The 理科ロマンスカー

人生を振り返りつつ見過ごしては禍根を残すであろう事柄に着目。
日本の正義・倫理・規範・疑惑等々婉曲的に発信。

「質問に対する回答は、どのように応えたら良いのでしょうか?。瞬時に質問の主旨を捉えること。」

2021-07-31 13:21:30 | 日記
2021年07月30日夕刻の緊急事態宣言対象拡大首相記者会見の一部分を例にして考察を試みる。
【ジャーナリスト江川紹子氏の質問内容】
「ワクチンについて菅首相は常に目標を明確にあげてこられたと思います。ただ、当面はワクチンが行き渡るまで人の接触や移動の機会を減らしていくしかないわけで。先ほどさらに人流を減らすようにとおっしゃいましたが、それをしていくための具体的な目標とそれを実現するための方法が示されていません。具体的にはどれくらいの人を減らす、あるいは人と人との接触の機会を減らすことが目標としてあるのか。そのためには具体的に何をしていくのか。先ほどテレビ観戦を勧められましたがそれだけで目標が到達できるのかをおうかがしたい」。  
※質問の骨子は人流を減らすために、具体的に何をしていくかを聞いている。数値目標も期待しているか。

【菅義偉首相の回答内容】
「これ、東京大会ですね、開催が決定してから、その東京都内におけるこれ、東京都内に圧倒的にオリンピックの会場ありますから。そのなかで東京に集中…集中する人流を防ぐための対策ちゅうを当時から考えて行ってきていますから。それが車の乗り入れ3割減だとか、あるいはテレワークによって…たしか5割くらいだったと思いますけど。東京都と連携してそうしたことを対応してきていることも事実であります。そして、結果的に新たに、これ、人流、…無観客、定員、定数、観客入れての時でも30万は…首都圏の人流を少なくする。そうした対策を練っていましたので、そうしたものに基づいて行っているということであります。ですから大会に集中する人それよりも、少なくするということです。ですからそこはできていると思っています」。

※ 直近連日首都圏では感染者が増えていることを踏まえての質問。急激な感染者増加前、すなわちオリンピック開催に向けての対策のみに応えていて、直近の感染爆発における感染者抑制の方策は語られていない。
質問内容に対してはその主旨を即座に捉え、具体的な内容を盛り込むことで質問者に説得と納得を計ることができる。更に補助的な回答を付け加えることで一層深まる。このケースの質問は国民の聴きたいことを記者が代表して行っているので、国民の説得と納得にもつながるが、果たして達成されていたのであろうか。

指導法はスッキリ×シンプルに!!  東京新聞「筆洗」より

2021-07-28 11:33:24 | 日記
――子どもが身に付く教え方の極意とはーー

跳び箱を跳べない子どもに「できるだけ速く走って思い切り飛ぶのだよ」と促しても跳べるようにはならない。助走のスピードが速くても、踏切板に近づくとスピードが落ち、しかも両足で踏切板を蹴れないために跳び超す勢いがつかない。同時に跳び箱を飛べない原因は恐怖心にもあるようだ。

この事例の指導法は跳び箱を取り除き、踏切板とマットの間を適当に開けて、助走をつけ両足で踏切板を蹴りマットに着地させることをさせたい。その時に着眼させることは、助走のスピードを活かして両足で踏切板を蹴ることを強く意識させる。数回練習し、助走のスピードと両足跳びができたら、跳び箱を元に戻し試みさせると、本人もびっくり見事に跳べるようになる。

東京新聞紙面「筆洗」(2021年07月26日)に「子どもの読書感想文の書き方」が載っていた。「筆洗」欄の筆者が書き方
を教えて欲しいと頼まれたらしい。そこで「簡単な書き方」を開陳されているので紹介する。
『最初から原稿用紙に書かないで、まずはメモ用紙を4枚用意する。
1枚目は「どんなお話か」。
2枚目は「一番好きな場面とそのわけ」。
3枚目は「一番嫌いな場面とそのわけ」。
4枚目は「主人公のかっこいいところとそのわけ」。を書く。』

これだけ単純化されていたら子どもにはわかり易く、取り組みたくなる文章書き方論であると思う。「好き」「嫌い」「かっこいい」など感情に訴えているところがイメージし易くなり、「そのわけ」はそう感じた理由、根拠であってそこで思考が自ずと働く。そのうえ書く内容の心得が記されている。1枚目はあらすじで、できるだけ簡潔に書く。具体例も示され『エジソンの伝記なら、「少年が苦労をして発明王になる話」程度で構わない』と。感想文を書く気力を増幅させてくれる助言になっている。

2枚目以降も「細かく書く必要がない。ただし、思ったまま正直に。先生に褒められたいと悩むから書くのがつらくなる」とまさに核心に触れられているところが素晴らしい。「思ったまま正直に書く」は、思考力を育てるうえで肝になり、その子らしさが表れるところである。思考力は一足飛びに成長するのではなく、思考の上に思考を重ねながら、すなわち更新しながら様々な経験を通して高められていく。

そして、「4枚のメモを基にもう少しだけ詳しくしながら、全体を下書きしてみる」。筆者はこの書き方を「部品を作り、後で組み立てるやり方なら手順がはっきりしている分、少しは書きやすいだろう」と分析し説明している。
加えて「物語のテーマソングを作詞し、書き添えるという手もあるか」と、完成した感想文の質の向上を尚一層狙っていることが伝わってくる。最後に「おもしろそうだし、なによりも、子どもが喜んで書いてくれそうな気がする。」と締め括られている。文章作りプロの指南書である。学校の教室でも活用できることは間違いないと思う。

ここで心しておきたいことは、指導法は教える側から見て、学習法は学ぶ側から見ての表現であり、極端なケースにおいて学習法は10人いたら10通りほどといわれている。1つの指導法が万能ではないことを心に留めておかれることである。であるので、「筆洗」で紹介しているように指導する本質の骨子を示し、受け取る学習者の見方や考え方や工夫などの個性を付加できる余地が多い指導法の確立を指導者は目指していきたい。


小学校教育は「全身のセンサーを存分に使って」学ばせたい

2021-07-14 09:14:53 | 日記
日本を代表する思想家 柳宗悦氏(やなぎ むねよし)【1889年3月〜1961年5月没】は、「見て知りそ 知りてな見そ」と述べています。「直感は自由にするが、知識は限定する」の意味で、「知ることを先にして、見ることを後にしてはいけない」と教えています。

知ってから見ると、見方は「知」に邪魔されて、純粋に見ることができなくなるとのこと。余計な知識を与えないで、子どもの純粋なこころでものと向き合わせることの大切さを、幼児・初等教育では改めて大切であることを思い知らされます。

このことは1歳にも満たない孫の無心な行動からも見ることができます。あの柔らかい手のひらでものをギュッと握りしめ、指を動かし爪を立ててものに触れ、ものの特徴を掴もうとします。スイッチの釦や穴など小さなものや突起物に指が敏感に反応します。手がものの特徴を掴もうとしてセンサーになり、対象にくい入ろうとして認識します。

なんでも舌でなめて知ろうとし、大きな眼でジッと見つめて映像から確認しようとします。リモコンのスイッチ釦を押しては照明を点灯させ、スイッチ釦を押すことと点滅との関係に関心を持ちます。これは因果や可逆的関係の原初的な体験にあたると思われます。同様に温度の高低変化によって表面の色が変わるおもちゃも、同じ認識を狙っていると推測できます。車のエンジンを加速する際に出る音や高音の雑音などの時に両手で耳を塞ぐ行為は音に関する幼児の捉えを見て取れます。食事では口までもっていったおかずの匂いを鼻でかいで食べるかどうかの判断をします。

これらは幼児の対象への認識のほんの一例をあげましたが、子どもはこうして自らの感覚・五感(視覚・触覚・聴覚・臭覚・味覚)で実際のものに接し、つながり、行動を広げ、対象を認識していくことで、脳の様々な働きを発達させています。小学校教育(個人差はあるが特に5学年の10月頃まで)は「身体全体を使って学ぶ」という至ってシンプルな指導理念を大切にすべき所以であります。