The 理科ロマンスカー

人生を振り返りつつ見過ごしては禍根を残すであろう事柄に着目。
日本の正義・倫理・規範・疑惑等々婉曲的に発信。

小学校理科4学年で育てる資質・能力。その1 「既習の内容や生活経験を基に根拠のある予想や仮説を発想する力」

2018-04-30 11:13:27 | 日記


1、理科学習の予想や仮説について
学習問題≪この時間何を学習するかの「めあて」であるので、学習課題・テーマ・ミッション・「今日のはてな」など、名称にきまりがないので、呼称は各教室で決めたい≫から観察や実験へと展開を安易に進めると、子どもは観察や実験の意味を掴まないで無意味な学習に終わる場合が多い。

観察や実験は「なんらかの予想や仮説があり」、その予想や仮説を「検証するため・調べるため」に行われるものである。
観察や実験の目的や意味が子ども一人ひとりに徹底させるためには、学習問題から観察や実験の生まれる過程が、子どものものになっていなくてはならない。そのために予想や仮説を立てる場が重要になる。

2、予想や仮説を考えだす背景
それでは、予想や仮説はどのように生まれるだろうか。
生活経験が乏しく生活科などの学びしかない3学生などでは、予想でも仮説でもなく「思いつき」のことが多い。あるいは何も知らないことについては、原理や法則を考えることは困難になる。でも、これから調べる近未来の結果を予測させる予想や仮説は、学びを主体的にさせる。「自分ゴト」になるのである。

指導上配慮しておくことは、全く経験していない対象については、予想や仮説を考えさせるよりも、実際に体験や活動での観察や実験などをさせることが先決になる。この役割を3学年の1年間の理科学習が担っているともいえる。

本来は予想や仮説が先にあるべきであるが、理科的な経験が少ない子どもたちには、予想や仮説を立てさせる前につぎのことを存分にさせる。それは、観察や実験の「活動や体験」をさせて、それを蓄積すること。つぎに活動や体験による「気付いたこと」を共有させていくことである。「活動や体験」は、「具体に裏付けられた知識」とも捉えることができる。

「活動や体験」を蓄積し、「気付いたことを共有」することによって、予想や仮説を立てる素地や基盤を内面に形成できる。
観察や実験の活動や体験を繰り返すことによって、予想や仮説を自分自身の考えで構成できる。考えの構成力を存分に鍛え、思考力を高めることは理科学習では重要になる。


小学校理科3学年で育て資質・能力。その3 「差異点や共通点を基に、問題を見いだす」・・・疑問から学習問題(課題)づくり 問題は明瞭な疑問の形式に言い表し、問題解決に至る目的にも記述する

2018-04-29 08:03:16 | 日記
 「植物の育ち方について調べよう」「振り子のきまりについて調べよう」では、問題は明らかにはならない。特に、次期学習指導要領では、「資質・能力」を育て、「問題解決を成し遂げる力」を培うことになる。
 「種子が発芽するためには、何が必要なのだろうか?条件を制御しながら発芽に必要な環境条件を調べ、実験で確かめよう」「糸につるした錘の動きには、どのようなきまりがあるのだろうか?錘の動きを観察し、条件を制御して実験で確かめよう」など、そこにはっきりとした学習の対象となる問題が具体的になっていることと、問題解決に至る目的についても記述する必要がでてきた。

 問題が生まれるためには、次のことを意識しておきたい。
○問題の生まれる場面を分析すること。
○分ることと分らないことをはっきり区別すること。
○分らないことは疑問の形に表現してみること。など

 加えて、子どもが抱いたり発見したりした疑問や問題を授業で扱う「授業化・学習化」を繰り返すことによって、疑問を見つけることが子どもたちに習慣化される。
 そのためには、「この次は○○君の疑問をみんなで取り組んで解決していこう」と促すことによって、子どもが気付いた面白い疑問や問題を取り上げることになる。この裏技は、子どもの「疑問を発見する目」を鍛えることにつながる。

小学校理科3学年で育て資質・能力。その2 「差異点や共通点を基に、問題を見いだす」・・・疑問から学習問題(課題)づくり

2018-04-26 14:03:39 | 日記
 見なれた現象には、かえって問題を持ちにくい
 問題を持つということは、何らかの意味において、子どもの心の平衡が破れた時である。
 事物や現象に直接接した時、「あれ?」「なに?」「不思議」「驚き」・・・等々、安定感を打ち砕かれたとき、問題のまで昇華する。

 見なれた事物や現象は当たり前と捉えて問題をもちにくい。こうした事物や現象にも「おや?」と思うような心をゆり動かす働き掛けの工夫を、教師は準備し、仕掛けを考えておくことである。現象の変化にいっしょに驚くことも指導の一方策になる。 

 3年「磁石の学習」の事例を紹介する。
 導入で、磁石に付きそうな物と付きそうでない物を用意して事象提示を行う。その中の「クレヨン」が磁石に付くことに「驚きの声が」上がる。クレヨンのなかでも鉄が含まれている茶色とこげ茶色がつくのである(磁石はネオジム磁石を使用のこと)。
 クレヨンが磁石に付いたことから、子どもの内心に「意外性」が燃え上がり、疑問から調べてみようと行動に移る。

小学校理科3学年で育てる資質・能力。その1

2018-04-22 10:07:34 | 日記

「差異点や共通点を基に、問題を見いだす」・・・疑問から学習問題(課題)づくり

 子どもが抱く疑問や問題は、明確に区別していないように思われる。低学年生や3年生などによく見られる、単純な「なぜ」「どうして」「これなあに」というような質問に「疑問」を使い、複雑な解決を要するものを「問題」といっていることが多い。

 辞書を引くと、「疑問→疑い問うこと、疑わしいこと」「問題→答えさせるための問い、解決を要する事柄」などと書かれている。
子どもが解決したいものや解決してやらねばならないもの、「なぜ?」「どうして?」などと思うものなどを、疑問や問題の区別をしないで使っていることが現実には多いようである。この疑問や問題を抱くことが主体的な学びには不可欠である。3年生ではふんだんに疑問や問題を子どもから惹きだすことによって、好奇心を存分に養いたい。

 そのためには、まずは五感を使って疑問や不思議に沢山気づかせたい。そして、違うところや似ていところから疑問や問題を吟味して、みんなで協力して解決する学習問題まで作られるように指導をすることである。この資質・能力(思考力・判断力・表現力等)をひとり一人に育てられたら3学年の目標は達成されたと言える。

 その際、学期ごとに1学期は2から3割程度のこども、2学期には8割程度のこども、3学期の2月頃までにはほぼ全員が学習問題づくりが自力でできるような指導構想を、年間の単元を俯瞰して計画を立てておくようになる。すくなくとも1学期間は、スモールステップでの学習問題づくりを指導していくようになる。板書を活用して教師主導型で作成したり、グループで集約して作らせたり、カードを用いてKJ的に設定したりなど、他教科との連動も考慮して指導に当たりたい。

教科における指導の重点を捉えて授業を構想する、その1 ・・・「思考力・判断力・表現力等を育成する」

2018-04-12 10:02:22 | 日記




小学校の担任はご承知のとおり10教科程担当することになる。さらに道徳なども加わる。中学校教諭は専科であるので一つの指導案で数時間の授業を賄える。小学校の先生は毎時間毎時間新たな指導案で授業をしなければならない。それだけ授業準備に時間を要する。ただでさえ今の教室は、児童指導等一人一人の個別対応で忙しい。「トイレに行く暇もないほど」と聞く。しかも、質の高い授業を展開しない事には、子どもに資質・能力が育たない。それよりも子どもが授業に集中しなくなる。結果的には、負のスパイラルにおちいり、最悪は学級崩壊に至る。

であるから、教科が担う役割を掴み、指導内容を理解し、指導の重点を把握することが授業づくりの必要条件になる。教科による授業展開にはそれほどの違いはないが、あったとしても内容教科と技能教科程度である。教科によってどのような資質・能力を育成するかがポイントになる。図は小学校理科での育成する資質・能力である。

理科の3年を例に挙げて説明する。「(比較しながら調べる活動を通して)自然の事物・現象について追究する中で、差異点や共通点を基に、問題を見いだし、表現すること」が育成すべき力。
たっぷり自然(身の回りの事物・現象等)に触れさせ、疑問なことや不思議なことなどから調べてみたいことなどを焦点化し、さらに教室の友と調べてみたい問題を浮かび上がらせ、学習問題を絞り込み設定させる。問題解決におけるここまでの活動は、じっくり時間を確保して子どもの見方や考え方、発想などを活かし、主体的に行わせ個々の子どもが3学期までには確実にできるようにさせる。もちろん五感を十分に活用させ、事象を差異点や共通点など比較しながら調べたり考えさせたりして取り組ませる。

その後の授業展開は、教師が指導意識を持ち、教科書の内容を参考にさせるなど教師の助言や指導を強め、観察・実験、結果・結論までを導くように授業を構成する。
3年の理科授業では、自然にどっぷり浸らせ、何を解決したいかの問題を自力で見つけ出す資質・能力を付けさせて4年生に進級させることになる。これをどの子にもできるようにさせるのが3年の理科の指導の重点になる。