
1、理科学習の予想や仮説について
学習問題≪この時間何を学習するかの「めあて」であるので、学習課題・テーマ・ミッション・「今日のはてな」など、名称にきまりがないので、呼称は各教室で決めたい≫から観察や実験へと展開を安易に進めると、子どもは観察や実験の意味を掴まないで無意味な学習に終わる場合が多い。
観察や実験は「なんらかの予想や仮説があり」、その予想や仮説を「検証するため・調べるため」に行われるものである。
観察や実験の目的や意味が子ども一人ひとりに徹底させるためには、学習問題から観察や実験の生まれる過程が、子どものものになっていなくてはならない。そのために予想や仮説を立てる場が重要になる。
2、予想や仮説を考えだす背景
それでは、予想や仮説はどのように生まれるだろうか。
生活経験が乏しく生活科などの学びしかない3学生などでは、予想でも仮説でもなく「思いつき」のことが多い。あるいは何も知らないことについては、原理や法則を考えることは困難になる。でも、これから調べる近未来の結果を予測させる予想や仮説は、学びを主体的にさせる。「自分ゴト」になるのである。
指導上配慮しておくことは、全く経験していない対象については、予想や仮説を考えさせるよりも、実際に体験や活動での観察や実験などをさせることが先決になる。この役割を3学年の1年間の理科学習が担っているともいえる。
本来は予想や仮説が先にあるべきであるが、理科的な経験が少ない子どもたちには、予想や仮説を立てさせる前につぎのことを存分にさせる。それは、観察や実験の「活動や体験」をさせて、それを蓄積すること。つぎに活動や体験による「気付いたこと」を共有させていくことである。「活動や体験」は、「具体に裏付けられた知識」とも捉えることができる。
「活動や体験」を蓄積し、「気付いたことを共有」することによって、予想や仮説を立てる素地や基盤を内面に形成できる。
観察や実験の活動や体験を繰り返すことによって、予想や仮説を自分自身の考えで構成できる。考えの構成力を存分に鍛え、思考力を高めることは理科学習では重要になる。