▽討論に至る指導技術の具体
討論に必要な条件は次の通りである。
まず、考えを抱くためには
1、観察・実験の実体験の蓄積 2、知識の蓄積 |
が必要になる。
「豊富で十分な観察・実験」と「考える足場となる知識」とが内面にたっぷりと溜まっていないことには、授業の中で「入力に当たる聞くこと」のみに偏り、「出力に当たる考えを述べる」ことの話し合いには到底参加できない。
1時間、1時間の学びを確かに積み重ねることによって、単元の後半には疑問から問題がわき上がり、熱気溢れる話し合いが可能になる。
設定する問題は、すぐに答えが出てしまうようでは討論に至らないので、「答えが分かれるような問題」や「学んだことを総動員して解決していくような問題」などを見出し、設定することがコツである。
子どもが上げた疑問や不思議などから「討論の問題」に発展したり、単元のまとめとして教師が「提示した問題」などによったりして設定される。
例えば、6年「ものの重さと力」の単元の後半で、次のような問題を提示し、討論させたい。
古代ギリシャのアルキメデスは「私に長い棒と支点を与えてくれれば地球を動かしてみせる」といったそうですが、アルキメデスはどのようにして、地球を動かそうとしたのでしょうか。その仕方を考え、話し合おう。 |
6年「ものの重さと力」の問題例。
理髪店で前髪を2、3本切り揃えるには、はさみの刃先を使い、たくさんまとめて切るには奥のほうで切るのはなぜでしょうか。学んだことを活かしてわけを説明しよう。 |
5年「振り子の運動」の問題例。(「これが物理学だ」文藝春秋)より
「振り子につけた15kgの鉄球は、反対側のガラスを粉々に砕く。その同じ鉄球をわたしの顎(あご)からわずか3mmの位置で持って離す。向こうに振り切った鉄球は、ものすごいスピードでわたしの顎(あご)めがけて駆け上がってくる。わたしは鉄球を離したところで直立のままである」このことについて理由を含めてどのようになるか理科的に詳しく説明しよう。 |
6年「水溶液の性質」の問題例。
丸の内線車内で缶が破裂し、顔や手に火傷を負う事故が報道された(平成24年11月発生)。破裂したのはキャツプ付缶で、中には洗剤が入っていたそうである。こうなった原因を詳しく分析して説明しよう。 |
6年「月と太陽」の問題例。
江戸時代の与謝蕪村が作った句。「菜の花や 月は東に 日は西に」 この句より、①季節は、②時刻は、③月の形は、④ ③のときの地球との位置関係は、などを詳しく説明しよう。 |