花紅柳緑~院長のブログ

京都府京田辺市、谷村医院の院長です。 日常診療を通じて感じたこと、四季折々の健康情報、趣味の活動を御報告いたします。

花の下にて│花信

2025-03-02 | アート・文化


   古木の桜の所々咲きたるを見て
わきて見ん老木は花もあはれなり いまいくたびか春にあふべき
     山家集・上 春  西行

待たるる花│花信

2025-03-01 | アート・文化


おぼつかないづれの山の峯よりか 待たるる花の咲きはじむらん
     山家集・上 春  西行


鈴蘭のにほひ│花信

2025-02-27 | アート・文化


鈴蘭の花貰はれたさうに咲く    祇園守

鈴蘭に託す一言一句かな     一句好日

鈴蘭が咲けば気になる小約束    初東雲・後藤比奈夫

開物仲尼に通じ 知言子輿に継ぐ│皆川淇園

2025-01-20 | アート・文化
  言懐古示諸子  皆川淇園
斉籖同二酉  斉籖(さいせん) 二酉(にゆう)に同じく
家訓在三餘  家訓 三余に在り
開物通仲尼  開物 仲尼に通じ
知言継子輿  知言 子輿に継ぐ
不沽終櫝秘  沽(う)らずして終に櫝秘(とくひ)し
屡酔乏嚢儲  屡(しばし)ば酔ひて嚢儲(のうちょ)に乏し
曳尾泥中好  尾を泥中に曳くこと好し
吾生足著書  吾が生 書を著はすに足る

 揖斐高編訳:「江戸漢詩選 上」, p376-378, 岩波書店, 2021



吾が道は一以て之を貫く│2025年度大学入学共通テスト「論語」

2025-01-19 | アート・文化


子曰、參乎、吾道一以貫之。曾子曰、唯。子出、門人問曰、何謂也。曾子曰、夫子之道、忠恕而已矣。
(巻第二 里仁第四)
子曰わく、参よ、吾が道は一以て之を貫く。曾子曰く、唯(い)。子出ず。門人問うて曰わく、何の謂いぞや。曽子曰わく、夫子の道は忠恕のみ。

子曰、賜也、女以予為多學而識之者與。對曰然,非與。曰、非也。予一以貫之
(巻第八 衛霊公第十五)
子曰わく、賜や、女(なんじ)予(わ)れを以て多く學びて之を識る者と為すか。對えて曰わく、然り,非なるか。曰わく、非なり。予れは一以て之を貫く。

参考資料:
金谷治訳注:「論語」, 岩波書店, 2001
荻生徂徠著, 小川環樹訳註:東洋文庫「論語徴1」, 平凡社, 2009
荻生徂徠著, 小川環樹訳注:東洋文庫「論語徴2」, 平凡社, 2009
朱熹著, 土田健次郎訳注:東洋文庫「論語集注1」, 平凡社, 2013
朱熹著, 土田健次郎訳注:東洋文庫「論語集注4」, 平凡社, 2015

謹賀新年│令和七年乙巳

2025-01-01 | 日記・エッセイ


   新正書懐  大沼枕山
無事逢春懶更加  無事 春に逢うて 懶 更に加わる
枕頭香迸小梅花  枕頭 香は迸(ほと)ばしる 小梅花
一年又是甘人後  一年 又是れ人後に甘んぜん
晏起追暄汲井華  晏起 暄(あたた)かきを追うて 井華を汲む
 日野龍夫注:江戸詩人選集「成島柳北 大沼枕山」, p233-234, 岩波書店, 2001

新年の益々の御多幸と御健勝を謹んでお祈り申し上げます。
何卒本年も宜しくお願い申し上げます。

令和六年甲辰歳末

2024-12-30 | 日記・エッセイ


石上布留野の小笹霜を経て ひと夜ばかりに残る年かな
     新古今和歌集・巻第六 冬   摂政太政大臣

本年賜りました御厚情に謹んで御礼申し上げます。
良いお年をお迎えください。

待春・其二│頂いたお花を生ける

2024-12-28 | アート・文化


山風は吹けど吹かねどしら波の寄する岩根は久しかりけり
     新古今和歌集・巻第七 賀歌   伊勢

待春│頂いたお花を生ける

2024-12-24 | アート・文化


住江に生ひ添ふ松の枝ごとに 君が千年の数ぞこもれる
     新古今和歌集・巻第七 賀歌   前大納言隆国

やはりさっぱりと

2024-12-01 | 日記・エッセイ


華道の文目も分かぬ初学の頃からお導き頂いた大和未生流の花は、『東洋の道と美』の言葉そのままに「さっぱり、あっさり、すっきり」である。<さっぱりと│引き算の美学(2018/9/05)>に記した様に、耳鼻咽喉科医として花の道においても先輩の母が折に触れて聞かせてくれたのは、初代御家元が「さっぱりと、さっぱりと」と絶えず仰いながら、女学生の作品後方から次々と御指導の鋏をお入れになった思い出である。その“さっぱりと”の花姿を一枝一葉一花、過不足なく厳格に定める事は甚だ容易ではない。謂わば限定されたダイナミックレンジに美の快適レベルを経営位置するのであり、単に間引けば侘しく減張を欠いた貧相な花になり、反対に蛇足に走れば執拗(しつこ)く冗漫な“人戯え(ひとそばえ)の花”になる。そして今年もはや師走、正月花の花材取り寄せの予約時期となった。