憂生’s/白蛇

あれやこれやと・・・

白峰大神・・8   白蛇抄第3話

2022-12-08 11:35:07 | ー白峰大神ー   白蛇抄第3話

五十四夜
白峰がくすりと笑った。
「ひのえ。」
「はい」
「昨日、人の物を触った事が無いと言うておったの?」
「あ、はい?」
何を言い出すのかと訝しげなひのえの返事である。
「が、鬼の物には、触れたの?よう、掴んだの?」
「あっ、ああ。そうでありましたな。が、よう知っておいでである」
「お前の成す事は、全て見ておった。危なげな事を平気でしおる。
が、時折、よう判らぬ事をする」
「判らぬ事?」
白峰がひのえを抱きこみながら答えた。
「おお。そうじゃの、例えば、なんで悪童丸の舌をしゃいた?
悪童丸の韻なぞ、お前なら跳ね帰せように?」
「ああ。舌に情念が逃げ込みます故」
「知っておるか。ふむ。下の物に情念を詰め込んで
勢を孕ませてやろうとその折に決めよったか?」
「それもありました。が、情念が舌に逃げこめば
陽の物を断ち切られては悪童丸がほたえ苦しみましょう?」
「ほっ。優しいものよのう」
白峰の手がひのえの襟を割ると
浚え出したひのえの両の乳房を揉みしだき始めている。
「あっ」
ひのえの身体に貫かれた快さに思わず声が漏れる。
「情念が舌にも入り込む。故に、ひのえ。
男はあまやかな言葉を惚れた女子に言わずにおけぬ。
のう、ひのえ。愛おしい・・・・」
身体の芯に火が付いてゆくような甘言を
ひのえの耳に何度も何度も囁かれながら
次には白峰の物でひのえが目くるめくような快感の高みに
押し上げられて行くのは判っていた。

                                     

「また、やっておるのか?」
白銅の元を訪れた不知火が目にした様をそう言った。
「どうせ帰って来ぬわ」
式神を飛ばす事である。
同じ様に白峰の元からひのえも帰って来ぬかも知れぬ。
「判っておろうに」
「どうしろというのだ。何をしろというのだ。
こうしている間も白峰がひのえの身体をくじり、
心まで我が物にしようとしているというのに
わしは何も出来ずにここに居る」
「・・・・・」
肩が震え、上がってくる慟哭を抑えようとする白銅の顔が
歪むのを不知火は只、黙って見ているしかなかった。

六十六夜。
つと、白峰が睨み付けるだけでたちどころに式神の姿が消え去って行く。
「ひのえ。白銅がまた、飛ばしてきよるわ」
「・・・・・」
すでに白峰の寵愛の初めの手が乳に延び
微かな喘ぎに酔わされていたひのえであった。
「口吸いなぞ、許しやるから、白銅め。ほたえあがってしもうたのだ」
ひどく嫉妬の絡んだ目でひのえを見る白峰だった。
「何故、許した?」
「・・・・」
「余りに思うゆえか?」
「かもしれませぬ」
「ひのえ、わしも同じか?」
ねめつけるように見ていたかと思うた白峰が
ひのえの手を取ると、白峰の実を握らせた。
「苦しゅうほど妬けるわ。ひのえをいくら喘がせても、
などかわしの物にならぬのか?」
ひのえの目の奥を覗き込むと
「白銅。見ておるがよい」
白峰が言うと、散らした筈の式神が
何時の間にか壁を背にしてちょこなんと座っていた。
足をくの字に曲げ膝を抱かえ、虚ろな目で白峰を見ていた。
「よう、見やれ。その様。白銅にように伝えおれ」
言うと、ひのえの顔を寄せつけその口を啜った。
白峰の舌が離れるとそのまま項を舐め上げる。
さらに両の手でひのえの乳を引き絞るように掴むと
その先に舌を落とし込んでゆく。
「ああ・・」
ひのえの声が上がるのを待って
白峰は帯を緩ませ着物をはぐった。
床に敷布の様に広がる着物の上で白峰はひのえを抱いた。
嫉妬の炎が更に欲情の焔を煽り大きな炎が白峰を包んだ。
瞬きもせず呆けた顔で二人の様を見ている式神がいる。
ひのえは敷かれた物をはぐる様にして身を包もうとするが
白峰がそれを取り払うとひのえのほとに顔を寄せた。
「あっ、いや・・・・」
が、それも、すぐ細かな喘ぎに変る。
「あ、あ、あ・・・・」
細かく震える声が白峰のいたぶりの様を表わしている。
「見ておれ。ひのえは、わしの物じゃ」
小さな式神にまで、猛り狂わねばならぬ白峰の心の様が
ひのえの胸に刺さった。
『白峰・・・すまぬ』
白峰の身体が延びあがり
ひのえの身体の上に上がってくると、
ひのえの中に己の物を入れ込むとゆっくり動かし始めた。

「ほっ?帰ってきおった」
初めて白峰に気付かれなかった様である。
小さな式神が白銅の前に姿を現したのである。
「澄明は、どうであった」
気になる事である。
日毎夜毎。哀しく憂いた顔をして
百日を過ぐるのを待っているのであろう。
病にならぬか、それも気懸りであった。
「あ、はっ・・」
もどかしげに返事を待つ白銅であった。
「元気であらせられました」
「そうか、やつれてはおらなんだか?」
「はい」
「よう、白峰に気が付かれなんだの」
苦労をねぎろうてやるつもりであった。
「あ、や、はい」
歯に挟まった様に歯切れの悪い返事である。
その上妙におどおどとしている。
「何を、隠しおる?」
どうせ、隠しても元である白銅には、見破られてしまう。
「白峰はその・・・私を一度消失させて、呼び起しました」
「なに?」
「と、と、澄明様との睦事をよう、見て白銅様に伝えよと・・・」
白銅は黙って式神をくじり去った。
澄明のそのさまを聞きたくもなければ、
それを見た式神も許せなかった。
「阿呆・・・・」
「不知火?」
何時の間にか不知火が来ていたのに
白銅は気が付いていなかった。

「白峰の聖域に式めが入るる訳がなかろう?」
「いや、じゃが、くじり殺されよったが、皆・・」
「じゃから、阿呆じゃと言うておる」
「・・・・」
「判らぬか?女を知らぬ奴はこれじゃ」
「何だと言うのだ?」
「式が入れるような結界を白峰が張る訳が無かろう?」
「じゃが・・・・」
「白峰がの、結界を緩ませた故入れるのじゃろう?」
「そうよ:」
「まだ、判らぬか?
白峰が澄明を抱くのに気を取られるが故、
結界が緩むのであろうが?
即ち、式が入れたという事自体が
白峰が潤房の最中であるという事であろう?」
「あ」
「わざ、わざ。それを式に見させておいて
白峰が気がつけば腹立ちの末、くじるに決っておるわ」
「・・・」
「帰って来ても、御主の嫉妬でくじり殺されるわ。
それが初めから判っておっただろうに・・・。
生き死にが関わっておれば聡い故な。憐れな」
「すまなかった」
「わしに謝っても仕方なかろう」
「・・・・・」
「式神など飛ばした所で、澄明は帰って来ん。
なにか、手立てを考え付かぬのか?」
「今更・・・」
「ならば、諦めろ」
「くっ」
「諦めもできず、何か言えば、遅いわ?今更?聞きとうもない」
「・・・・」
「一戦、交えるか?俺も手伝うぞ」
「馬鹿な。死んでは元も子もない」
「諦めもせず、かといって何もせず、
生きているのやら死んでいるのやら判らぬよりは
いっそ白峰に挑んで殺さるるば良い。
澄明の心だけはお前の物になろうて」
「死ぬ気で・・・惚れよとか?」
「そうよ」
「・・・・」
「男なら好いた女子の一人、無理矢理でも、
己の物に出来ぬ様で何が男よ。
白峰に負ける筈だわの。
身体なぞ幾らでも白峰にくれてやれ。
心一つ捕りて男の本望よ。
傀儡を擁いていたと白峰に一泡ふかせてやれ。
違うか?白銅?」
「おうておる・・・」
「まあ、判れば良い。動こうぞ。白銅。愛宕山に付いて来い」
「愛宕山?」
「おおうよ」
「弁財天であろう?」
「蛇の道は、蛇といおう。
蛇に聞けねば、弁才天は蛇使いじゃ。
少しでも、手繰れる物があらば、
それを手繰ってゆくしかなかろう?」
「しかし、いくら、弁財天が使いに蛇を用いていたというても、
白峰も神格。
よもや、弁財天の使いに等は遣われておらぬまい?」
「すぐに、白峰を押さうる物を望む故、そういう事を思う。
お前、何時か、言っておっただろう?
草薙の剣が事よ。あれを考えておる。
それがあらば、白峰を裂く事も成せるかと、思うての」
「・・・・・」
「お前が、そのような事を思うのも、
なにかにきこしめられたのかと思えてもおるしの。
蛇を遣うておるぐらいじゃ、
弁財天も何ぞ、知っておるやも知れぬ。
知らぬでも元々ではないか?」
白銅も重い腰をやっと上げると
不知火に付き従うように愛宕山方円寺に上がって行った。



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