1、「生命」関係
私たちは地球上の生物である。加えて、植物も動物も生物である。(図表2-3)
(図表2-3)
① 生物学習の特徴について
生物の学習では、人及び親しみやすい身近な動物・植物が取り上げられる。その特徴や生活は様々な要素が複雑にからみ合うので、学習に困難なことが伴うこともある。主な事項と学習の要点をあげる。
1、個々の生物の観察をする(自然観察)
・生物の特徴を掴むには全体的、直覚的なとらえ方をする。さらに、細部を分析的にしかも正確に観察すること。観察を様々な観点から行う必要が多いので、観察の仕方について十分な指導をする(観察の観点など)。
・観察を文章・絵及び工作的な製作物などで表現させ、それを通して観察を深める指導をする。スケッチは、全体と部分の2種類を描かせる。観察の記録であるので、正確さが求められる。観察のスケッチは、「ゆっくり1本の線で描かせる」ことがコツ。ゆっくり線を描くことによって、じっくりと観察ができる。
2、つくりとはたらきを調べる(生物の構造と機能)
・複雑なものを分析的に要素に分けて見たり、各部分のつながりを関係的に見たりして、簡単な実験を試みて調べる。
3、多様性と共通性の考察をする(生物の多様性と共通性)
・生物という概念を理解する
子どもにとっては個々の草花、草・木の別があるが、植物という概念がない。また、動物と言えば、犬・猫・うさぎ・牛・馬などを指すことが多い。身近な生き物、鳥、魚などについては概念がまとまっているが、虫は非常に広い範囲の動物を指している。
○草花・木……植物
○身近な生き物・鳥・魚・虫……動物
○植物・動物(人を含む)……生物
と次第にまとまるように指導していく。
4、成長・生殖・発生の観察をする(生命の連続性)
①四季を通した動物の活動や植物の成長の観察等、飼育・栽培を通して長期にわたっての継続的な取組みになる。
②目的に応じて観察記録のフオーマットを工夫する(自然観察、継続観察、発芽やつくりの観察等)。
5、環境への適応と保全を学ぶ(生物と環境のかかわり)
生物を扱う際には、常に環境との関係に目を向けさせたいが、子どもには分りにくいことが多いので、はっきり分かるものから考えるようにさせる。
①生物の学習では、からだや運動・食べ物・すみかなどの生活の要素と環境の要素との関連を関係的に見るように導く。
②環境要素を比較して生物の成長などを調べる場合、他の要素は同―の条件にして実験する。
③複雑な要素を持つ生物関係の事実を単純に関連づけて結論を誤ることのないように注意し、環境保全の意識を育てる。
6、生物愛護の精神を育てる
・生物の学習には、いつでも生命を尊重し生物を愛護することを念頭において指導を行う。人も生物の一員であり、人は他の生物を食糧として生命を維持し発展している。このことが「生物愛護と矛盾する」と子どもが考える場合も多い。生物が全体として調和のとれた生活を発展させていることを理解させ(食物連鎖など)、必要以上に生物を損なうことのないように配慮する。