタイルは、
今からするとノスタルジックに見えるけど、
それでもちょっと真似したくなるぐらいにはかっこいい。
しかも、ピーター・フォンダの役名がキャプテン・アメリカって(笑)

聞けば、この映画はアメリカン・ニューシネマの代表作だとか。
つまり、当時はベトナム戦争真っ只中で、
戦地に派遣される若者層を中心とした
反体制的な人々の心情を反映した作品ということ。

なるほど、だからこそのこの自由っぷり。
何にも縛られず、
己の気の向くまま足を進める流れが受け入れられたのは、
そういう時代背景も大きく影響しているだろうね。

その分、ラストシーンはとてもショッキング。
自由を求める声はあるけれど、
それをよしとしない風潮もまた大きい。
その自由を象徴した"ロン毛"を人々は恐れた。
結局、彼らが望んだ自由は、
あっけなく押し潰されたのだ。

当時を生きた若者たちからしたら、
この終わり方はまさに現実のトレースで、
大きな共感を呼ぶと同時に、
さらなる反抗心を搔き立てただろうなーって感じる。
洋画って邦画以上に、
当時の時代背景を作品に反映させているよね。

あと、この映画で外せないのが、
作品を彩る名曲の数々。
ここで僕の中でようやく点と点が線でつながったんだよ。
ステッペンウルフの"Born to Be Wild"。
「『池袋ウエストゲートパーク』でまこっちゃんの着メロだったやつじゃん!」と。
ちょっと感動したね(笑)

今から50年以上も前の作品で、
ほとんどの役者は亡くなってしまっているけれど、
当時の時代背景を象徴する世界観は、
ぜひその目で観ておきたい。

午前十時の映画祭11 デジタルで甦る永遠の名作

午前十時の映画祭11 デジタルで甦る永遠の名作

午前十時の映画祭11 デジタルで甦る永遠の名作