ポケットの中で映画を温めて

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『2度目のはなればなれ』を観て

2024年10月31日 | 2020年代映画(外国)

1週間前になるが、『2度目のはなればなれ』(オリバー・パーカー監督、2023年)を観てきた。

2014年、夏。
イギリス、ブライトンの老人ホームで暮らす老夫婦バーナード(バーニー)とレネは、互いに寄り添いながら人生最期の日々を過ごしていた。
ある日、バーナードはフランスのノルマンディーへ向かってひとり旅立つが、彼が行方不明だという警察のSNS投稿をきっかけに、世界中で大きなニュースとなってしまう。
バーナードとレネが離ればなれになるのは、今回が人生で2度目だった。
決して離れないと誓っていたバーナードがレネを置いて旅に出たのには、ある理由があった・・・
(映画.comより)

バーニーは、団体ツアーで行くノルマンディ上陸作戦の70周年記念式典への申し込み期限をうっかり逃してしまった。
どうしても式典に参加したい彼は、早朝、老人ホームをこっそり抜け出し、ドーバーからフェリーでノルマンディーに渡る。
フェリーでの道中、名門校の校長だったというアーサーが、親切にも、行き当たりばったり出てきたバーニーのために式典チケットやホテルの手配をしてくれ、仲良くなる。

戦中、ノルマンディ上陸に当たっての自分が命令したことによるバーニーの後悔と、その後のトラウマ。
似たような後悔とトラウマをアーサーも抱えている。

ストーリーは、邦題から連想されそうな起伏ある内容ではなく、どちらかと言えば淡々としている。
バーニーとレネの戦中に知り合ったキッカケや、バーニーのノルマンディ上陸時のシーンもフラッシュバック的で深くは追求していない。
それでも退屈しないのは、バーニー役のマイケル・ケインとレネ役のグレンダ・ジャクソンの仲むつまじさがヒシヒシと伝わってくるからである。
それに加えて、この作品が実話に基づいており、かつ、マイケル・ケインの引退作品であり、
グレンダ・ジャクソンが作品完成直後に亡くなっていることを知った上で鑑賞しているので余計、内容が現実味を帯びてくる。
老人施設での人生の最後に当たるバーニーとレネの寄り添うような穏やかな生活は何物にも代えがたいと、観ていて納得する。

そのような老夫婦の物語で思い出すのが、内容の感じは全然違うとしてもヘンリー・フォンダとキャサリン・ヘプバーンが演じた『黄昏(たそがれ)』(マーク・ライデル監督、1981年)である。
あの作品もヘンリー・フォンダの遺作となってしまって印象深かった。


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