『ヘンリー八世の私生活』(アレクサンダー・コルダ監督、1933年)をDVDで観た。
イングランド国王ヘンリー8世は、二番目の王妃アン・ブリンを不義密通の罪で処刑台に送る手筈を整えた。
ヘンリーは、この王妃が亡くなれば自分は独身として、すぐにでも侍女のジェーン・シーモアとの結婚ができると計算していた。
1536年。
晴れて、王妃となったジェーン・シーモアだったが、翌年、彼女は王子を産んでまもなく産褥死する。
政治戦略もあり、側近クロムウェルはヘンリー8世にドイツ・クリーヴス公爵の娘アン・オブ・クレーヴズを娶るよう勧める。
アンの肖像画で気に入り、結婚を決めたヘンリー8世だったが、実際のアンを見たヘンリーはひどく失望し、すぐに離婚する。
元々、ヘンリー8世は二番目の王妃アン・ブリンの従妹で侍女であったキャサリン・ハワードが気に入っていた。
キャサリンと晴れて結婚できたヘンリー8世だったが、1542年、キャサリンと廷臣トーマスの密会を枢密院から報告受け、ショックで泣き崩れる。
そして、キャサリンとトーマスは処刑される・・・
まず王妃を整理しておくと、
第一王妃 キャサリン・オブ・アラゴン:離婚(兄の未亡人、アンと結婚するために無理やり離婚)
第二王妃 アン・ブリン :刑死(不義密通の嫌疑で斬首)
第三王妃 ジェーン・シーモア :出産後死亡
第四王妃 アン・オブ・クレーヴズ :離婚(見合い用肖像画ほど美しくなく、騙されたと離婚)
第五王妃 キャサリン・ハワード :刑死(不義密通で斬首)
第六王妃 キャサリン・パー :晩年のヘンリー8世を支える。
映画は、第一王妃キャサリン・オブ・アラゴンの侍女で第二王妃アン・ブリンの処刑風景から始まる。
そして物語は、ヘンリー8世の当時の政治的内容、例えば、キャサリンと離婚するために離婚を禁じるカトリック教会と断絶し、
新しい法を作って自らイングランド国教会の長になって離婚を合法化するなどの事柄は綺麗に割愛されていて、次々と王妃を娶る私的な事情を映し出していく。
そこにあるのは、想いを寄せるトーマスよりは野心の方が勝るキャサリン・ハワードや、
クリーヴス公に赴いた王の使者ペイネルが、アン・オブ・クレーヴズとねんごろになってしまい、
彼女が第四王妃になった暁には、離婚の見返りとして領地と年金、そしてペイネルを執事にすることを王から承諾させたりの顛末である。
ヘンリー8世を演じるのは、この作品でアカデミー賞男優賞を得るチャールズ・ロートン。
本来、もっと横暴だったのではないかと思われるヘンリー8世を、ユニークなユーモアとウイットで包む親しみやすい人物にしている。
そのことが全体の雰囲気を醸し出して、これが90年近く前の作品だということも忘れて拍手喝采をしたくなる。
この作品の中で、印象に残るのが第四王妃アン・オブ・クレーヴズ役のエルザ・ランチェスター。
独特な雰囲気のあるエルザ・ランチェスターは、この作品の主役チャールズ・ロートンの奥さん。
一目見て、彼女の出演作『フランケンシュタインの花嫁』(ジェームズ・ホエール監督、1935年)が蘇ってきた。それ程、印象深い人。
それと、ヘンリー8世と言えば思い出すのが、フレッド・ジンネマン監督の『わが命つきるとも』(1966年)。
王は王妃キャサリンとの離婚を、ローマ法王の承認を得ようとトーマス・モアに依頼するが、モアはこれを拒絶する。
そして最後に、モアは自らの信念を信じて処刑に臨み、斬首される。
この格調高い作品に感銘を受けたことを、今回を契機に久し振りに思い出した。
イングランド国王ヘンリー8世は、二番目の王妃アン・ブリンを不義密通の罪で処刑台に送る手筈を整えた。
ヘンリーは、この王妃が亡くなれば自分は独身として、すぐにでも侍女のジェーン・シーモアとの結婚ができると計算していた。
1536年。
晴れて、王妃となったジェーン・シーモアだったが、翌年、彼女は王子を産んでまもなく産褥死する。
政治戦略もあり、側近クロムウェルはヘンリー8世にドイツ・クリーヴス公爵の娘アン・オブ・クレーヴズを娶るよう勧める。
アンの肖像画で気に入り、結婚を決めたヘンリー8世だったが、実際のアンを見たヘンリーはひどく失望し、すぐに離婚する。
元々、ヘンリー8世は二番目の王妃アン・ブリンの従妹で侍女であったキャサリン・ハワードが気に入っていた。
キャサリンと晴れて結婚できたヘンリー8世だったが、1542年、キャサリンと廷臣トーマスの密会を枢密院から報告受け、ショックで泣き崩れる。
そして、キャサリンとトーマスは処刑される・・・
まず王妃を整理しておくと、
第一王妃 キャサリン・オブ・アラゴン:離婚(兄の未亡人、アンと結婚するために無理やり離婚)
第二王妃 アン・ブリン :刑死(不義密通の嫌疑で斬首)
第三王妃 ジェーン・シーモア :出産後死亡
第四王妃 アン・オブ・クレーヴズ :離婚(見合い用肖像画ほど美しくなく、騙されたと離婚)
第五王妃 キャサリン・ハワード :刑死(不義密通で斬首)
第六王妃 キャサリン・パー :晩年のヘンリー8世を支える。
映画は、第一王妃キャサリン・オブ・アラゴンの侍女で第二王妃アン・ブリンの処刑風景から始まる。
そして物語は、ヘンリー8世の当時の政治的内容、例えば、キャサリンと離婚するために離婚を禁じるカトリック教会と断絶し、
新しい法を作って自らイングランド国教会の長になって離婚を合法化するなどの事柄は綺麗に割愛されていて、次々と王妃を娶る私的な事情を映し出していく。
そこにあるのは、想いを寄せるトーマスよりは野心の方が勝るキャサリン・ハワードや、
クリーヴス公に赴いた王の使者ペイネルが、アン・オブ・クレーヴズとねんごろになってしまい、
彼女が第四王妃になった暁には、離婚の見返りとして領地と年金、そしてペイネルを執事にすることを王から承諾させたりの顛末である。
ヘンリー8世を演じるのは、この作品でアカデミー賞男優賞を得るチャールズ・ロートン。
本来、もっと横暴だったのではないかと思われるヘンリー8世を、ユニークなユーモアとウイットで包む親しみやすい人物にしている。
そのことが全体の雰囲気を醸し出して、これが90年近く前の作品だということも忘れて拍手喝采をしたくなる。
この作品の中で、印象に残るのが第四王妃アン・オブ・クレーヴズ役のエルザ・ランチェスター。
独特な雰囲気のあるエルザ・ランチェスターは、この作品の主役チャールズ・ロートンの奥さん。
一目見て、彼女の出演作『フランケンシュタインの花嫁』(ジェームズ・ホエール監督、1935年)が蘇ってきた。それ程、印象深い人。
それと、ヘンリー8世と言えば思い出すのが、フレッド・ジンネマン監督の『わが命つきるとも』(1966年)。
王は王妃キャサリンとの離婚を、ローマ法王の承認を得ようとトーマス・モアに依頼するが、モアはこれを拒絶する。
そして最後に、モアは自らの信念を信じて処刑に臨み、斬首される。
この格調高い作品に感銘を受けたことを、今回を契機に久し振りに思い出した。