憂生’s/白蛇

あれやこれやと・・・

出立   奴奈宣破姫・19

2022-12-05 22:53:58 | 奴奈宣破姫

 

出立の浜はこの先の暗雲ひとつ、匂わすことなく
青い海原が朝日にきらめいていた。


「いくがいい」
客人を見送るがごとくに浜までやってきたアマテラスは
にぎはやひに柔らかな笑みをみせていた。

 


にぎはやひの命をうばうこともなく、
こちらのいいぶんをきいて墓所までつれていき
いつ、なんどき、にぎはやひが刀をぬくかと
おそれることもなく、
たった一人で相対してみせ
寝場所をあたえ
いまは、丁重に見送る。


深く頭をさげ小船にのりこんだにぎはやひの胸中に
ひとつだけ、うかぶことがある。


ーそれが、おまえのなさけのかけかたかー
アマテラスはにぎはやひの性格を捉えている。
この先、にぎはやひがどうするかもみえている。
にぎはやひはぬながわひめの元にはせさんじ
対アマテラス戦に加勢しようとしている。


その敵をのがすとはどういうことであろうか


こう考えれば、胸中にめぐった結論になる。


このままにぎはやひを自由にするということは
このにぎはやひを使いにするということだ。


この使いが先んじてアマテラスがやってくると
ぬながわひめに言上する。


ぬながわひめは覚悟をつける。


いきなりの急襲ではなく、
ーいきますよーと告げることが
アマテラスのなさけのかけかたであり
礼節であり、ぬながわひめへ尊厳をつくしたのであろう。


ーせめてもの・・なさけをかけるがため
わしをいかしておいたか・・・・-
にぎはやひはぬながわひめにすくわれたのかもしれない。


小船から本船に乗り移ると
にぎはやひは恭順の意思をあらわす鏡をへさきから
とりはずさせた。


アマテラス同じく
これからは敵同士になるとはっきりしめしておきたかった。

美穂崎から
「糸魚川まで船をすすめよ」


高くにぎはやひの号令がひびいた。

 



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