国会では福島原発事故調査委員会が設けられ検証作業が続いているが、マスコミが事故をどのように報道したのか検証してみたい。
実は先日、福島中央テレビ(FCT)が去年3月の福島原発水素爆発の映像をいち早く伝えたとして、日本記者クラブ賞特別賞を受賞した。まことに天晴れな受賞だと敬意を表したい。覚えている人も大勢いると思うが、去年3月12日の午後、福島第一原発の1号機が水素爆発を起こし、この模様はキー局である日本テレビなどを通じて全国に報道された。実に衝撃的な映像であり忘れられないものだ。
しかし、今回のFCTの栄光とは別に、私のように関東圏(埼玉県在住)に住む人間は日本テレビを見るしかないが、爆発の映像はたしか「特別番組」の1回しか見ていなかったと思う。あの映像は何度でも見たかったが、なぜかその後“封印”された形になった。私は日本テレビがこの映像を流さないようにしたのではと疑ったのである。
この件で先日、私はある機会に日本記者クラブの関係者Aさん(名前は伏せる)の話を聞くことができた。私が疑問をぶつけると、Aさんは「そうだよ。日本テレビが押さえ込んだのさ」と答えた。そして、日本テレビと福島中央テレビの間で激しい応酬が繰り広げられたことを示唆した。
こういう話を聞けば、大方の人はすぐにピ~ンと来るだろう。映像の扱いをめぐってキー局と地方局が対立したのだ。その詳しいことは分からないが、私も元民放キー局にいたので何となく推測できる。日本テレビは映像を押さえ込んだが、FCTはその後も爆発の映像を福島県内で報道し続けた。これで福島県民は原発の異常事態を知り、早期避難を可能にしたかもしれない。そういった点が評価され、FCTは今回 特別賞を受賞したのだ。他局の監視カメラが大地震の影響などで機能不全に陥る中、FCTのカメラだけが唯一 機能したのは幸運だっただろう。しかし、問題は報道する姿勢である。FCTは人々に事実を速報するという使命を果たし、国民の知る権利に応えたのである。
これに対し、日本テレビはなぜ映像を押さえ込んだのか。政府や東京電力から圧力があったのか。東電やその上の電気事業連合会は民放の“大スポンサー”である。それとも、社長命令などで映像の発信を自粛したのか。いたずらに危機感を煽るのは良くないと判断したのか・・・それは分からない。日本テレビに聞いても、はっきりとは答えてくれないだろう。 ただ、ここで言いたいのは、原発事故直後に余りにも不明朗な出来事が相次いだことだ。 SPEEDIなどは緊急時に放射能の影響予測をするはずなのに、何の役にも立たなかった。SPEEDIは機能していたのに、なぜか公表されなかった。日本国民は外国の情報から知った次第である。 こんなことを検証していったら、腹が立ってくるだけだ。もう多くの人が知っているから止めよう。
ここで言いたいのは、福島中央テレビは報道の責任を果たしたのに、キー局である日本テレビはその責任を果たさなかったのだ。これだけは間違いない。以下に参考映像をアップしておきたい。
2011.09.11 原発水素爆発 わたしたちはどう伝えたか