沖縄で問題にされてきた米軍機・MC-130特殊作戦機の低空飛行問題に、岸信夫防衛大臣がこう答えている。「米軍機の飛行訓練に関して地元から不安の声が上がっているということは承知しているところです。米軍機の飛行訓練は、パイロットの技能の向上を図る上で不可欠なものでございます。日米安保の目標達成のためにも重要なものでございますけれども,一方で、訓練に公共の安全に妥当な配慮を払って活動することが当然前提であります。これまでも防衛省から米軍に対しまして、航空機の運用に際しまして日米合意を順守するとともに、周辺住民に与える影響を最小限にとどめるように申し入れを行っているところでございます。今後とも、防衛省は米側と連携を図りながら,安全面に最大限の配慮を求めて,地元の皆様に与える影響が最小限になるように適切に対応して参りたいと思います」。これが2月12日現在の防衛大臣の認識なのだ。
この問題はかねてから繰返されてきた。私も辺野古沖で何度も観ている。高度100m以下の飛行をみてきた。また今回の件は12月から1月に繰返された慶良間諸島周辺での訓練、2月に入って沖縄島北端の辺戸岬での訓練(地上を含む)、また金武町・金武湾での訓練が度重なってきた。こうした事態に対して沖縄県議会米軍基地関係特別委員会で与野党一致で2月10日,抗議決議と意見書案があげられていた。玉城知事は1月2月と米軍、沖縄防衛局、外務省沖縄事務所などに抗議を繰返してきたが、低空飛行の現状は変わらず、防衛大臣の認識も変わっていない。
これはいったいどういうことだ。この国は米軍の便宜を図る一方、住民側の不安、危機感を一般論(「公共の安全に妥当な配慮」)でごまかし逃げているのだ。国として実態を調べて米軍に具体的に申し入れる気がないと言うことだ。そしてこういっている「これは1999年の日米合同委員会において、ICAOや日本の航空法に規定されている最低安全高度と同様の米軍高度規則を適用している旨を日米間で合意しているところでございます。米軍が当該の合意を順守して訓練を行っていることは,4日の飛行に関してもこういうことが米軍からの説明であったということを認識しているところでございます」。 要は岸防衛大臣は、米軍が日米合同委員会で決めた取り決めを守っていると米軍の主張を鵜呑みにしているだけだ。
くりかえされてきたことだが、低空飛行訓練は敵地での訓練であり、それを沖縄の住民が暮しているところで実戦さながらにやることじたいが、常軌を逸している。さらに今の「島嶼防衛」訓練は正に我々の島が戦場となり、攻撃される事が想定されており、訓練がいつ実戦に組み替えられるか分からない瀬戸際にあるのだ。だからこそ、こうした訓練への懸念は強まることはあっても弱まることはないはずだ。だから当然やめさせなければならない。日本政府の安保従属・米国従属の姿勢をかえていかなければならないのだ。
なお、このICAO(国際民間航空機関)が定める最低安全高度の規定は①人工密集地では最も高い建物から300m以上、②それ以外では150m以上だ。