地球は大気に包まれ、太陽の光と熱の影響を受けている。地球を回っているのが月であり、地球は太陽の周りを回る惑星である。太陽系は広大な宇宙の一部である。
このような地球や宇宙について初歩の認識を持たせるのがねらいである。この認識を育てるには、次のような見方や考え方を必要とする。
1、 現象相互のつながりを捉える
この分野は、太陽や月、星の運行とその規則性であり、地球の自転や公転が最初に学習させる内容ではないことを肝に銘じておきたい。
太陽の運行をベースとして日光の役割の大切さやその有り難味が意識でき、それが身近な自然の小さな現象と深くかかわりのあることや自然の営みはどんな小さなものでも規則正しく行われていることを理解させる。
(あ)天体の動き、㋑地表の変化、㋒気象の変化の三者を、地球を中心とした考え方に統一し、常に私達の身近に起る生物の諸現象と関係づけて考察することが重要になる。(図表2-4)

(図表2-4)
2、 地球関係の調べ方の特徴について
(あ)地球と宇宙における時間的な見方、考え方について
地質の指導で、地質年代の数字(何億年前の化石、何億年の大昔など)が述べられるが、大昔を父や祖父の子ども時代と解してしまう傾向が子どもにはある。このようなことから地質年代の数字そのものよりも、数字を算出した考え方や地層の重なりの新旧などの比較対照のことが大切な学習内容になる。
また、太陽や月・星などの運行はある時刻毎の変化を観測しなければならない。例えば、太陽は、朝東から出て上り、南に移るにつれて高くなり、さらに西に移って低くなり、やがて夕方西に沈む。
これは、一日の見かけの運行であるが、時間の経過をたどって観測しなければ正しくは掴めない。それを、ある期間観測することにより、連続して規則正しいことから、周期性を捉えることができるようになる。
(い)地球と宇宙における空間的な見方、考え方について
川の水の流れは、はるかな彼方の山中に始まり、天気は広い範囲の雲の動きと関係する。身近な自然の現象も広い地域との関係で考えることが大切である。
空間的な見方には、方位がある。方位は、太陽の運行から東西南北など決めている。個人のいる位置によって決まり、特定の場所を指すものではない。
太陽や月や星は非常に遠い所にあるということは、雲が出ると隠れてしまうことから推測できる。
同じ天体を地上で見た後、屋上に上がってみれば、天体も上に上がって見えることなどから、その位置を方位とともに、地上からの角度で捉えることも重要な見方である。
この領域は、新聞やテレビ、インターネットなどで最新情報が得られやすい。だが、学習ではそれらを鵜呑みにさせるのでなく、基本的な事項を観察や観測を通して掴み、科学的な見方や考え方を育てたい。