憂生’s/白蛇

あれやこれやと・・・

空に架かる橋   2

2022-09-17 15:58:30 | 「空に架かる橋」

ココにいるスタッフは医師が2名と
あたし達看護士が3名。
ほんの3ヶ月前にココに派遣される事になったんだけど、
千秋だけは、志願してここにきた。
と、いうのも、外科担当である露木先生が
ココに来ることになったせい。

つまり、千秋ははためからみたら、俗にいうおっかけ・・・?
っていうことになるんだろうけど
あたしからみたら、非常に難解なおっかけということになるかな。

と、いうのも、
千秋は露木先生の「仁術」を崇拝しているのであって、
下衆な色や欲はない。
尊敬の一文字なのよという。
尊敬だけで、
うら若き乙女が戦地にちかい病院に
ついてこれるわけがない。
それはやっぱり恋愛だよと言うんだけど
千秋は
「崇高な師弟愛を侮辱する気?」
って、むきになって怒るばかりで、
やけに熱っぽい尊敬のまなざしを
露木先生に向けているだけで、
随分幸せそうだから、
あたしも不必要にくどい事もいいたくないし、
何も望まず傍に居るだけでいいっていう愛もあるのかもしれないって
半分うらやましく千秋を認めているってとこなんだ。

もう一人の同僚は明美っていう。
あたしとおなじで、
どこに居たってかまわないかな?
なんてのが、いつも心の底にあったから、
派遣看護士を募ったとき
明美もあたしも志願はしなかったけど、
断る理由もなく、
ほかの看護士達が
やれ、家族が子供がと戦地近くに
いけない理由をならべたてて、
抜擢を回避する事に努めていたのに、
私達は何の断る理由ももってなかった。

政府からその病院に要請された頭数だけは、
書類が選考されるだろう。
当然、戦地近くに赴く事を悪いとせぬ、私達が
選ばれてしまうだろうと予測はしていたが、
やはり、そのとおりになった。



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