あるブロガーさんの『前編/森の妖精のようなスローライフ。。ドキュメンタリー映画「人生フルーツ」』を読んで、是非、その映画を観たいと思った。
『人生フルーツ』(伏原健之監督、2016年)、東海テレビ製作のドキュメンタリーである。
今年の1月に上映されたのを評判の良さからか、アンコールとして丁度上映されていたので観てきた。
高蔵寺ニュータウンの一角に住む津端夫妻。
美しい平屋は果樹や菜園に囲まれている。
建築家津端修一は住宅公団に勤務していた時に、元の里山の景観を活かした先進的な観光デザインを提案する。
しかし高度成長期の合理主義一辺倒の風潮とは折り合わず、高蔵寺の丘陵地は見る影もなく造成された。
その後、妻英子とこの地に移り住む。
ふたりだけの里山の再生が始まった。誰も思いもよらない方法で・・・
(劇場専用の通信誌から)
修一さん90歳、英子さん87歳。
300坪の敷地には、家のほかにキッチンガーデンとして70種類の野菜と50種類の果実を育てる。
季節の野菜に果物。それを使った料理にフルーツの焼菓子。
二人の生活は自給自足に近い。
と言っても、英子さんは月に一回ほど名古屋・栄の食品売り場へ買い物にも行く。
生活の場としての母家は、平屋30畳1間で、雑木林の中に隠れている感じの静寂そのもの。
日常は、穏やかに充実した日々として、それぞれに自分の日課を過ごしていく。
では、なぜ津端家のライフスタイルはこのようなのか。
住宅公団が発足した時に入社した修一さんは、高蔵寺ニュータウンの設計を任されるまでに、18団地を手掛けているエースだった。
高蔵寺計画で修一さんが描いたマスタープランは、地形を活かし、街の中に雑木林を残して風の通り道を作るというもの。
しかし、時代は経済優先で、修一さんが思い描いたものとは程遠いものだった。
そこで考えたことは、それぞれの家が小さな雑木林を作れば、ひとりひとりが里山の一部を担えるのではないかということ。
そのような思いを実践した家として、津端家がある。
そればかりでなく、修一さんは里山の構想として、隣りにある禿山に約1万本のどんぐりの木を市民を交えて植えた。
今ではその山が雑木林に包まれて、昔の殺風景な姿はない。
風が吹けば、枯葉が落ちる。
枯葉が落ちれば、土が肥える。
土が肥えれば、果実が実る。
こつこつ、ゆっくり
淡々とたおやかにその日の時間を楽しむ。
二人の微笑み。
人生は長く生きるほど美しくなる、という言葉。
これほどに、生きていることに充足した人をみると、我知らずこちらまで充実感に満たされてくる。
参考にしたい人生のしるべというべきか。
結婚する時、新居を高蔵寺ニュータウンにしようかと下見に行ったこともあり、今でも距離にしてすぐのそこに、このような人がいたのが感慨深い。
『人生フルーツ』(伏原健之監督、2016年)、東海テレビ製作のドキュメンタリーである。
今年の1月に上映されたのを評判の良さからか、アンコールとして丁度上映されていたので観てきた。
高蔵寺ニュータウンの一角に住む津端夫妻。
美しい平屋は果樹や菜園に囲まれている。
建築家津端修一は住宅公団に勤務していた時に、元の里山の景観を活かした先進的な観光デザインを提案する。
しかし高度成長期の合理主義一辺倒の風潮とは折り合わず、高蔵寺の丘陵地は見る影もなく造成された。
その後、妻英子とこの地に移り住む。
ふたりだけの里山の再生が始まった。誰も思いもよらない方法で・・・
(劇場専用の通信誌から)
修一さん90歳、英子さん87歳。
300坪の敷地には、家のほかにキッチンガーデンとして70種類の野菜と50種類の果実を育てる。
季節の野菜に果物。それを使った料理にフルーツの焼菓子。
二人の生活は自給自足に近い。
と言っても、英子さんは月に一回ほど名古屋・栄の食品売り場へ買い物にも行く。
生活の場としての母家は、平屋30畳1間で、雑木林の中に隠れている感じの静寂そのもの。
日常は、穏やかに充実した日々として、それぞれに自分の日課を過ごしていく。
では、なぜ津端家のライフスタイルはこのようなのか。
住宅公団が発足した時に入社した修一さんは、高蔵寺ニュータウンの設計を任されるまでに、18団地を手掛けているエースだった。
高蔵寺計画で修一さんが描いたマスタープランは、地形を活かし、街の中に雑木林を残して風の通り道を作るというもの。
しかし、時代は経済優先で、修一さんが思い描いたものとは程遠いものだった。
そこで考えたことは、それぞれの家が小さな雑木林を作れば、ひとりひとりが里山の一部を担えるのではないかということ。
そのような思いを実践した家として、津端家がある。
そればかりでなく、修一さんは里山の構想として、隣りにある禿山に約1万本のどんぐりの木を市民を交えて植えた。
今ではその山が雑木林に包まれて、昔の殺風景な姿はない。
風が吹けば、枯葉が落ちる。
枯葉が落ちれば、土が肥える。
土が肥えれば、果実が実る。
こつこつ、ゆっくり
淡々とたおやかにその日の時間を楽しむ。
二人の微笑み。
人生は長く生きるほど美しくなる、という言葉。
これほどに、生きていることに充足した人をみると、我知らずこちらまで充実感に満たされてくる。
参考にしたい人生のしるべというべきか。
結婚する時、新居を高蔵寺ニュータウンにしようかと下見に行ったこともあり、今でも距離にしてすぐのそこに、このような人がいたのが感慨深い。