ポケットの中で映画を温めて

今までに観た昔の映画を振り返ったり、最近の映画の感想も。欲張って本や音楽、その他も。

アンジェイ・ワイダの逝去を知って

2016年10月11日 | 1950年代映画(外国)
ポーランドのアンジェイ・ワイダ監督が10月9日に死去したことを新聞で知った。
90歳だった。
ワイダと言えば、私にとって10代後半にテレビで観た『地下水道』(1957年)の印象が忘れられない。

第二次世界大戦末期の廃墟と化したワルシャワの街。
ドイツ軍に追い詰められたパルチザン部隊は、地下水道を通って市の中心部に出て活動を続けることにする。
しかし、やがて離ればなれになり、発狂する者や、マンホールから出てドイツ軍に発見され射殺される者。
目的の出口を見つけたとしても、そこには頑丈な鉄柵が張られ、爆薬も仕掛けられていたりする。
特に印象的なのは、やっとたどり着いた河へ注ぐ水路。
河の向こう側を目の前に、手前の鉄柵が希望を遮断する。その残酷さが目に焼き付いて離れない。

この強烈な内容を、ワイダはわずか31歳の時に作る。
その一年後には、あの傑作『灰とダイヤモンド』(1958年)を発表。

私にとって、ワイダはもっとも信頼できる監督として、20代以後、新作は意識して観るようにした。
『白樺の林』(1970年)、『約束の土地』(1975年)など。
そして、ワイダがまたまた脚光を浴びるようになった『大理石の男』(1977年)や『鉄の男』(1981年)。
その後で記憶にあるのは、『ダントン』(1983年)や『コルチャック先生』(1990年)か。
いずれにしても映画を観ながら、権力に抵抗する人たちに共感し熱烈に支持した。
だが、今では個々の作品がおぼろげな感じになってしまって、それが何とも寂しい。

最近の作品として観たのは、ワイダの父親も犠牲者になり、作るべきにして作られた『カティンの森』(2007年)。
これが上映された時は、是非観なければと勇んで行った。
しかし、その後の『ワレサ 連帯の男』(2013年)は見逃していたりして、好きと言いながらも、私も案外いい加減だったりする。

ワイダは日本びいきであったりして、随分と前になるがNHKでもそのことを放映していて、今思い出すとそのことが懐かしい。
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『ハドソン川の奇跡』を観て

2016年10月06日 | 2010年代映画(外国)
イーストウッドの新作が上映されている。
題名は『ハドソン川の奇跡』(クリント・イーストウッド監督、2016年)。

2009年1月15日、極寒のニューヨーク。
160万人が暮らすマンハッタン上空850メートルで突如、航空機事故が発生。
全エンジンが完全停止し、制御不能となった旅客機が高速で墜落を始める。
サレンバーガー機長の必至の操縦により、70トンの機体は目の前を流れるハドソン川に着水。
“乗員乗客155名全員無事”という奇跡の生還を果たした。
着水後も、浸水する機内から乗客の避難を指揮した機長は、国民的英雄として称賛を浴びる。
だが、その裏側では、彼の判断を巡って、国家運輸安全委員会の厳しい追及が行われていた……。
(Movie Walkerより)

真実のドラマをクリント・イーストウッドが作る。興味深いのひと言。

ガンの大群によるエンジン停止。
208秒後の機長チェスリー“サリー”サレンバーガーの判断。
その判断は、単なる偶然か。
映画は、サリーが40年以上の経験による技術の、瞬間の判断力を示唆する。

しかし、国家運輸安全委員会は疑問の目を向ける。
本当に不時着以外の方法はなかったのか。
果たして両エンジンは完全に停止していたのか。
ラガーディア空港に引き返すのは不可能だったのか。
ニュージャージー・テターボロ空港に緊急着陸できなかったのか。
不時着は、乗員乗客を命の危険にさらす無謀な判断ではなかったか。

本当にサリーは英雄だったのか。
その国家運輸安全委員会の公聴会に対して、サリーは苦悶する。
トム・ハンクスが、そのサリーの心情を余すところなく伝える。
作品は、余計な枝葉をそぎ落とし核心だけを突いていく。

スリリングな場面といい、そのテーマ、内容といい、イーストウッドは高齢に達しているのに観客を満足させる作品を、
このように立て続けに発表する原動力がどこにあるのか、尊敬とともに不思議に思う。
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行政が行おうとしていること

2016年10月05日 | 社会一般
東京都は小池知事になって豊洲問題が連日報道されているが、オリンピックがらみでこのようなことも行われようとしている。

千代田の街路樹を守る会の訴え。

100年の街路樹をオリンピック開発から守って下さい!
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