「感じて、考えて、行う」が人間の行動仕組みの原理原則である。
五感より情報を取り入れ(入力)、脳で繰り返しループが回って思考し、運動・実行・行動(出力)としてあらわれる。
これら脳で行われる思考、すなわち考える力を養うには、考えることの術である視点を子どもに与える必要がある。
考える力の原点は、「比較する」こと。授業の導入で2枚の写真を提示したり、永久磁石が茶色のクレヨンを引き付ける現象を見せたりしたりすることは、思考を誘っている。
比較のさせ方は、違うところ(差異点)を先ずは見つけさせることが子どもにはよい。次に同じところ(共通点)を見つけさせる。違うところを見つける方が容易いからである。比較することによって事柄がより鮮明になる。ベン図などのフォーマットを活用することで整理がしやすくなる。
いくつかの情報や煩雑な事柄のケースは、幾つかに「分類する」ことによって鮮明になる。4つのまとまりに区分する際は、用紙に交差する線で仕切りタイトルを付けて分類するXチャート。3つのまとまりの場合は、用紙にY字を書いたYチャートを使う。まとまり毎にグルーピングし見出しをつけることによって、本質があぶり出されてくる。
考えの交流やフィールドワークをした際、幾つかの視点により物事を「多面的に見る」ことが必要になる。この場合は複数の視点より物事を見ていくことになる。「視点と事実」や「理由と根拠」などを書き表すことができるフォーマットとして、フィッシュボーンなどと呼ばれている図を活用するとよい。
次に、明らかになった事柄と他に明らかになった事柄とのつながりを見付けだすことによって新たな事柄が見えてくる。関係なさそうな事柄を「関連付ける」ことは、想像力やインスピレーションなどを働かせることになる。イメージマップなどの拡散的思考やコンセプトマップなど収束的思考など、ケースバイケースで使い分けることによって、新たな発見に気づく。
明らかになってきたものを根拠として論理的に考えを構成するために「構造化する」することが必要になる。ピラミットチャートなど階層に分けたり、集合ごとに関係を明確にしたりして道筋を立てることによって主張や自己の考えが明確になる。
述べた思考の術を活用し対象が明らかになったら、「私の考えは・・・」「自分だったら・・・」と「統合する」させることである。